「オペレーショントモダチ」(その6)
登場人物
海兵隊員(女性黒人・アン・フジムラ中尉)
海兵隊員(白人男性・エリック・モーザー軍曹)
高校体育教師(30代後半・東京出身・橋本公生)
奴・吉村君子(28・気仙沼出身・スポーツジムインストラクターのバイト)
高校英語科三年生担当教務主任教師(女性三十代・沖縄出身・浦添泰子)
海兵隊将校(白人・フィル・シューバッハ中佐)
JSG・Japanese security guard(仲宗根(日本人警備隊長・男性・四十代後半・沖縄出身・)
弓削田・地元テレビ局ディレクター
橘・同カメラクルー
河村校長。
岩本警部
(プロローグ)
(なれそめ)
(東北行)
(アフガニスタン2010)
(沖縄)
(岩国)
(岩国警察署)
(浦添泰子)
(アン・フジムラ)
(震災三日目)
(奴・吉村君子)
(ジョン・シューバッハ)
(イングリッシュ)…その6
(岩国基地)…その6
(県立岩国高校)
(基地内の高校)
(首相)
(岩国2)
(地元放送局の動き)
(新展開)
(霞が関・中央の思惑)
(岩国基地にて2・愛宕ヒルズ)
(政治)
(ステディー)
(なし崩し)
(政治2)
(気づき)
(霞が関2)
(気づき2・続き)
(岩国3)
(気づき3・続き)
(地元放送局3)
(思惑)
(枷)
(展開)
(親しく。「テッパンヤキ」)
(イコール)
(三沢へ)
(両親)
(プラクティス)
(プロム)
(反響)
(Differences)
(プラグマティスト達)
(エフェクト)
(良い結果)
(逡巡)
(フィクサー)
(政権)
(エピローグ)
(イングリッシュ)
帰りの道程は、はっきりいって何もやることは無い。
勢いおしゃべりタイムになる訳だが、此れは教師ハシモトにとって英語の訓練以外の何者でもなかった。
しかし、中尉や軍曹のおかげで帰りは、沿岸部の確認と言うもっともらしい理由を付けて、火の手がー幸いにも迫っていなかったー愛馬の停車場を経由、しかもピックアップをして帰路をこのように楽をさせてもらえている。
その上、途中で泊まった、空母?(強襲揚陸艦と言うそうだ)もそうだが、ヘリ乗員にまで、自分は、訳は解らないが少し有名人になっているらしく、親しく声をかけてもらえ、暖かい食事にシャワーまで使わせてもらえ、持参の着替えに着替える事も出来た。付き合わない訳にはいかなかった。
「彼女はハシモトのステディーなガールフレンドでは無いのか?」
軍曹は、自分の本能のままに質問をぶつけてきた。
答えに窮する処だが、正直に答えねばなるまい。
「う~ん。自分はステディーだと思った、でも(misunderstanding)誤解だったようだ?」
「misunderstanding?どういう意味だ!」
突っ込むなぁ・・・
「長くなるぞ!」
「構わないよ、未だ富士山が見えているくらいだから、時間はある」
なんてこった!
