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「オペレーショントモダチ」(その21)

海兵隊員(女性黒人・アン・フジムラ中尉)

海兵隊員(白人男性・エリック・モーザー軍曹)

高校体育教師(30代後半・東京出身・橋本公生)

奴・吉村君子(28・気仙沼出身・スポーツジムインストラクターのバイト)

高校英語科三年生担当教務主任教師(女性三十代・沖縄出身・浦添泰子)

海兵隊将校(白人・フィル・シューバッハ中佐)

JSG・Japanese security guard(仲宗根(日本人警備隊長・男性・四十代後半・沖縄出身・)

弓削田・地元テレビ局ディレクター

橘・同カメラクルー

河村校長。

岩本警部



(プロローグ)

(なれそめ)

(東北行)

(アフガニスタン2010)

(沖縄)

(岩国)

(岩国警察署)

(浦添泰子)

(アン・フジムラ)

(震災三日目)

(奴・吉村君子)

(ジョン・シューバッハ)

(イングリッシュ)

(岩国基地)

(県立岩国高校)

(基地内の高校)

(首相)

(岩国2)

(地元放送局の動き)

(新展開)

(霞が関・中央の思惑)

(岩国基地にて2・愛宕ヒルズ)

(政治)

(ステディー)

(なし崩し)

(政治2)

(気づき)

(霞が関2)

(気づき2・続き)

(岩国3)

(気づき3・続き)

(地元放送局3)

(思惑)

(枷)

(展開)

(親しく。「テッパンヤキ」)

(イコール)

(三沢へ)

(両親)

(プラクティス)

(プロム)

(反響)

(Differences)

(プラグマティスト達)

(エフェクト)…その21

(良い結果)…その21


(逡巡)

(フィクサー)

(政権)

(エリック・モーザー軍曹)

(エピローグ)

(エフェクト)

この回は、過去のドキュメントの中で最も数字が取れた。

生徒達のわだかまりを解く為の、岩国署を挙げての協力、授業と護身術教室、授業内容を鑑みると、唯一、社会科授業の内容が“懸念点”で有ったが、アメリカ大使館などからの抗議は、一切無く、むしろアメリカ側の“好意的な報道”が目立つ結果となった。

しかし彼は、この番組の内容は、いささか気に入らなかった。

それは、“事故”が起きた時、日本(の行政)側の対応が、何時も、アメリカ側の論理と取り決めにより、酷い時は無視。良くても外野席に取り置かれていた『事実』を淡々と生徒たちに伝える様が“写し出されていた”からである。

その後の護身術の授業は、だから基地のそばの婦女子には護身術が必要なのだ!

それ位、沖縄米海兵隊基地は、住民にとって危険で、要らないものだ!

と訴えているようにも、見えた。

この放送後、野党や自党の反主流派から、日米地位協定の改編を強く訴えられる事は明らかだ。

自国第一主義で、何事も損得勘定から考えが始まる。

故に御し易かったアメリカの友人からは、不興を買う、いや、これを口実に、プレゼンスの削減を進められる可能性?いや、少なくとも口実を取られる事は、明らか。と感じていた。

安易に、この企画で、懸案の問題の打開せめて『糸口に出来る可能性』が、有る。と読んでいた自身の“浅はかさ”を呪っていた。

官房長官は、どう感じたか?抜本的な対策を講じなければならない。

明日は、防衛と外務省のブレーンも総動員して諮問しなければ、と考えた。

唯、圧力を掛けて“止める”事は、もはや出来ない位、この番組の国内外における反響は、大きなものに成っていた。


彼は、彼の上司から“何か言われる”だろうことは、想像に“難くは”無かった。

しかし、この番組を米国に売り込む為に、知己の有る、何人かのアメリカ人記者や、日本語が出来るアメリカやカナダ、ネイティブの外人タレントに電話を掛けていた。

外信や、大使館関係者からの反応が良かった事は、既に情報として得ている。

ならば、まずは、彼の御友人の目に留まらせることが肝要だった。

日本における米国の友人としての“プレゼンス”の考え方は、彼と彼の上司では全く異なっていた。


弓削田の属するグループと敵対する、保守系のメディアグループの報道もどきな番組が、まずこの事に噛みついた。

要は『学校。しかも公費(税金)で運営されている日本の県立高校と基地内のアメリカ人高校生の異性間交友にお墨付きを与える事はけ“けしからん”』と言う事だった。

今まで、ある筋から、この件に関する報道を差し控えさせられていた“ライバル達”も、こぞって、このテーマで、世論を誘導…いや弓削田には、このネトウヨ以上に、アナクロな、化粧の濃いお婆ちゃんアジテーター(コメンティター)や、元政治家を要する、この番組を除く、他の番組は、面白可笑しく話題を攪乱し、あわよくば数字を得ようとしている、商売人に過ぎない様に見えた。

