第16話 レコードの丸さこそ、神聖視すべき造形美ぞ!
「いかなるときも、戦士たる者、偉大なる神のよだれに忠実であれ。 フレクシス万歳!」
老人に導かれるままに俺たちが連れてこられたのは、喧騒渦巻く街中のレコードショップだった。
そのレジで暇そうに立ち尽くしているのは、最近の音楽ダウンロード業界に押されて客足乏しい店の店員だった。
「はあ、なんかいい方法ないかな…。 このままレコードを売り続けていたって、売上は下がる一方だし…。」
「そこの悩めるお主。」
「うわあ! なんだ…仮装パーティーですか?」
「いえ。 百パーセント違います。 でも、警察とか呼ばないでね?」
ラズリの瞳に誘惑されそうになっている店員は、若くて体格もよかっただけに、老人はあることを彼に提案した。
「お主、フレクシスワールドに入る気はないか?」
「…。 せっかくですけど、僕は結構です。 なんか君たち怪しい格好してるし、そんな人たちに頼んでも逆に悪化しそうで不安だし…。」
「へえ、ここの売り上げは随分と悪いんですね…。」
ロフィロイがぼそりと言った。
「ゴレマズド首長。 調べてみたのですが、この店の経営状況は最悪です。 資本金が億単位なのに、この店の状況だと、かなり負債を抱えていそうです…。」
「そ、それは…とにかくかえってください!」
彼は無理やり俺たちを店の外へと締め出してしまったが、落胆する俺たちと違い、老人の目はギラリと光っていた。
「まさか、無理やり入れる気じゃないでしょうね?」
「まさか! 無理やりではない。 洗脳しなくては主神の従僕足りえぬ! ゆくぞ者ども!」
そういってゴレマズドは俺たちを残して駆けていった。
クリスマスぼけ、っていうのはあるんでしょうか? 聞いたことないけど…
「この小説はうじ虫がわこうと…