「日本の高校では四月から体育のカリキュラムに、ダンスを教えなければならない」
「Dance!どんなダンス?」
「映画のフラッシュダンスやフットルースで見るような奴だ」
「誰が教えるの?まさかお前か?」
「そうだ」
「日本でもPROMをするの?」
アンが割って聞いてきた。
「プロム?なにそれ?」
思わず日本語で尋ねてしまった。
「卒業式の後にするダンスパーティーなの、学生主催のね。いい思い出だわ!」
アンも日本語で返事をくれた。
「Promか、終わって直ぐJarheadになったから、確かに良い想い出、だな」
「ジャーヘッド?って、ナンだ?」
「おお。マリーン(海兵隊員)の事さ」
「でもジャーヘッドってのは馬鹿にした言い方なので、覚えなくていいわ」
アンが横から日本語で付け加えた。
「少なくともプロムの為ではなく、国が定めた教科として、現代ダンスを教えなければならない」
「ほぉーそれで?」
「自分は、剣道は教えられるし、野球くらいまでなら何とかなるが、Danceは門外漢だ。だから彼女は、私のDanceのパーソナルトレーナーだったのだ」
「じゃあ、何で愛情がこもって見えたハグをしたんだ、キスでもしたかったように見えたぞ!」
「見ていたのか?」
”趣味が悪い“ってこういう時に英語でなんて言えばよいのだろう?考えずにはいられなかった。
「ああ、見えた」
これは良い暇つぶしだ!エリックとアンは同時にそう考えた。
「分からなかったんだ。最初は彼女とは、“うまが合わない(umaga awanai)”なんて言うんだ…」
「not get along with?」
アンが助けた。
「何で?」
「分からない。でも私は教師(公務員)」
「そう倒産や失業のない仕事を持つ人間なのに対して、彼女はパートタイムジョブの(ダンス)インストラクター。しかし、彼女の学校のキャリアと私のキャリアはそう変わらない。だからかな?」
「それは不安定。ッてこと?」
「でも、彼女の為にお前はあんな所まで、行ったのだろう?そのモチベーションは何処から来たんだ?」
「愛情でもなければ普通は行かないだろう?」
「Yes・・・多分愛情に似た感覚はあったと思う」
「でも彼女には無かったようだ」
「彼女が不安定と感じていて、自分が安全な所にいる」
「私にはそれが理解できた」
「だけどsympathize、でいいのかな?」
「そういった同情は持たずに、この期間上手く付き合って、お互い気持ちよく時間を有意義に使う努力をした」
「その結果、好きになった。お互いが、レッスンの後半は、その様な感じを持って、彼女との時間を過ごせていたんだ」
「意味通じるかな?」
かなりシンプルな言い回しでの説明だったが、エリックとしては、彼は、いい奴だ。と言う認識を持つことが出来た。
アンは・・・中尉は士官らしく、事の正鵠を射て事態を把握したいタイプだとエリックは感じた・・・
「ごめんなさい、日本語を使わせてね」
と断って、ハシモトに追加質問を始めた。
「それで、Danceは上手くなったのですか?生徒に教えられる程度には?」
「それなりに上手くなったと思います。二月に東京に行って彼女に教え始めてもらった頃から比べると」
「でも本当は追加・・・いや継続的に岩国に帰って、レッスンは受けたいと思っています。」
「ただ、立場上、おおっぴらに学校・生徒に分かるような場所でレッスンを受ける訳には行かないから、困っています」
「それで彼女を連れて帰ろうと?」
「Noそれは無い、はっきりと」
「最終日に、実は彼女と喧嘩みたいに成ってしまったんですが、その時は、私のレッスンが終わったらインストラクターをやめて田舎に帰る。と言う話を急に切り出されて・・・」
「その時はっきり確信したんです。この娘が好きかも知れないって」
「だから下心で連れて帰るとか、個人的インストラクターとか言う気持ちは有りませんでした」
「でも、自分は彼女より十歳以上も年上ですし、なんていうか分別って言うんですが、意味は分かりますか?が効いてしまって」
橋本は自分が落ち込んでいくのが分かった。
「分かります“分別”と言う意味は」
