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月無き夜の幻想譚  作者: 夜刀朔夜
第一章
4/6

第三話

主人公、ついに登場!

しかし、百合はまだ………期待していた方、すみません…m(_ _)m


5/2…1-1及び1-2 改良

「倭の国」→「倭の國」

「エルフ精霊使い(ラウラ)」→「エルフ精霊使い(ラウラ)

ラウラの名前判明の後、戦士リーダーと覆面無口の名前を紹介。


5/4…誤字修正

「護衛任務」→「護衛依頼」

「おかしいですね」


月夜がそんなことを言って止まったのは、ラウラ達三人とはぐれた二人が町へ帰るために暗い森の中を月の光を灯りに歩いているときだった。


「なにがですか?」

「町へ向かって歩き始めてもう随分経ちますが、森の終わりが全く見えてきません。これだけ歩けばもう森から出ていてもいいはずなのですが…」

「………」

「もしかしたら道に迷ったのかもしれません」

「………」

「イリーナさんは町への道はわかりますか?」

「……せん」

「え? すみません、聞こえませんでした。もう一度言ってもらえますか?」

「…わかりません」

「………」

「私…迷子なんです…」

「…それで行方不明になっていたんですか……まあそういうことならしょうがないですね」

「ううっ、ごめんなさい」


イリーナは自分の情けなさに涙ぐむ。月夜はイリーナを慰めるのはめんどくさいので、帰り道を探すことにした。


「さて、どうしたものでっ!?」

「月夜さん? どうしたんですか?」

「静かに! 誰か近づいて来ます」


誰かが近づいてくるのを察知した月夜は急いでイリーナと共に近くの茂みに隠れた。


「誰かって…捜索隊の誰かでは無いんですか?」

「違うと思います。近づいてくるのは一人ですので、捜索隊なら最低でも三人以上で動いているはずです」


月夜が隠れながらイリーナに説明していると近づいて来た誰かが目視出来る範囲に入って来た。

月夜とイリーナが息をひそめて正体不明の誰かから隠れるべく身を縮こませていると、その誰かは二人の隠れている場所からそう離れていないところで足を止める。


「そこにいるのは誰?」


正体不明の誰かは止まったかと思うと声をかけて来た。


「っ!」

「! ルナさん!」


突然の問いかけに月夜は身を固くし、イリーナは嬉しそうに立ち上がった。


「イリーナ、こんなところにいたのか。雪さんも心配していたよ?」

「うっ、ごめんなさい…」

「まあ、無事なら良かった。ところでそちらの方は? 捜索隊に参加したというお客さんかな?」


敵に見つかったと思い固まっていた月夜だったが、再び声をかけられたことで動き出す…


「!」


正体不明の誰かは、月明かりに輝く銀の髪と瞳を持った人族の女だった。

幻想的なその姿に見惚れていると銀色の女は月夜を心配するように声をかけてきた。


「大丈夫?」


その声で我に帰った月夜は安全な相手のようだと判断し、問いかけに答えることにする。


「はい、もう大丈夫です。私は“猫の尻尾亭”の宿泊客で黒金 月夜と申します。ところで貴女は? イリーナさんとは知り合いのようですが…」

「私はルナという。“猫の尻尾亭”の常連でね、イリーナのことは幼い頃から知っているよ。黒金さんにはイリーナが世話になったようだね」


人族の女は優しい微笑みを浮かべると名を名乗り、イリーナとは知り合いであることを告げた。


「いえいえ、たいしたことはありませんでしたよ」

「なに言ってるんですか月夜さん! たいしたことなら十分すぎるほどあるじゃないですか!」


月夜がルナと話しているとイリーナが割り込んできた。


「そうなのかい?」

「そうなんです! ルナさん、地竜がいたんです! この先を少し行ったところです!」


イリーナはルナに会えたのがよっぽど嬉しいのか、満面の笑みで地竜に遭遇したことを報告する。


「ああ、そういえばそんなこともありましたね」

「地竜が? 何でこんなところに…。まあいい、それについては後で聞かせてもらうとして、一先ず町に戻ろうか。みんな心配しているだろうからね」


月夜達はそう言って踵を返したルナの後をついて行った。

暗い森の中を歩き続けて一時間ほどすると、森の外に広がる草原と、その先にある町の門が見えてきた。

門に着くとそこにはアインズ達三人やイリーナの親である宿の主人や女将など、イリーナの捜索に関わっている人が集まっていた。

イリーナは両親がいるのに気付くとホッとしたような、恐れているような表情で呟いた。


「ちょっと薬草を採りに行っただけなのに、大事になっちゃった。怒られるだろうなあ…」

