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シナリオ2-炎に焼かれ煙にまかれ

【NO WHERE】


 侵略者である帝国軍の居留地では、皇子と将軍が姿を消した巨人への対策を練っていた。

 帝国の虎の子である降魔騎士を4体も倒し、侵略を妨害した真紅の巨人。いつまた現れるかわからない以上、あれを仕留めない限り王国の占領を行う事はできない。


「しかし、お任せください、皇子。龍は人に狩られるものです。どんな硬い鱗や牙を持とうと、きっと仕留めてごらんに入れます」

「どうするつもりだ?」

「降魔騎士と交戦した際、こちらの剣で傷がついていました。巨人は恐るべき巨体ですが無敵ではありません」


 将軍はニヤリと笑うと、黒い球体を持った部下を呼び寄せた。


「北の赤竜山で使った殺竜爆弾を使いましょう。周囲300ルーンの精霊を消滅させたコイツを使えば巨人であれ龍であれ粉々です」

「ふん、せっかくだ。あの忌々しいアーグルフェルト城もまとめて吹き飛ばしてしまえ」

「御意」



【NOW HERE】


 呑気にボードゲームを遊ぶ武藤は、ルールブックに記された行動順位の通りに、駒を移動させた。

 まず、友軍ユニット。続いて自軍ユニット。そして敵軍ユニットの歩兵。


「まず姫さん一マス歩く。で、姫さんを追い抜いて、一気に最短の森を目指して移動。そして敵。第二ターンに地形タイルについて、お!いきなり爆弾だ!」


 めくった地形タイルはいきなり爆弾。次のターンに敗北が確定する。

 本来は姫の移動でめくらせて主人公が処理するという、友軍との協力が正攻法と思われる。


「ここで、特殊行動『二回行動』で割り込んで破壊っと。魔力の源泉の数だけ行える特殊行動ってやっぱ魔法なんだろうな。どのタイミングでも使えるってかなり強いもんなぁ」


 アーグルフェルト城一つしか魔力の源泉が無いので、まだ特殊行動は一度しか使えない。

 しかし、温存したい能力ほど先にぶっ放す。武藤はそういう男だった。


「よーし、バーナードラゴンよ、焼き払え~!」



【NO WHERE】


 将軍は膝から崩れ落ちた。


「な、なんだアレは……別の巨人、だと?」


 降魔騎士と多くの歩兵を蹂躙した、『回転する槍を持った真紅の巨人』ではない。

 今、森の中央で咆哮を上げている巨人は、『右手に短い砲身を持ち、黄色の炎状の文様で縁取られた巨人』だった。


 突如現れた事は良い。前回から予想された事ではある。

 別の姿なのは、二体現れていないのなら良い。別の個体なのか、装備を持ち替えたのか検討は必要ではあるが。

 しかし、突如として殺竜爆弾の目の前に現れて爆弾を踏みつぶしたのがわからない。右手で周囲の木々を薙ぎ払った後、まるで爆弾の位置が初めからわかっていたかのように脚を振り下ろした。

 鎧を着た騎士の姿と比べると、ずいぶんと等身が低く巨大な脚をしている。そもそも人の姿を模したものではないのかもしれないと将軍は考える。まるで竜の吐息のように業火を吹き出し、破壊の限りを尽くす姿は、まるで。


「まるで竜ではないか。あのような巨体で、あのように早く動き、炎を吐くのだ!」

「将軍! 他の伏兵も次々と無力化されていきます!」

「そんな事、言わずともわかっておる! ええい、皇子に報告をせねば……」


 必殺の策であったはずの殺竜爆弾による攻撃が、何事もなかったのかのように無力化されたとの報告を聞き、皇子はワイングラスを握りつぶした。


 しかし、さらに帝国軍の受難は続くのであった。



【NOW HERE】


 武藤は気楽に駒を動かし、東の島に向かう途中でさらに二枚の地形パネルをめくっていた。

 爆弾は一枚しかないのはシナリオ内で明かされていたので、あとは伏兵がいる程度。もちろん気を付けなければいけないが、一対一ならば負けないのだ。ほぼ消化試合と言える。

 このシナリオでの武藤の目的はただ一つ。


「この遠浅の海、移動力が低下されるんだけど……」


 取得した地形タイルによる上書き効果をここで使う。


「島まで地続きになるな~」


 森の一部と遠浅の海を平地化したバーナードラゴンは、悠々と妖魔の集落を破壊し、魔力の源泉を取り戻した。


「よし、これで次のシナリオから特殊行動が二回使えるわけだ」


 シナリオ終了条件を満たさないために生かしておいた敵兵が姫のいる地点に近づいている。

 だが、武藤の操るバーナードラゴンは、二度目の特殊行動で余裕をもってそれを撃破したのだった。

リモートワーク中に書けるかと思ったら、全然そんな事なかったぜ!

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