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16番のエース

2010年 初夏 

楠女子高等学校2年。バスケ部所属。

『新谷 律』


この日、律はバスケットの地区大会に出るためアリーナにやってきていた。

『うわ~やっぱり男子もいっぱいいますね~先輩』

よっぽど嬉しいのか1年の柳が小声?で私に言ってきた。


普段の小さな大会のときは、

ほとんど女子高で試合をするため律たちは男子がいること自体新鮮だ。


だからそんな柳がとても可愛らしかった。


でも律は少し戸惑っていた。

別に男の子に興味がないわけじゃない。

でもバスケ部の男の子をかっこいいと思ってみたことは一度もなかった。


でも今日は会場の空気がとんでもないことになっていることに

いやでも気付かされた。


『キャー!!!!!』

『中村先輩!!!』

『駿く~ん!!』


何??すごい歓声…


歓声によばれるように移動してみるとそこには人だかりが。


高校生の試合でなんでこんなに人が?


『先輩!こっちです!!』

必死になって手招きするのは柳だった。


柳…いつの間に…


歓声の先になにがあるのか気になって人をかきわけ柳の元へ進んでみた。


するとそこには今まで気にもしなかった男子の試合。


男子の応援と女子の黄色い歓声


『すごい点差…決勝戦で?』

第4クオーター 残り3分

坂南 48対112 東工業


圧倒的な強さを誇る東工業高校は全国大会の常連だとあとから柳に聞いた。


ボールがラインから出たそのとき

『メンバーチェンジ』の声とともに5人が一気に入れ替わる。


その中にひときわ目立つ人がいた。

180cmがぞろぞろいるベンチメンバーの中で

1人どうみても私くらいの身長の人。


165くらい?


でも彼は確かに圧倒的強さを見せるチームの一員だった。


コートの中で誰よりも早く、

ボールがコートの外に出そうになると

自分が飛び、ボールをコートに押し戻す。


そのまま転げてしまってもまたすぐコートに戻っていく。

『笑って…る?』

なんで…


そのときの律はバスケットに対してなんの感情ももっていなかった。

いや、高校2年生の夏。受験も考えなければと思っていたから少しずつ部活さえ邪魔になっていた。

しんどくてつらくて、それでもバスケットを続ける意味がわからなくなっていた。


ぐちゃぐちゃした思いとは裏腹に

目は彼だけを追っていた。

後ろについた『16』の数字。


2分強の彼の活躍は素晴らしいものだった。

3pシュート1本にジャンプシュート2本(ファールも1回したけどこれは仕方ない。)


試合の終わりを告げるブザーが鳴った。

でも私には大きな歓声も私につかみかかった柳が何かを叫んでることも

よく聞こえていなかった。


ずっと彼を見ていたから。

まだ名前も知らない16番の背番号


『先輩?』

『お~い??』


『もしかしてあの16番に惚れちゃいました?』

柳は冗談のつもりでいったのだろう。

でも私は冗談で返せなかった。


『柳。一目ぼれって信じる?』


『あ~先輩…う~ん…これは失敗したかなぁ…』


柳はうんうん唸ってた。

私はずっと『16』の彼を追っていた。







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