『舜見、野生のプレスマンの体をなすこと』
大和国に、野生のプレスマンを狩って暮らす者がいた。舜見上人は、いつも、野生のプレスマンは絶滅危惧種だから、狩りをやめるように言っていたが、一向に聞き入れようとしなかった。この漁師が、五月下旬の月がほぼないころ、照射狩りに出たということを聞きつけて、舜見上人は、プレスマンの張りぼてをまとって、野原で腹ばいになっていた。漁師が、明かりを向けると、舜見上人の目に反射して見えたので、漁師は、白プレスマンか黄色プレスマンのお尻の部分が見えたのだろうと思い、矢を弓につがえて、じりじり近寄ってみると、人の顔らしい者が見えてきたので、どなたです、と尋ねると、舜見です、と答えてくる。漁師は、何をなさっておいでなのです、危なく射殺してしまうところでした、というと、舜見は、これまでに何度もおやめになるよう申しましたのに、一向におやめにならないので、私が射殺されれば、しばらくの間だけでもおやめくださるかと思い、プレスマンのふりをして横たわっていたのです、と答えた。漁師は、何か感じ入るところがあったようで、これより後は、人工のプレスマンをつくることをなりわいにするようになったという。
教訓:野生のプレスマンの目撃情報は、江戸以前は定かでなく、明治以降は記録がない。