名の知れた“教育評論家”を名乗る文化人や、有る程度、学歴の有るママさんや、パパさんタレントと呼ばれる人種を動員して、面白おかしく無責任な言動を煽り立て、それがまた結構な数字を生んでいた。

県議会与党は、国と勢力は変わらなかったが、報道?の過熱に煽られる形で、与党内で彼の派閥と、それ以外、に分裂し、彼の派閥側の保守系与党が、革新系やリベラル、宗教系は、反対側に抱きつく形で、議会内も意見が二分する在り様になって来た。

最初、この企画を世間に知らしめさせ、当初、好意的に推し進めたのは“彼”であるのに、彼は、隠然と県議会にネガティブなサインを送り続けた。

しかし党本部を掌握している、彼の年上の部下は、全く逆の指示を出し続けていた。

しかも、彼が、気が付かぬように、密かに、しっかりと、彼の“意を汲む”省庁の極少数の幹部を介す形で、そう、この前の電話で、河村から、釘を刺されていた。

この事態が進む事を快く思わない中央省庁の幹部の耳目には、絶対入らない様に“事を進める事”が、肝要で有った。

しかし彼の上司の意向を汲んだ、それら省庁(快く思わない中央省庁)の動きは、彼の立場から、手に取る様に見えていた。

そう、相手のカードを見ながら、ポーカーをする様なものである。

だから“勝つ事”は、絶対で有った。

問題は、相手の面目を潰さぬ様な、勝ち方だけであった。

No1は、責任が重い割に孤独だが、No2は、責任は軽く、情報量と選択肢が豊富なのだ。

彼は、ほくそ笑んだ。

県議会がこの有様でも、行政部門は、行政らしく硬直化している事が好都合であった。

最初、上からの意向が、健全な形で『推進させる』で有ったからには、今更ブレーキの掛け様も無く、末端の行政職員にとっては掛ける行為自体『想定外』で有った。

岩本をリーダーとする警察署、および県警本部は、末端の交通関係の婦警や、交番勤務の警邏巡査に至るまで、学校が管理できない時間帯、彼ら、子供たちの行動に目を光らせ、周囲から後ろ指をさされないように配慮、指導した。

米軍の基地祭実行委員は、引き続きこの高校生達のフェスに協力する為に組織を解散しなかった。

その事は星条旗新聞や基地発のフェイスブックなどのSNS、広報を通して、日本語と英語で全世界に、ばらまかれて行った。

この事態は、河村の想定通りで、押すべきところを押さえ、示唆を加えれば、ある程度の成功は予見できた。

ただ、これほど世論が味方する事は想定外で有った。


(良い結果)

アンと橋本は、最後の授業のチョイスを生徒たちに決めさせるための、道筋を考えていた。

未だ生徒たち全員が、カップルに慣れている訳ではないが、授業の並びや席次を見て、徐々に日米の子供たちが、グループを作り、そのグループやカップルは、日本人同士ではなく、日米の生徒各々が混在する形に成っている、確実に“垣根”が壊れている事が嬉しかった。

このグループが、市内の喫茶店やカラオケボックス、ファミレスで会って話をしている事は、岩本からの報告で、指導する立場の人間全員に把握されていた。

特に若手警邏職員は、市内、県内で優しい目を持って彼等を見守っていた。

県内でも優秀な部類に入る生徒たちは、受験英語と、実践的な英語の違いや、歴史の教科内容の違い、引いては習慣から来る、物事の受け止め方の違いをお互いが認識し、共有し合うプロセス。

お互いが、お互いを深く知る事で、非常に知的好奇心を刺激し合っていた。

岩本曰く

「非常に健全で。微笑ましい形で有る」

と。

その言葉は、浦添の強い指導力や、日米の教師間の積極的な情報や授業内容の交換、そして何時の間にか出来た、放課後、塾の行き掛けや、帰り掛けに、気軽るに寄れる浦添が始め耕し、エリックと、県警職員に引き継がれた護身術の教室(授業?)のおかげである事は、明白で、この護身術授業は、無料で、且つ、浦添も、たまに参加している事で、健康維持の面からも、父母達だけでは無く世間様から想定外に、絶大な好評を得ていて、結果、岩国署だけではなく、周南地域で、県警は強い信頼を市民から得る事に繋がっていた。

