第25話 聖水で身を清めよ!
一体このおじいちゃんは誰なんだろう?
なんか今にもおまわりさんに連れていかれそうな格好をしているし、そもそもここにどうやって入ったんだろう?
私がそんなことを考えていると、おじいちゃんはゆっくりと語った。
「つらかろう。 もとは湖の妖精となるべく生まれた聖なる乙女よ。 じゃが、わしの試練を乗り越えることで、お主の未来は主神の光で満ち溢れるものになろうことを約束しようぞ!」
「私の未来…。」
私は悔しそうにすらっとした体型の若奥様のみなさんをみつめた。
皆趣味で水泳を楽しんでいるのだ。
そうか、せっかくやるなら楽しまなければ続かない、と私は思った。
「何事もつらければ続かぬ。 やせてきれいになってゆく自分を想像するのじゃ!」
そうだ、私、がんばれ。
いいえ、がんばるんじゃない。
楽しもう。
「河野。 今日はやけに気合い入ってるじゃないか? どうしたんだ?」
老人にひそひそと作戦を耳打ちされた私は、コーチに笑顔で答えた。
「はい! 今日は楽しんでやってみようかと思いまして。 私の開発した泳ぎを見てもらいたいのですが…。」
「面白そうじゃない。 やってみたら?」
あんたにできるの、生意気なとばかりに、近くで私とおじいちゃんのやり取りを聞いていた主婦が笑ってきた。
私は気をしっかりと持った。
負けない。
「いきますコーチ!」
私はそう言うと、意を決してプールに背中から飛び込んだ。




