表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

使い魔ルキ

 日が上るのと同時に起床し、決められた服を着る事から使い魔ルキの一日は始まる。


 人間にしては完成され過ぎた容姿・姿に合うように作られた彼女専用の服は西洋の人形が来ているようなフワフワとしたドレス。白い肌と同化してしまいそうな白髪に乗せられるのはドレスと同じ色のヘッドドレス。

「常に美しく、上品に在りなさい」

と言った、あるじに忠実に従う。


 ドレスの肩口まで届くほど長さのある手袋と、これまたスカートの裾まであるほどのロングブーツを履き終えるとルキは自室を出て使い魔の仕事を始めた。


「おはようございます、あるじ様。そろそろ起床のお時間です」

 あるじの許可無く無断で部屋に入る事は決してない。本人がルキのノックと声で起きるまで、ルキは扉の前で待ち続ける。

 待ち続けること数分、少女と言うには大人びており女性と言うにはまだ幼い、なんとも言いがたい声と共に人型をした影が扉を開けて出てきた。


 シルエットからでも伝わる神々しさの持ち主は、ルキのあるじであるツェル=クロディウムである。

「おはようございます、ルキ。今日の服も可愛らしく着こなしていて、わたくしはとても嬉しいです」

 機械のように淡々と話すツェルの感情は表情が解らないこともあり、ルキに伝わることはない。


 朝食を作ってきた他の使い魔を戻すと、ツェルはルキを部屋に招き仕事を言い渡す。


「今夜は『魔法狩り』の対策を魔法国家議会リヴァイアサンのメンバーで決めます。その為のディナーの用意をよろしくお願いします」

 金貨の入った皮袋を押し付けると、ヘッドドレス越しにルキの頭を撫でるツェル。本人としては影に撫でられているのも同然だが、あるはずも無いツェルの温もりを感じていた。


「御意です」


 恭しく影に一礼すると、まだカーテンの開けられていないほの暗い廊下を歩いていった。


「まだ、カーテンも開けていないのですか。まったく、貴女たちはルキの指示なしには、わたくしの指示なしには動けないのですか」


 手厳しい言葉を他の使い魔たちに投げつけるツェルの声を聞きながら、ディナーの献立を考えるルキは外の寒さを感じることなく出掛けていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