日本人の生徒達には、明白な目標が有り、それを明確に見せておく事で、世間が喧伝し、懸念している様な、不純な事態は、考えられなかった。アメリカの生徒達も、それは同様であった。

勿論、生徒間で多少の恋愛感情は“湧いて”いる事は、十分承知している。

しかし、それは目標に比べれば、彼等の中でプライオリティーは、

「低かった」

のである。

この六月の四週間で、生徒たちを取り巻く環境は、大きく変わっていた。

弓削田達は、世間の騒音を耳から完全に排除して、その様を丁寧かつ丹念に追いかけていた。

アンと、橋本の間で、話が、纏らなかったのは、この最後の授業を授業にするのか、それとも御褒美にするのか?の一点で有った。

副校長からは、今年の学園祭を秋では無く、学期末テスト終了時に、前倒しにして、地域のお祭りにして、その中での成果発表では、どうか?と言う提案が、未だ、崩されず維持されていた。

そこで、この特殊授業の成果を学内の後輩や、父母だけではなく、地域にお披露目すると言う事が“骨子”で有った。

これは、弓削田の局以外が、喧伝している“騒ぎ”に対処する案としては、最も、効果的に思われた。

しかし、そもそも“プロム”とは、そう言ったモノではない。アンだけでは無く、アメリカ側の教師は元より、両校の生徒には、その一点で蟠りが有った。

橋本は、浦添を、アンはエリックを招き、四人でその方向性(落とし処)を語り合う事に、成った。

浦添は、その連絡を橋本から受け取ったのが岩本の家(下宿先)で有ったので、勢い、アンと橋本の悩みは、岩本と河村の耳に入る事となり、アメリカ側でも、エリック経由でシューバッハ大佐の耳にも入っていた。

河村は、名前こそ、新聞で見た事は、有った?かもしれないが、その基地総司令官として、その存在を全く知る必要が無かった。

しかし、シューバッハに執って、河村のキャラクター全てを知る事は、容易で有った。

彼の日時、時間別の居場所、電話番号は、勤務場所、自宅、携帯電話に至るまで、そして、彼が、沖縄出身で有り、自分と同じ、米国式の初等教育を受けている事から、最終学歴や現在に到る迄、経てきた経歴や地位、普通に英語が話せる事も、大佐は、把握していた。

「ハロープロフェッサー」

彼の電話は、何時も、彼の階級や立場を意識させない、この様にフランクに、始まる。

彼は、河村を自宅に夫婦で招いた。しかも運転手を指し回して。

と言う事は、彼は、妻に後ろ指を指される事は無く、しっかり河村と杯を交わすつもりであった。

又、彼の経歴から来ている在日米軍。

しかも海兵隊のトップの現状を素のままに見て、彼が、どう反応を見せるか?も、興味の対象であった。唯、誤算だったのは、河村の、膨大な民間だけでは無く、国際情勢や、軍事技術に至る迄の、知識と、趣味、経験量から来る態度対応だけではなく、彼を凌駕する、国内外の上位者達と既知の多さが有った事を知った事であった。

大佐は、彼と良い友人であり、良き相談相手としての人間関係を作らねばならない事を確信した。

意外だったのは、自身の妻と、河村の奥方が、すぐ打ち解けた事であった。

彼女達は、ディナーの後、居間に放置出来た事は、河村と、突込んだ意見交換する十分な時間を彼に与えてくれた。

勿論、河村の妻(彼女)も、普段使う事が無い為。語彙が少ないせいか?電子辞書を片手に、では有ったが、そつなく英語を話し、しかも、南部ジョージアの田舎出身、しかし大学を出て、しっかり、普通のアメリカ人女性である妻と異なり、彼女は、都会的に洗練され、聞き上手なリベラルな考えの持ち主の様だった。

二人でキッチンに立ち、何やら?ごそごそしていたら、ワンプレートにデコレートされた、見た目だけでなく、素晴らしい味のカナッペ(おつまみ)が複数、現れた事には驚かされた。

『妻も私同様。河村さん(の奥さん)に魅了された様だ』シューバッハは、確信しながら、河村と何杯目かの“ワイングラス”を交わしていた。

その夜は、妻の興奮した“河村夫人”の話をかなり深夜まで聞かされる羽目に陥った。

帰りの車で河村は、妻に

「楽しめたかい?」

と尋ね、彼女は

「ええ」

と微笑んで答えた。

ただ二人とも質問の多い、知識に対して貪欲な、好奇心旺盛な典型的なアメリカ人だった。

という好印象が残った。

ただ河村は、基地のボスは、自身の企みには

「好意的である」

事を確信した。この事は、彼には耳打ちしておこうと考えていた。

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