「で感情的に?」
「ところでハシモトサン。十歳も年上って、貴方はおいくつなんですか?」
「三八です。間もなく三九になります」
「ええ!」
アンは彼が自分よりも、その彼女よりももしかしたら年下かもしれない。事に驚いた。
「中尉、どうしたんですか?」
エリックはアンの少し驚いた表情が気に掛かった。
「軍曹、ハシモトサンは、私よりかなり年上。もしか、したら貴方よりも年上かもしれないわ!」
「いくつ?」
「三八もう直ぐ三九だそうよ」
「Oh・・・私より五つも年上です」
「日本人は若く見えるわね(苦笑)」
「はい」
橋本には、彼らが自分の年齢の事を話題にしていることはすぐに分かった。と言うことは、こいつらは私より年下だ。と言う事も想像できる。この想像が彼にゆとりを持たせた。
こう言った質問をする時は、必要以上に神経を使わなければならない。
なんせ日本では、一瞥しただけで判る人種を実感する事も意識する事も環境も殆どない。在日の人は土地柄多くいる。横浜や神戸には華僑もいる。
しかし、一見しただけで、これが韓国系・中国系などわかるものでは無い。焼肉屋や、パチンコ屋は韓国朝鮮系の人たちが幅を利かせているかも知れない。でも、日本中の中華料理店やラーメン屋を中国人が経営している訳など無い。
日本にいる中国系の人は、少なくとも、この辺りでは、比較的成功している、優秀なビジネスマンがほとんど。東京や大都市ではマフィアもいると聞くが実感は無い。
宗教に関しても、我々は無頓着だ。結婚式とクリスマス。まぁ役得でバレンタインデーではキリスト教徒に。正月は神道。葬式は南無阿弥陀仏。
幼い頃は、駅前にワイシャツにネクタイ姿のモルモン教徒(後でそうだと知ったのだが)“貴方は神を信じますか?”と言って、英語を教える代わりに信者の勧誘をする姿を見かけたもので、それを子供同士でふざけて真似をしあった記憶は残っている。
選挙の度に家に押しかけて勧誘や運動に来る新興宗教は、例の事件以来、全て薄気味悪いモノとして関わらない様にしている。そんな程度だ。
道徳観に関しては、武道を志した頃から儒教の道徳観が関係しているのかな?と、たまに感じるくらいの感性しか持ち合わせていないし、そんな土地柄に住んでいる。
ただ教員採用試験。いや教職課程で、この件に関しては、自覚を持ち、無頓着ではいけない事を“学んでいる”。
誤解をされてはいけない、中尉に日本語で質問をぶつけてみよう。
「ところで皆さん、ダンスはお上手ですか?と言うか、映画みたいな感じで、日曜日には教会とかで軽快な賛美歌を歌ったり、とかでダンスを楽しまれます?」
「??」
答えに窮した。我々の肌の色を見て彼はその様な事を聞いたのか?勘ぐる事は、性に合わない。アンは、軍曹に話を振った。
「軍曹、貴方はダンスをするの?」
日本語の会話の意味がわからなかったので、想像で答えるしかないがエリックは
「多分ハシモトよりは上手く踊れると思います」
と答えた。
「彼は上手くダンスが踊れるそうです」
「私も踊れと言われれば、阿波踊りよりは上手く踊れると思います」
差別的質問とは捉えてないな。『そうですか、それならば、いやよければ軍曹にダンスの手ほどきを受けたいです』と言いたい処ですが実際
「そういった訳で、帰ってから、何処でどう練習して良いか、実は(今思いついたのだが)困っていました」
会話のリード権は、こちらが持てるぞ。橋本は内心ほくそえんだ。
「それは無理かもしれません」
「え?」
「彼も私も、少なくとも私は、岩国には臨時で派遣されて、今は帰国命令を待つ身です。本来の所属は岩国では有りません」
「彼も多分」
「軍曹、貴方にダンスを教えて欲しいそうよ!でも、貴方も帰国するのでしょう?間もなく」
「はい」
「やはり彼も、間もなく帰国する予定です。」
「そう言った意味はありません」
いかん!リードされている。
「ただ、今回のお礼と、軍曹にはこの前のお詫びも兼ねて、皆さんの非番の日が合うならば、一度食事にでもお誘いしたいのですが?」
「それは、嬉しいお誘い有難うございます」
ここは、そつなく、相手を傷つけることなく切り抜けよう。
