シナリオ3―焼いて潰して粉にして
【NO WHERE】
天を貫く光の柱。爆風で割れる窓ガラス。イチノとニーノもそろそろ慣れてきた。
しかし、立て続けに四本の柱が立つのは予想していなかった。
「世界の終わりかと思った」
「姫様、召喚魔方陣起動しました!」
「今度こそ、今度こそ勇者様にお会いすギャ!」
異世界からの勇者を見ようとベランダに駆け寄ったラシェル姫が突風にあおられて転がり、吹き飛んだ椅子がぶつかり、立ち上がったところでもう一度転ばされる。
この巨人の威容を見上げる者は、マクガハン帝国の侵略者達だけでは無かった。
「ねぇ。ニーノ? ずいぶんひょろ長い勇者さまね?」
「現実を見て。勇者様は一人じゃない。つまり姫様が召喚した勇者じゃない」
「いや、四人で一人っていう可能性も」
「どういうこと?」
「ほら、私たちみたいな双子はさ、二人で一人みたいなところ……あるじゃない?」
「四つ子の勇者。ありえる。でも、そうすると最初の赤い槍を持った勇者と、次の火を噴く勇者は?」
「わっかんないよね」
「ね」
勇者様の正体に関して、雑談をしながらもがれきを片付ける手は動かす。
気絶した姫をベッドに運び、せっせと部屋を片付けるイチノは、窓から離れないニーノに文句を言うが、ニーノは離れないどころか姫の宝物の望遠鏡を持ち出すと塔の上に駆け上がっていった。
「なんなのよ、もう!」
「イチノ! たいへん、ちょっとこれ見て!」
「何よ、私たちの仕事は」
傍付きの護衛としての心構えを説こうとしたイチノだったが、珍しく真面目な妹の顔に気圧されて、しぶしぶと塔に登り望遠鏡をのぞく。
そこで目にしたのは、侵略者たちの大軍隊だった。破壊されつくしていたが。
「えっと、どういうこと?」
「あの森の向こうにマクガハン帝国が部隊を布陣していた。私たちは偵察すらもう出来ていない。でも、あの鋼の巨人が……跳んだり走ったりして解決してくれたみたい」
「助けてくれた、んだよね?」
「でも、私たちは誰も気づいていない。姫が助けを求めたのも最初の一回だけ。呼んでもいないのに来てくれて破壊の限りを尽くしているけど、本当に大丈夫なの?」
味方だと思っていた巨人が味方ではないかもしれないというニーノの意見に、言葉を失うイチノ。
「……考えるのはやめましょう。だって、どちらにしろ帝国軍にも勝てないのだから、帝国軍を鎧袖一触にしてる巨人にはなすすべもないわ。だから味方の勇者様として振舞う。もしも敵対する何かならば潔く滅びましょう」
「覚悟が決まってるのならいいわ。……結構楽しい人たちかもしれないし」
「どういうこと? 何が見えるの?」
ニーノの覗いている望遠鏡に顔を近づけてのぞき込むイチノ。
「あの巨人たち、戦争をしているというよりも、まるでスポーツでもしているかのような清々しさを感じるのよ」
「まさか!」




