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久々に同人誌に手を出したら、制限(ページ数と締め切り日)によって、心身ともにおかしくなっていった

作者: ヤスゾー

 こんにちは。

 ヤスゾーです。


 小説を書くの、楽しいですよね。

 上手く書きあがった瞬間なんか、天下をとった気分になります。

 しかし。

 反対に、とてつもなく精神をやられてしまう事もあります。



 実は、某同人誌(二次創作)に寄稿する事になりまして。

 ここ一ヶ月は、その小説を執筆していました。

 当然ですが、締め切り日とページ数制限があります。

 その時、締め切り日は数か月先。

 しかも、プロットはもう頭の中で出来上がっている。


「これは余裕だわ♪」


 かなり調子こいていました。

 最初は、全く書かなかったのです。


(三週間もあれば余裕でしょ♪)


 これがとんでもない誤りでした。

 締め切り一ヶ月前にプロットをきちんと書いて、さあ、執筆開始!

 元々、頭ではよく考えていたので、筆はスムーズに進みました。

 いつもなら、これで良かったのです。

 そう、いつもなら。

 しかし。

 今回は同人誌。

「一人十二ページまで」という規定があります。

 物語の前半が書き終わり、ふとページ数を確認しました。


 九ページ。


 ……。

 え。

 嘘でしょう?

 思わず、二度見。

 しかし、何度見ても、「九ページ」は「九ページ」。

 前半ですよ。

 これから、後半を書くのです。

 前半より長くなりがちな後半を!

 残り三ページで物語を終わらせなければならない。

 無理無理無理無理。

 そこからが地獄でした。



 と、とりあえず、一通り全部書いてみよう……。

 パソコンの前に座ります。

 ……が。

 筆が全然進まない。

 二~三時間、一文字も書けず、ただパソコンの前に座っている状態。

 物語に集中しようと思っても、頭の中は、「どうしよう」「どうやって短くさせる?」「誰を削る?」でいっぱい、いっぱい。

 どうした!? 一通り書けや!

 全然、書けてないぞ!

 自分で自分を責める毎日。

 余裕だと思っていた締め切りが、だんだん間近に迫って来て、ますます焦ります。



 すると、身体の調子がおかしくなってきました。

 まず、寝つきが悪くなる。


「どこを削除する?」「どの場面を変更する?」


 寝る前に、ひたすら頭の中で執筆中の小説をおさらいしている状態。

 いつかは眠れますけど。

 いつも以上に寝つきが悪くなってしまいました。



 次に走れなくなりました。

 私は毎朝、早朝ランニングをしています。

 私の家には、高齢のお姑さんと体重100キロの旦那がいるのです。

 今はどちらも元気ですが。

 いつ介護が必要になっても、おかしくない状態。

 子供達に迷惑をかけたくない。

 ならば、私は防波堤になるしかない!

 まずは、体力作りだ!

 ……で始めたランニングです。

 これが、出来なくなりました。

 朝早く起きて、外には出られるのです。

 でも。

 走れない。

 なんか重りが付いているような感じです。足だけじゃない。体全体に。

 無理に走って、その後の仕事に支障をきたしたくない。

 私は仕方なくウオーキングに変更しました。



 その次に、家事のやる気がなくなりました。

 もうこのへんから、「さすがに私、おかしいぞ」と思い始めます。

 熱も出てきました。(すぐに、おさまったけど)

 私は掃除が好きですが、料理が嫌いでして……。

 ろくなものは作れないのですが、それでも台所には立ちます。

 普段から台所に立つの嫌いだけど、今回は本当に立ちたくない!


「そうはいかないでしょう! 子供達がいるのに!」


 自分で自分を奮い立たせて、何とか作りました。



 夜は寝つけないくせに、早めにベッドで横になっている状態。

 ただ起きているのが、なぜか辛い。

 いや、執筆しなくちゃいけないんだよ!!