「軍曹、ミスターハシモトに食事の招待を受けたけれど、貴方の都合は?帰らないと判らないって答えて構わない?」
「お任せいたします中尉」
エリックは、個人的にハシモトに尋ねたい事はあった。
「そうですか?では私の携帯番号をお教えしますので、ご都合が付くようでしたらばお知らせください。特にお二人は何か苦手な物はありますか?生魚とか?」
「多分、それは無いと思います」
ヘリコプターは徐々に高度を落とし始めた。眼下には冬の太平洋から暖かい瀬戸内海の海と島影が広がっていた。
日本の役所と違って、アメリカは柔軟に何事も対処するな。
ヘリを降りて帰宅した橋本の第一印象であった。
日本ならば、やれ色々な所に根回し挨拶、書類類の作製・提出。と、来るだろう。
しかし、米軍は
「中尉、司令官や責任者の方への挨拶は?」
「ア!構いません、仲宗根隊長、こちらをゲートまでお送りして」
日本人の名前から察するに沖縄辺り出身のベテランの職員(とは言っても腰に拳銃をぶら下げているのはアメリカらしい)が近づいてきた。
彼も私のことは知っているようだ(と言うことは例の花見事件に関与していた一人なのだろう)。
こちらへ、バイクを後部ゲートからヘリのクルーが降ろしてくれていた。それを受け取り、バイクを押しながら、仲宗根隊長と呼ばれた制服職員の後に続いた。
「エンジンはかかりますか?」
仲宗根は、この青年が、このバイクで東京から気仙沼までガールフレンドを救いに向かった事を知っていた。
と言うか、日本人職員全てが知っていた。彼は米軍内で既にナイトであり有名人であった。
「大変でしたね。東北の皆さんは大丈夫でしょうか?」
「大丈夫では無いと思います。神戸の時よりも相当酷いと思いますから、元通りになるのにどれ位?掛かるのか、被害の規模も想像できないくらいでした」
「有難うございます。エンジン掛かるようです」
「そうですか、ではお手数ですがこちらにサインと今の時間を書いて頂けますか?」
「はい、これだけですか?」
「これだけです。ではお気をつけて」
「有難うございます」これが基地に戻ってからの全てであった。
(岩国基地)
奇跡であった三月十五日の職員会議(卒業式前の)に出席できる事は、被災地に向かう途中で諦めていた。河村校長、教頭(副校長)、教務主任には、報告書の提出こそ求められなかったが、今回の事件でのいきさつを説明させられたのは仕方がない。が、何故向かったのか、理由をひねり出すのには苦労をした。まさか女の為。とは口が裂けてもいえない。
しかし見てきたこと。被災の状況。携帯で少しは撮影してきた写真などを使って、来年度の始業式で、生徒に東北の惨状を説明しなければならなくなった。勿論、基地の町岩国である。米軍の事も、よい意味で説明をしなければ=とは言っても実際、良かった訳で何も脚色をする必要は無いが=ならない。
校長の指示と計らいで、市の広報課を通じて、米軍に関する内容をすり合わせすることも、忘れてはならない。
よいエクスキューズだ。上手く行けば、又中尉や軍曹にも会える。アメリカの対応とは異なるこの日本的なシステムもまんざら捨てたものでは無い。
市の広報課に電話をし、本来広報課がすべき段取りを全て代わってする旨を伝えた。勿論、面倒な作業を省いてくれる申し出に、広報担当者は『快く応じてくれた。』教えてもらった基地の広報セクションの代表番号の先は、最初から日本語、多分日本人スタッフの日本語だ。用件と名前を告げた瞬間、声のトーンが変わり、全て判っているかのような対応になった。
「なんか、妙な形で有名人になっているようだ?」
と覆わず呟くと、すかさず
「橋本さんは、こちらでは、ブロークンハートの居合いの達人と言う事になっています」
と含み笑いを押し殺した声で返事が返ってきた。
「なんだそりゃ!」
今度は声に出さずに呟いた。
岩国基地は日米共用の基地で、間もなく民間空港の機能も持つ為の工事の真っ最中であった。ここが出来ると新幹線しかなかった東京へのアクセスは非常に早く良くなる。
