第5話 無様な発明品を神は与えたもうた!
「いい加減なこと言ってんじゃないわよ!!」
河川敷で別の人影が俺たちを待っていた。
「おお! 我が主神のしもべの一人、巫女ラズリではないか!」
老人のほうは喜んでいるようだったが、少女のほうはむっつりとした態度で頬を膨らませている。
「また関係ない人を巻き込んで! あんたたちだけだって言うのよ。 そんなダメになってしまった無様な有権者なんて!」
「そうそう。 俺は関係ないって、このジイサンに言ってやってくれよ。」
だが老人はそれを遮るようにして話を始めた。
「我々は創造しなくてはならん。 主神フレクシスの望む悠久の国家を! これを見るがよい。」
彼は明らかにただのごみためとわかるところから、あるものを引っ張り出してきた。
半分さびてはいるが、円盤のような形をしているそれは、捨てられていた傘の骨組みの部分をもぎとってつくったユーフォーキャッチャーのように、老人が手を加えるとぐにゃりと動いた。
「うわ! う、ご、い、たーーーーーーーーーーーーっ!!!! まるで主神のお告げをきらびやかな瞳で仰ぎ見る従僕どもが、悪魔の住まうはるか闇の深き地へと舞い戻っていく前の絶望に耐えながら ―」
「意味わかんないわよーーーーーーっ!!!!」
ただの壊れた傘とガラクタを合成させただけの代物に、ゼノムスがこの世のものでない何かを見た驚きぶりを見せた。
ついでにわけのわからない、情緒的な詩も途中で中断された。
「これ、何…??」
とりあえず聞いてみなくては、なんかすっきりしない。
というか、聞かなくてはたぶん一晩中眠れないだろうことがわかっていた。
「『これ』を用いることにより、無様度の高い有権者を割だし、どこにいるかを探ることができるのじゃ。」
「?『これ』?? 名前はないの?」
ラズリが聞いた。
「せっかくの名器なのだが、主神が命名するなと言われた。 故に、ここにあるものはすべて指示語で呼ぶ掟になっている。 」
「じゃあ、この捨てられてるガスコンロは?」
「『あれ』。」
「え? じゃあ、このバナナの腐った皮は?」
「『それ』じゃ。 ちなみに指示語は種類が少ないとのことを主神に仰せつかったところ、使うのがうざくなってきたら指示語の前に形容詞的な、つまり、腐っている『それ』、とか、今にもぶったぎられそうな『あれ』、とするように言われた。」
「むっ! さっそく『これ』に反応が出たようじゃ! 近くに無様度の高い有権者がおる、ゆくぞ!」
俺の中でめんどくせーーーーという絶叫が起こった。
んーなんか前回の話が題名の割に少女の出現のみで終わってしまったので、なんか適当にキャラのアクションを盛り込んでみました。 実際河川敷から誰一人として動いてないけどね…いつしか五話目に突入してしまった。あと495話続けるってのはどうかと一瞬だけ考えた昨日でした。長いね~あとがきも歯切れの悪い話数も。まだ続きます。よ、たぶん。