10 宇宙の視点
「あなたが悩んでいる問題は本当にあなたの問題だろうか。その問題を放置した場合に困るのは誰か、冷静に考えてみることだ」
アルフレッド・アドラー
心や体は、霊魂の道具です。しかし、心や体に主導権を渡してしまうと、感情や痛みにとらわれて冷静な判断ができなくなります。自分の本質が霊魂にあることを忘れないようにしましょう。人形遣いが糸と人形を見るように、自分の心と体を客観的に観察して、冷静さを保ちましょう。
観察するときは、広く、深く、長く見ることが大切です。狭く、浅く、短く見てしまうと、判断を誤るかもしれません。宇宙の視点から自分を見つめるつもりで、自分の状態を冷静に把握しましょう。
心に雑念が浮かぶと、意識が散漫になり、心と体のバランスが崩れます。そうならないために、雑念をすぐに消して、心や体に主導権を渡さないようにしましょう。御者が手綱を放せば、馬車の馬は勝手に走り出すかもしれません。人形遣いが糸や人形と一体になって劇に臨むように、私たちも心と体を統一して、物事に臨みましょう。
心と体を観察するとき、どちらか一方に気を取られないようにしましょう。人形遣いは、人形と糸の動きを両方把握している必要があります。これを車の運転に例えてみましょう。カーナビを見ずに運転すれば道に迷いますが、カーナビに集中しすぎると前方不注意で事故を起こしてしまいます。運転しながら時々カーナビを確認すれば、事故を避けつつ目的地にたどり着けます。普段の生活でも、現実に集中しながらも、時々心を確認することが大切です。
体は目で見えるし、触れれば感じることができるので、心に比べて観察しやすいです。しかし、心は目に見えず、怒りなどの感情があると冷静に観察するのが難しくなります。まずは、心を客観的に観察する習慣をつけましょう。そうすれば、心が感情に振り回されることが少なくなるはずです。
自分の心を客観的に見れていないと感じたら、人形劇を思い出してください。人形遣いが糸を見ているように、自分の心を観察しましょう。第三者の視点で自分の心を見れば、絡まりそうな糸をうまく解くことができます。
怒りや悲しみ、不安といったネガティブな感情は、体に悪影響を与えます。こうした感情はストレスホルモンのコルチゾールを増やし、体の細胞を傷つけてしまいます。怒りは炎症を引き起こしたり血圧を上げたりして、脳卒中などのリスクを高めます。怒った人の吐息には有害物質が含まれ、それをネズミに注射すると数分で死んでしまうほどです。ネガティブな感情がどれほど有害かを理解し、自分で自分を傷つけないように気をつけましょう。
困難に直面するとネガティブな感情が湧いてきますが、それを感じているのは霊魂ではなく心です。心がショックを受けているだけであり、心がそれほど大したことないと思えば、ネガティブな感情は消えてしまいます。すべては心の持ちよう次第です。
心が暴走しないように、冷静さを保つことが大切です。馬が暴れ出したら、騎手が馬を制御するのは当然です。同じように、時々自分の心を客観的に観察する習慣をつけましょう。
他人が自分をどう思おうと、自分が自分をどう思おうと、本当の自分は変わりません。自分を判断するのも、自分をどう思うかも、すべて心の働きであり、心はただの道具です。心は状況に応じて変わるので、他人の意見や自分の考えに振り回される必要はありません。本当の自分である霊魂は何があっても変わらないのです。
心や体を自分の本質だと勘違いして、プライドが傷ついたり、怒りを感じたりするのは無意味です。心や体はただの道具であり、それ自体に大きな価値はないのです。
