特別編 無様な一年を振り返って
この物語は本編とはなんら関係のないサービスストーリーです。
「どうも~皆様こんにちは。 相変わらず無様度を蓄えてくださりなによりです。」
ゼノムスがいきなり河川敷で急ごしらえのテーブルとマイクを設置して、つぶやいていた。
「このコーナーでは、日ごろおなじみの私の詩を、皆様の今年一年の不満、鬱憤と合わせて披露したいと思います。」
「また、とんでもないコーナーを設けたわね。」
「ラズリさん。 今日は特別な一年をふり返る日なんですから、あなたも手伝ってください。」
「はいはい。」
ラズリは彼に渡された紙をさっそく読み上げた。
「では、まずはじめの依頼で~す。 公務員の男性から。 私はもうすぐ定年を迎えます。 しかし、私の息子は現在就職難なのに働こうともせず、毎日パソコン三昧です。 息子にガツンと言ってやりたいのですが、自分からはなかなか言い出すことができません。」
「じゃあ、その息子に言ってやってください。 『貴様のゲーム機を脱脂粉乳まみれにされたくなければ、お嬢様のナイスなバディをたたえて、ハエのようにへりくだりやがれ、古本のスパイシーな臭いにも劣る体臭が!』とむさいひげ土木高校の生徒が叫ぶたびにサングラスが異様なてかりを見せるように!」
「じゃあ、次のお手紙です。 一人暮らしの若い女性から。 私の家には困った子がいます。 毎晩私が寝ると、夕飯の食べ残しを漁りにゴミ箱を倒して、散らかして帰っていきます。 魚が好きなので、朝になると周りがすごいにおいがして耐えられません。」
「じゃあ、その猫に言ってやってください。 『容赦なくすみずみまでなめまわせ! 貴様のその舌の絶望的な湿度が、我が脳髄を1968年の包括的なよだれで満たす! 感じろ、あの遠い過去の衝撃を!』 と異様に目のつりあがった陰険な顔つきの大学教授が、完成しない論文に向かって吐き捨てたひょうしに、くしゃみをした反動でその無様な背骨をのけぞらせて硬直した空間を演出するように!」
「そしてそして、最後のお手紙です。 小学校の先生から。 私は小学校の講師をする傍ら、新年度に向けて保護者と教師合同の児童相談会の担当を任されました。 しかし、親たちの視線が痛いです。 何か口うるさい罵声が飛ぶ空間に耐えられる秘策はないでしょうか?」
「じゃあ、その親たちに言ってやってください。 『へへへ。 この小さなかわいい人質を返してほしけりゃ、明日までに一人につき一億円用意しな! もし警察でも呼んでみやがれ! 毛深い小学生から順にムダ毛をきれいにカットしてやるからそのつもりでいろ!』と、自分の毛深さに異常な誇りを持った誘拐犯が、憂さ晴らしに小学校の子供たちのありもしないムダ毛をカットすることで、究極の自己満足を達成することができると歓喜するように!」
「…なんだこのコーナー。 まさか、まだ続くわけじゃないよな。」
俺は続きもまたいつか、と書かれた看板を見てそうつぶやいた。
あけましておめでとうございます。私の無様度はどれくらいだったのかを考えることで、今年はぜひ、それを半分に減らす対策を取れる機会があることを願います。
皆さんはいかがですか?今年の目標は立てましたでしょうか?私は常に啓発しまくっています。ですから、人生の面でも、小説の面でも、私は必ず生まれ変わって帰ってくると思います。
今年からまた嫌な…が始まる、を共に克服していきましょう!
カーレンベルクの新年のご挨拶でした。