「みんなに心配をかけたんだ。しっかり怒られておいで」


イリーナの呟きを聞きつけたルナが諭すように言う。

そのまま歩いて行くと、まず最初に女将が気付き駆け寄ってきた。


「無事だったのねイリーナ! アインズさん達から地竜に出くわしたときに逸れたと聞いて心配していたのよ」


女将はイリーナが無事なのを確認すると抱きしめた。

そしてイリーナと二言、三言と言葉をかわすうちに心配の言葉は説教に変わる。


「だいたい、あなたは…」

「うぅ、ごめんなさい」


イリーナがお説教を受けていると、主人とアインズ達三人がやってきた。

主人はお説教を受けているイリーナを一瞥すると、ルナに話しかけた。


「よう、娘が世話になったな」

「たいしたことじゃないさ。それより、捜索に出ていた人はこれで全員かい?」

「ああ、そうだ。地竜に出くわしたのはお前らだけだったみたいだぜ」

「そうか、それなら良かった」


被害者がいないことを確認して安堵の表情を浮かべるルナ。

その隣では月夜とアインズ達三人が互いの無事を喜んでいた。


「よお、嬢ちゃん。無事だったみてえだな」

「なんとか無事帰ることが出来ました。アインズさん達も無事なようでなによりです」


暫くすると女将のお説教も終わり、宿へと移動した。

宿へ戻った一同は主人から夕食を振舞われ、各々の部屋へと戻って行った。

月夜も、明日、馬車で皇都まで行かなくてはいけないことを思い出し、そろそろ寝るべく、給仕をしていたイリーナに声をかける。


「イリーナさん、私もそろそろ引き上げますので、鍵を出してもらっていいでしょうか」

「はい、少々お待ち下さい」


イリーナが鍵を持ってくるのを待っていると、ルナが声をかけてきた。


「月夜さん、もう寝るのかい?」

「はい、ルナさんはまだ起きているのですか?」

「うーん、どうするかな…。まだ飲んでいたいところだが、明日は早いんだ。そういえば、月夜さんは皇都に行くんだっけ?」

「はい、明日の朝早くに出る乗り合い馬車に乗らなくてはならないんです」


月夜がそう答えるとルナは何かを考えるように少し黙ると、ある提案をしてきた。


「私も明日、皇都に向けてここを発つつもりでね、ギルドで護衛依頼を受けようと思っているんだ。皇都まで三日の予定なんだが、良かったら私と一緒に来ないか?」


ルナの提案は、時間はかかるが乗り合い馬車より安全で、報酬まで貰えるため、月夜にとってこの上なく都合が良かった。

そのため、月夜は少し考えるとその提案を受けることにした。


「そうですね…、ルナさんさえ良ければお願いします」

「そうか、では私も今日はもう寝ることにしよう。それではお休み」

「おやすみなさい」


少しだけ、明日が楽しみな月夜だった。


月夜「皆さんこんにちは、毎度お馴染みの月夜です。前回に引き続き、私とイリーナさんでお送りします」


イリーナ「こんにちは、イリーナです」


月夜「今回はついに主人公が登場しましたね。イリーナさんはルナさんとは知り合いなんでしたよね?」


イリーナ「はい! ルナさんは私が生まれる前から、うちの宿を利用して下さっていた常連さんなんですよ」


月夜「なるほど。しかし、そうなると彼女はイリーナさんより相当、歳上ということになるのですが…」


イリーナ「そうなんですよね、ルナさんって十年前から外見が変わってないんです」


月夜「十年前ですか?」


イリーナ「はい、私が初めてルナさんに会ったのが、十年前なんです。でも、それより前からの常連客だって、お父さんが言ってました!」


月夜「イリーナさんって、今、何歳ですか?」


イリーナ「私ですか? 十五歳です」


月夜「と、いうことは、彼女は少なくとも十五以上ということですね。見た感じ、十五から二十歳くらいなので、それだけなら別におかしくはないのですが…」


イリーナ「問題は、十年前から変わって無いことですよね…」


月夜「まあ、そういうものだとしておきましょう。そんなことより、次話では私とルナさんで護衛依頼を受けるんです、しっかり準備をしておかなくては」


イリーナ「月夜さん…、ずるいです! 私もルナさんと一緒に居たいです」


月夜「おや、もう終わりのようですね。それでは皆さん、これからも当作品をよろしくお願いします」


イリーナ「無視しないで下さい!」


月夜「誤字脱字に関しては感想またはメッセージにてお知らせ下さい。その他の感想も歓迎です」


イリーナ「ヾ(*`Д´*)ノ」

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