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少女の場合

君は気付いてるのかな?


きっと気付いてないよね。


世の中には沢山恋を謳った歌があって、そこで歌われている恋は色んな形をしているよね。

幸せだったり、悲しかったり、楽しそうだったり、辛そうだったり。


私はね、そう言った恋を君と結びつけて歌っちゃってるんだよ。

君とこんな恋したいな、君とこうなるのは嫌だな、みたいにね。


もっと言っちゃえば、私が君の前で恋の歌を歌う時は、その曲に装飾されている恋をどんどん濾過して行って、純粋な恋と言う物、それだけにしてから、それを私の気持ちで装飾し直して、君に贈ってるんだよ。


分かりにくいよね。

簡単に言うと、君が好きって想いながら歌っているってこと。


今歌っているこの曲もそうなんだよ?


鈍感な君は気付いてないよね。

と言うより、臆病で優しい君はそんな風に踏み込んで考えるなんて事はしないだけなんだろうけどね。


そう言う私も、直接伝えるのは恥ずかしくて怖いから、こんな風にして歌に想いを乗せて、あとは神頼み君頼みしてるんだけどね。




普段の私はそこまで。

でも今日の私はちょっと頑張ろうと思ってるの。




私の友達と君の友達が一緒に部屋から出て行ったのは、私がお願いしたから。

私達4人でよくカラオケ来るけど、私と君二人きりになるのは初めてだよね。

そう思うとあらかじめ知っていて心の準備は出来ている筈なのに、心臓がうるさくなって来たよ。


今私が歌っているこの曲が終わったら私は君に告白をするよ。

振られるかもしれないけどね。

その時は3日間枕を濡らした後、君の前で思いっきり笑ってやるんだ。

吹っ切れたよって、だからせめてまだ友達ではいてって伝える為に。


まだ告白してもないのにこんな未来を想像しちゃうなんて、やっぱり私は臆病だね。



正直君が次に歌う曲探しに夢中になってくれていて助かってるんだよ。

この状況で君に見られていたら恥ずかしくて、意識しすぎて、歌うどころじゃなくなると思うんだ。


まぁ、今でも十分歌うどころじゃないんだけどね。

でもずっと歌い続けていたい気もするするんだ。

やっぱり告白って勇気がいるからね。






一番が終わって間奏に入った時、私は目を疑ったよ。

疑うも何もそれに大した意味なんて込められて無いんだろうけどさ。

ただ君はその歌を歌いたかったから入れただけなんだろうけどさ。

今それやられると、そう言う風に推察してしまってもしょうがないとは思うんだ。


何せ意味が有ろうが無かろうが他でも無い君から発信された言葉には違いないのだから。



正直間奏の間でよかったよ。

もし歌ってる途中にそんな物を見たら、、びっくりして固まっちゃって歌が止まってしまうと思うから。

そうすると優しい君はどうしたのって聞いてくれて、私は益々困るに違いないんだ。

だから本当に間奏中で良かったよ。


そして変に思われないように私は、気合を入れて2番に入った。


さっきまでよりも楽しそうに。






でもやっぱりさっき画面に映った言葉が頭から離れないや。


歌い終わった後に告白しようと思ってたけど、やっぱりもう少し後にするよ。


君がその曲を歌うのを邪魔したく無いから。


何より私が聴きたいから。


君がその歌を私の為に、私に向けて歌ってくれてるなんて幸せな想像をしながら、聴き惚れるんだ。


そんな風に夢の世界に行くことが出来たら、臆病な私でも素直に言えると思えるから。



君が好きって。



早く君の " I LOVE YOU "が聴きたいよ。



演奏停止押しちゃおうかな。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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