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ベガは羽ばたく、月の虹を越えて

作者: 逢乃 雫

雨上がりの空に


雲を拓いてさしこむ


ひとすじの光は



翼を広げた鳥が


舞い降りるように


真っ直ぐに地上へと



光のカーテンが


ゆらめく風の中



白いひとひらの


蝶は花びらが


舞うように


陽光に煌めいて



パールホワイトの


空からこぼれた



ひとしずくに


ゆれるスズランの


葉と白い花珠




雨上がりの夜空に


見つけた一番星



やわらかな光は


真珠の色をして



星の光が見えるとき


それは瞳と星の


あいだを遮るものが


ないということ



たとえ遥か


二百五十光年の


(そら)の彼方でも



この瞳に真っ直ぐ


届いた奇跡を


今宵も感じながら




蒼く染まる夜空に


輝くこと座の星々



琴の端には


煌めくベガの光



それは夏の音を


優しく奏で始める


星空にたった一つの


星でできた楽器



次の楽章へと


移りゆく季節の


譜面を照らすように




こんなにも広く


大きな空でさえも



雲のヴェールに


覆われる日も


風がうねる青嵐の日も



けれど


どんなに厚い雲も


とどまり続ける


ことはないから



未来という風が


拓く明日の空を




夢の光が心にあるとき


それは自分と夢の


あいだに信じる道が


あるということ



たとえ今は遥か


彼方に感じても



その瞳が真っ直ぐ


見つめる軌跡を


想い描きながら



夏星たちが


その出番を待つ


風待月の夜に



空に浮かぶ満月と


架かる虹の光は


夢へと続く


道を照らして



琴の端に輝く星が


奏でる音色を


言の葉にのせて



ベガは羽ばたく、


月の虹を越えて
















真珠は6月の誕生石で、「純粋」「健康」などの石言葉があります。地球から約250光年先にあるおとめ座のスピカは「真珠星」と呼ばれ、また、真珠のような白い花のスズランの花言葉は「幸福」「幸福の再来」です。


ベガは、こと座の一等星で、季節の夜空を彩る「夏の大三角」の一つです。諸説ありますが、星の名はアラビア語の「舞い降りる鷲」に由来するとされます(わし座のアルタイルと対です)。こと座は、唯一の楽器の星座です。


風待月は6月、月の虹(月虹)は、雨上がりの満月の夜などに虹がかかることです。


季節の花や星をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 星と瞳に遮るものがないということ 夢と心に遮るものがないということ ……心に染みました。時には厚い雲に覆われても、なお、真珠の星を追う。素敵だと思います。
[良い点] 梅雨の曇り空の間からときおり顔をみせるスピカ。 真珠星と呼ばれているのをスズランとしたのは素敵ですね。 ベガは織姫や夏の大三角の印象が強いので、こと座であることは二の次になってしまいます…
[良い点] 雨上がりの空から差し込んだ光が、 翼を広げた鳥 雲が翼になったイメージにつながりました。 雨上がりで澄んだ光が 蝶や花弁に変わって 陽光にきらめく 空の色がパールホワイトに、 スズランを揺…
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