第7話 竜の来訪
村の長としての勉強をしたり、パートナー選びに難航したりしながら毎日を過ごしていると、里の中が慌ただしくなりました。
普段は家の中でじっとしているんですが、里の皆をなだめている長、父様の姿を発見。
「皆、落ち着きなさい。大人がそれでどうする」
私は深刻な表情の父様について行きながら、何が起こったのか確かめようと思いました。
その途中で、騒いでる人の一人に出会います。
近所のお兄さんです。
屋根の上で何をしていたのでしょうか。
遠くを見ていたお兄さんは、お猿さんのパートナーと一緒に慌てながら転がり落ちてきました。
それを見て、私はただ事じゃないと判断します。
「大丈夫ですか?」
「ああ、慣れてるからな」
ああ、そういえば普段から屋根の上で昼寝していたり、仕事をサボったりしているからですね。
でも、お兄さんのパートナーのお猿さんは、平衡感覚がかなり良かったはずです。
何大抵の事では、足を踏み外したりしないはずでした。
私はお尻を射たがっている、お猿さんを撫でながらお兄さんに聞きます。
「何があったんですか?」
「いてて、空から竜が降りてきたんだ、里の外に」
竜。
それは確かに驚きますね。
多少痛がっているようですが、重症じゃないようなので、パートナーのお猿さんの怪我を案じながら「うっかりさんなご主人様をお願いします」と声をかけて、その場から離れました。
私は、父様も向かったはずの、里の外へと足を進めます。
獣使いの里を覆う柵を超えて、見張りの人達に挨拶しながら向かうと、外にはそこには大勢の人が集まっていて、その人の壁の向こうに傷ついた竜が倒れているのが見えました。
一目見て分かります。
竜の纏う雰囲気が語り掛けてきました。
この生き物は、他の生き物とは違う。
特別な生き物。
生物たちの頂点に君臨する生き物なのだと。