 動けよ! 身体!


「どうしたんだ?」


 さすがの旦那も異変に気付いたようで、声をかけてくれました。

 事情を説明すると、眉間にシワを寄せて、一言。


「身体が不調になる趣味なんか持ってはいけない」


 ですよねー。

 わかっているんです。

 もうそれは重々、分かっているんです。

 自分自身もまさかこうなると思わなかった。

 でも、今回は主催者様がいるのです。迷惑をかけるわけにはいかない。

 私は石橋をたたいて渡るタイプなので、念のため、主催者様には連絡をとりました。


「もしかしたら……、十二ページでは収まらないかもしれないのですが」

「大丈夫ですよ。のびのび書いてください」


 主催者様は快く承諾してくれました。

 正直、嬉しい。

 でも、のびのび書いたら、恐らく二十ページを超えてしまう。

 あくまで、これは保険です。

 出来れば、規定通り十二ページに収めたい!



 そんな中、予期せぬトラブルが起きます。

 電子レンジが壊れたのです。

 いつもなら、すぐに販売元に連絡していたでしょう。

 しかし、もう精神が参っていたのです。

 事もあろうに、私は金切り声をあげて、娘にあたってしまったのです。


「もう出来ない! 何も出来ない! 家事も修理依頼もしたくない! 娘! あんたがやってよ!」


 もうね。

 情けないし、みっともない。

 一体、私は何を言っているのでしょう……。

 さすがの娘も「お母さん! おかしいよ! 情緒不安定すぎる!」と怖がる有様。



 結果から言うと。

 締め切り10日前に、突然、アイデアがひらめきました。

 小説の大幅な短縮って、結局は内容を思いっきり変更するしかありません。

 登場人物を極力減らし、新しい内容を組み込む。

 自分の書きたかった場面を残して。

 なかなか難しい作業ですが、全て上手くいくアイデアがふと頭に沸いてきたのです。


「た、助かった~」


 それからは筆が進む、進む。

 あっという間に、一通り書き上がりました。


 十九ページ。


 ここからは推敲作業です。

 修正し、不要な場面は削除。


(うっうっ……、この場面、お気に入りだったのに)


 そう思う事、多数。


 結果、十四ページに。


 文字フォントや行間を調整し、「実行」キーを押すと……。


 十二ページ。


 御見事!!

 あっぱれ!

 もう嬉しくて、嬉しくて。


「やったー!」


 この時、早朝でしたが、叫んでしまいました。

 後から、娘に「よく聞こえたよ。一回、それで起きちゃったからね」と苦言をいただきました。

 ごめん。

 でも、本当に嬉しかったのよ。



 嗚呼、これで解放される。

 いつも通りだわ。

 と思ったら、そうでもなく。

 早朝ランニングをしばらくウオーキングに変えていたので、走れなくなっていました。

 今、慣らし中です。

 あと、燃え尽き症候群ってやつでしょうかね。

 頭の中、何にも浮かばなくなってしまいました。

 ちょっとネタが浮かんでは、沈んでいく感じ。

 少し休んで、小説を読みながら、元に戻るのを待っています。




【余談】

 私には、いつも私の小説を第三の目から見てくれる仲間がいます。事の経緯を知っていたので、今回の小説を読んだ後、ビックリしていました。


「どこを修正したの? 何を削除したの? 綺麗にまとまっているし、全然わからない」


 そう。

 自分で言うのもなんですが、思ったより面白い話になりました。

「なろう」に載せられないのが残念です。

 正直言うと、修正前の方が陳腐に見える。

 涙を飲みながら、気に入っていた場面を削除しているのに、後から、「削除して良かった」と思うんですよね。

 これって、あの現象に似ています。

 昔から知っている建物のはずなのに、壊されて、新しい建物が建つと、もう前の建物がどんな形をしていたか、思い出せなくなる。この現象。

 ……。

 ちょっと違ったかな?


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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