基地の入り口は自衛隊岩国基地と米軍の岩国ベースで分かれているが中では繋がっていた。救難飛行艇が滑空できるスロープ以外は、確か滑走路は一本しかない空港のはずなんだが?米軍の基地内には、学校のような建物や広いグラウンドなどの生活設備が意外と充実していることには、驚いた。
今回は「形」としては広報を通しての正式な会談なので、日米の公式プレスが付き、基地の責任者シューバッハ大佐と通訳として狙い通りフジムラ中尉が同席した。
こちらは、副校長(教頭)と自分である。
今回こちらも身なりを整えていたが、フジムラ中尉も、体のラインが良く判る基地用の制服(サービスユニフォームと言うらしい)を着こなしていた。
印象は“太っていない”と“意外に美人だ!”と言った感じか。
やはりアノ場面で合うのと、こうやって落ち着いた雰囲気で合うのでは印象は違う。
「事情は理解いたしました。こちらとしては橋本先生が、援助ボランティアと友人の安否確認をしに行き、帰りに我々の航空機に乗って戻った。と言う事実以外には関知しませんのでその範囲で、米日協力関係のアピールに繋がるのであれば、どうぞ、ご自由に名称をお使いいただいて構いません。」
実にあっさりとした反応であった。
「ところでお時間もお時間ですから宜しければ教頭先生も橋本先生もランチでも如何ですか?」
意外な申し出であった。
「丁度軍曹も未だおりますので、宜しければ同席させますが?」
え?確か、自分の知識では仕官と下士官では食堂は違うはずだった。
と言うことは士官用ではなく一般兵用の食堂に招待されるのだろうか?
でもこのような機会はめったにないな。教頭も全く同じ事を考えているようだった。「それは有難い。実に岩国市民と言っても米軍基地を見学する機会は、大人気の5月の基地祭くらいしか有りませんので、喜んで御相伴に預かりたいと存じます」
もともと英語教師である教頭の答えは、よどみがなかった。
意外な事に士官用食堂と思える「立派な」レストランであった。
やってきた、大佐と中尉だけでなく、モーザー軍曹も、グリーンのスーツタイプの軍服。胸には戦功の多さを現す勲章の略称のリボンが無数に縫い付けてあった。
「昼からステーキかアメリカだな」
五十台後半いや六十になったばかりの副校長は見ただけで満腹感を感じる内容だが、意外にアメリカ産の牛肉は国産の霜降りと異なり、油っぽくなく、かといって硬くもない。これは調理法によるものなのだろうが、ハーフパウンドのステーキは、すんなりと副校長の腹にも収まった。付け合せの野菜、此れは冷凍だろう。それとサラダ、パンも非常に美味しく頂く事が出来た。
軍曹にとって普段食堂でとる食事に比べこれはかなりのご馳走には違いがないのだが、量的に物足りない事が食べ方によってわかった。
サーブされる度に、彼の皿が、真っ先に空になって行った。
ここでの共通語は英語である。
副校長はここぞとばかりに、英語で司令官と話を始めた、ナニをいっているかは、おおよそ理解できたが会話に入り込む事は、自主的に控えよう。
そんな事を考えながら話は、例の事件の事になっていった。
エリックは、この初老の紳士から最初に自分の監督下にある生徒が、大佐の部下、勿論エリックにも、に対して取った行動の非礼をわびた。
そして話は進む内にあの時何で自衛隊の将校は、ダンスのことを自分に聞いてきたのか事情が把握出来た。
要は彼らの息子は、橋本達の教え子の世代にあたり、彼等、家族にとっても、この春からのカリュキュラムである、ダンスの授業には、興味津々なのであるということなのだ。アフリカ系アメリカ人は、日本人のステレオタイプとして皆ダンスが上手いという事になっている。
「そう言った事ならば、ここの設備を利用してみては如何ですか?」
大佐からの意外な提案に橋本は驚いた。
「アン、軍曹、適当にダンスが上手い人間をピックアップか、ボランティアを募ってくれないか?私もDoDEA(ペリー高校)のジョンソン校長に電話をしてみるが」
「サー」
としか二人には答えようがなかった。“このおっさんは気楽だ。”と言う風に二人は感じているな、と橋本も感じた。
しかし実際は、“我々が彼にダンスを教えろっ!て言う事か?”と軍曹は感じていた。




