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第6話 日課



 そんな私と違ってアリオは、もうパートナーを決めています。

 彼の近くに寄ってきた動物は雄々しさが溢れるライオンです。名前はレオ。


 見た人は必ずびっくりの、百獣の王とか呼ばれているあれです。

 とても、威厳のある動物で、強そうなもふもふです。


「ライオンをもふもふだなんて表現するお嬢には、威厳が通じて無さそうだけどね」

「そんな事ないですよ、とっても強くて凛々しくて格好良いと思います。触っても良い?」

「良いけど、やっぱりもふもふ認識が一番そうだよね」


 ふわっとして、もさっとした立派なたてがみは、触るととっても気持ちいい。


 心を優しく包み込んでくれるようです。

 もふもふしてるから、内部はちょっと温かくて、寒い日の触り心地は特別。


「うちのレオを毛布認識してるのは、お嬢くらいだと思うけどな」


 今日はレオをつれて、軽くお散歩をする日だったようです。


 私はそれを見て「うらやましい……」と、パートナーのいない自分と比べて落ち込んでしまします。


 それで「今日こそパートナーを決めてみせる!」と意気込むのだけれど、最後には「やっぱり誰か一人を選ぶなんて……っ!」となってしまいます。


 ここまでがワンセット。


 日によってはこのセットが、三回くらいあります。


 皆はどうやってパートナーを決めているのでしょうか。


 顔を見た瞬間にぴぴぴっと運命を感じたという人もいれば、人に勧められてという人もいて、自分の性格との相性を考えて決めた人もいます。


 人によって選び方が違うという事なんでしょうけど、私にはどんな選び方が良いのか。


 まったく分かりません。


 とりあえず一番身近にいる経験者、ライオンをパートナーにしているアリオに聞いてみる事にしました。


「アリオはレオをパートナーにすると決めた時、どういう事を考えてたんですか? 何か選ぶ基準とかは?」


 アリオは、ちょっと考えて「直観かな」と答えます。


 具体的な意見は得られませんでした。


 その代わり、


「こういうのは相性とかもあるから、利益とかでは決められないよね。でも、大事なのは意思の疎通がちゃんとできるかどうかだと思う。心が通じ合ってないとパートナーにする意味がないと思うんだ。お嬢の場合は、皆自然に何かなついちゃうから、そこら辺へどんな動物でも心配ないと思うけど」


 彼の持論を聞く事は出来たので、とりあえずの収穫はありました。

 

「レオを選んだ時は、お嬢がもふもふしてるの連れてると嬉しいかなって考えたのもちょっぴりあるけど……」


 何か小声で言っているけれど、聞こえないので大した事ではないでしょう。

 首を傾げていると、彼の近くにいるレオが何やら、彼を前足でなぐさめるように叩きました。

 どういう意味があるのでしょう。

 とりあえず、アリオにはお礼を言っておきました。


 町の中でするその日の日課は終了です。

 後は、午後から里の長になるための勉強でした。



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