第四話
読者の皆さん、遅くなってすみませんでした!m(._.)m
結局、活動報告の予定から一週間も遅れてしまいました…本当に申し訳ない。
あと、楽しみにしてくださっている方々(いたらいいなあ)には残念なお知らせですが、更新が月一とかそれくらいになりそうです。
詳しくは活動報告を見て下さい。
翌朝、月夜が酒場になっている一階に降りて行くと、月夜とイリーナが朝食をとっていた。
「おはようございます。二人とも、早いですね」
月夜が声をかけると、ルナは微笑みを浮かべて、イリーナは恨めしそうな表情で挨拶を返した。
「おはよう、良く眠れたかい?」
「…おはようございます。せっかく…早起き……二人っきり………ブツブツ」
何かブツブツ言ってるイリーナは放っておこう、と決めてルナの隣りの席に着く。
料理を運んできた女将に礼を言い、朝食をとりながら今日受ける護衛依頼について、ルナから詳細を聞く。
「依頼はもう受けたんですか?」
「ああ、私が懇意にしている商人からね。信用については私が保証しよう」
護衛依頼を受けるにあたって、最も重要なのは信用だ。信用のおける冒険者でなければ、護衛依頼を受けることができないのは当然のことながら、依頼を出すがわも有名な商人や個人的な知り合いなど、信用できる者からの依頼でなければ、誰もその依頼を受けることはない。
今回、ルナが受けた依頼は、ルナの知り合いの商人からの護衛依頼で、今日の昼過ぎにシエンハイトの街を出発し、三日ほどで皇都に着く予定だそうだ。
「出発は昼過ぎですか。では、午前中に準備を済ませておく必要がありますね。ルナさん、準備を手伝ってもらえますか? 依頼を受けるのは初めてなので、何が必要か教えて頂きたいのですが…」
「ああ、かまわないよ。食べ終わったら行こうか」
「それでは、急いで食べてしまいましょう。ああ、イリーナさんはゆっくり食べていても良いんですよ?」
「ズルいです! ルナさんと二人っきりでお買い物なんて! 私も行きます!」
イリーナをからかいつつも朝食を終えると、イリーナは女将に連れていかれてしまい、結局、月夜とルナは二人っきりで買い物に行くことになった。
その後、月夜とルナは買い物を終えて、定食屋らしき店に入っていた。
その店はルナの知り合いの店だったようで、二人が店に入るなり、店主らしき女性自ら席へ案内されたのだ。
女性は既に注文を受けて厨房へ引っ込んでおり、二人は料理が来るのを雑談しながら待っているところだった。
今話題になっているのは月夜の故郷、倭の國についてで、月夜は幼い頃の厳しい修行について話している。
「五歳の女の子をですよ? しかも、戦闘経験0ですよ? 我が親ながら、全くもってありえません」
「まあ確かに、いきなり迷宮はやり過ぎかな…」
「むう…、まるで迷宮で無ければ問題ないとでも?」
「迷宮は特別だからね」
「どういう意味ですか?」
ルナの少し気になる言い回しに疑問を覚える月夜。
尋ねてみると、迷宮について簡単に説明してくれた。
「迷宮はね、生きているんだよ。そもそも、迷宮というのは、魔核の魔力に侵された土地が変化したモノだ。ちなみに魔核というのは、魔石が膨大な魔力を吸収することで変質した物で、魔石は魔力を溜め込む性質を持つ石のことだよ」
「いくら私が世間知らずでも魔核や魔石くらい知ってます!」
「それは失礼、一応ここら辺で説明を入れておいた方が良いかと思ってね」
まるで何も知らない相手にするような説明に憤慨する月夜だったが、ルナのメタ発言に怒る気が失せてしまう。
「誰にですか。…まあいいです、それで? 迷宮が何なのかはわかりましたが、特別とはどういう意味ですか?」
「迷宮は生きている。そして、生きる為に迷宮に入ってきた存在を喰らうか、もしくは取り込もうとする。そうして成長していくと、階層を増やし、より強力な宮魔を生み出す。ちなみに…」
「宮魔は迷宮が生み出した、または取り込んだ存在のことですね。わかってますから、続きをお願いします」
怒る気は失せても許してはいないようで、仕返しとばかりにルナの台詞を奪う月夜。
しかし、ルナに引かれてしまい、作者に仕返しすることを決意する。
「黒金さん、最初に会ったときと性格変わってない? …まあいいや、そうして生み出された宮魔は迷宮の最奥にあり、また、迷宮の心臓である魔核、すなわち迷宮核に近づくほど、強くなっていくんだよ。さて、ここまでで何が危険かわかったかな?」
「迷宮の魔力に侵され、取り込まれてしまう可能性があること。そして、階層が変わると宮魔の強さがいきなり変わるため、その強さの差についていけない場合が多いことでしょうか?」
「そうだね、どちらも合っているけどもう一つ。迷宮が成長する場合には階層が拡がる場合と、増える場合がある。拡がる場合は端の方の地形が大きく変わるんだ。それに巻き込まれることで一気に移動させられると、入口まで辿り着くことが出来ずに力尽きることも少なくない。さらに、階層が拡がれば、それに応じて宮魔がうみだされる。一度に生み出された宮魔の群れの中に移動させられたりすれば、間違いなく死ぬだろうね」
「…もしかして私、今生きてるのは奇跡ですか?」
「奇跡とまでは言わないけど、強運の持ち主であることは間違いないと思うよ」
「何の話かしら?」
月夜が、次に実家に帰ったら父親には絶対仕返ししなくては、と決心していると、その後には先ほど二人の注文を聞いていた、店主らしき女性が料理を持って立っていた。
月夜より先に気づいていたルナが、料理を受け取りながら質問に応じる。
「この子は運が良いって話だよ」
「この子って…、私は子どもじゃありません!」
月夜を子ども扱いするルナと怒る月夜、それを眺めていた女性は月夜に話しかけた。
「私はイーサ、貴女の名前を聞いても良いかしら?」
「私は黒金月夜と申します」
「月夜ちゃんね、よろしく!」
「…まあいいです。そうだ、ルナさんも月夜でいいですよ」
「そう? じゃあ、そう呼ばせてもらおうかな…」
月夜と親交を深める月夜。
その頃宿屋“猫の尻尾亭”では、イリーナが嫌な予感に身を震わせていたとか、いなかったとか。
この小説を楽しみにしてくださっていた方々、この度は本当に申し訳ありませんでした。
そして、前書きのものとは別にもう一つお知らせがあります。
前話までやっていた後書き劇場ですが、やめることにしました。理由は長くなるからです。
その代わりと言ってはなんですが、「月無き夜の幻想譚 設定集 劇場ver.」的なものを書こうと思います。
詳しくは活動報告を見て下さい。