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33 病気を克服する

「病は忘れることによって治る」

中村天風


現代で急増しているうつ病や神経症にかかった場合、どう克服すればよいのでしょうか。孫子の兵法に「相手と自分のことを知れば、百戦しても危険はない」とあるように、まずは病気について理解することが重要です。相手を知らなければ、効果的な対策を立てることができず、行き当たりばったりになってしまいます。


うつ病や神経症を患うと、自律神経が乱れてしまいます。だから、まずは自律神経を安定させることが大切です。そのためには、規則正しい生活を送り、過度なストレスを避けることが必要です。栄養バランスのとれた食事を心がけ、お風呂は血流を良くするため、ゆっくりと湯船に浸かりましょう。体温が下がるときに副交感神経が働き、眠りにつきやすくなるので、寝る前にお風呂に入ると良いです。


また、ストレスが溜まったときのために、それを発散できる方法をいくつか持っておくことも重要です。運動や散歩など体に良い活動を優先し、それでも解消できない場合は段階的に別の方法を試します。暴飲暴食など体に負荷がかかる方法は最後の手段としましょう。


自分の長所や短所、癖などを見つめ直すことが大切です。自分の特徴を知ることで、自分を変えることが容易になります。人間には自我があるため、思考には主観が入りがちです。その結果、現実とは異なる思い込みや認識のズレが生じることがあります。ですから、自分のことを考える際には、偏らないように客観的に考えることが重要です。


自分を知るためには、他人を知ることも必要です。他人と比較することで、より正確に自分を理解することができるからです。歴史を見てみると、さまざまなタイプの人間がいることがわかります。例えば、織田信長のように常識にとらわれず合理的に行動するタイプ、豊臣秀吉のように積極的に挑戦するタイプ、徳川家康のように忍耐強く物事を考えるタイプなどがいます。


戦国時代や幕末は、停滞した冬から新しい春へと変わる変革の時期であり、魅力的な人物が多く登場します。歴史上の人物と自分を比較し、自分がどのようなタイプなのかを考えてみましょう。


うつ病や神経症の主な原因はストレスです。これらを患う場合、何かしら無理をしていることになります。それは、自分を見誤り、自分に合った生き方をしていないせいかもしれません。自分と似たタイプの歴史上の人物を探し、その人物がどのような状況で成功や失敗をしたかを見てみましょう。そうすれば、自分の生き方を見直すことができます。現代の問題は、過去に起きたことが形を変えて現れているにすぎません。どんな問題も、それを解くヒントは過去の歴史の中にあるのです。


病気は意識すればするほど悪化します。最も大切なのは、病気について考えないことです。消極的な考えにとらわれていると、病気はさらにひどくなります。病気について考えることをやめれば、それはただの体の異常となり、あとは自然の力に任せておけば、自然に治っていきます。転んで擦り傷ができても、放っておけば治るように、心も同様に自然治癒力が働きます。


すぐに消極的なことを考えてしまうのは、無意識の中に不要な自我が残っているからです。幼い頃の恐怖体験などによって、 恐怖、怒り、不安など本能から生まれる感情が心の奥底に残っていて、それが原因で消極的な考えが湧いてきます。


かつての弱肉強食の時代には、恐怖や不安は外敵から逃れるために役立ちましたが、現代社会ではこれらは不要になりました。例えば、仕事中にストレスを感じても、その場から逃げ出すことはできません。また、現代では怒りを感じて手を出してしまえば、逮捕されるかもしれません。


ですから、不要な自我を心の奥底から消していくことが必要です。そのためには、日々積極的な心を持ち続け、これらの感情を少しずつ薄めていくしかありません。


病が生じると、それに気を取られ消極的になりがちですが、実はそれをチャンスに変えることもできます。病は、宇宙の法則に反したときに体に破壊の作用が起こり生じます。つまり、病は現在の生活に何らかの問題があることを宇宙が教えてくれるサインです。だから、病は自分を改善するためのチャンスなのです。


病になるということは、道から外れているということです。宇宙の法則に背くと、健康や運命に問題が現れてきます。積極的な心を持てば、宇宙霊と同調して生きることができます。本来あるべき状態にすぐに応じることを「本然即応」といいます。積極的な精神を持つことが、人間の本来あるべき姿なのです。


積極的な心を育むためには、真理を学び、それを実践して自分を見つめ直すことが必要です。最終的には、すべてがこの過程に集約されます。病気を克服することも、悟りを得ることも、自然の法則に従って生きることも、真理の中で生きることも、徳を積むことも、すべては同じことなのです。心の本質は徳であり、知識や技術はそれに付随するものに過ぎません。


一人で考えられることには限界があります。だからこそ、心から尊敬できる人物を見つけ、その考え方や信念を学ぶことが、病気を克服する最も効果的な方法です。これによって、積極的な精神を身につけることができます。学ぶ相手は、歴史の偉人でも現代の人物でも構いません。重要なのは、自分の心を積極的な状態に保つことです。心こそが人生の基盤であり、人生を形作る根本です。

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