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第3話 もふもふ少女は獣使いの里に身をよせました



 私が転生した世界「アニマル・ラッキー」の世界は素晴らしい所でした。


 多種多様、色形、鳴き声様々なもふもふであふれていたからです。


 にゃんにゃん鳴く動物もいれば、わんわん吠える動物もいます。

 呑気にぐわっぐわっと歩く動物もいますし、ヒヒーンと走る動物なども存在しています。


 正直、事態を認識した時は、どこの天国だろうと思った。

 一度天国に入ったけれど、こここそが天国でしょう、と。


 ほら、今もなんかゲーム画面でよくみた毛玉が通っていきます。


 もふもふもふ。


 もふがたっぷり。


 ふわっふわ。


 なでたい。


 顔をうずめたい。


 もふの山があったら、体全体でダイブしてもふをたっぷり堪能したい。


 さっき目の前を通ったのは確か、もふ羊っていう名前だった気がします。


 普通の、ではなく現実の羊よりもふが2倍なんですよ。


 もふはある程度生えて伸びたら、自然に抜けるので、心配はご無用。


 立派なもふに顔が埋もれて前が見づらくなったり、動きづらくなったりはしないみたいです。


 こういうのはファンタジーならではの生体って感じですよね。


 現実だと家畜化された羊さんは、もふの手入れで大変だって聞きますし。


 そんなもふに出会ったなら、堪能しないわけがありません。


 つい近づいてしまいますが、野生で人なれしていないのか逃走。


 逃げられてしまいました。


 残念に思っていた私は、とりあえず思考をきりかえます。


 どうやら、近くに父様、母様、おばあ様、おじい様、または兄弟様などの影はなく、一人きりです。


「アフターフォローこみで転生してくださいってお願いすれば良かった」


 親類縁者のいない天涯孤独の身になってしまったようで、転生当初はちょっとだけ途方にくれてしまいますね。


 私は孤児としてこの辺をうろうろしていた身らしく、今まで生きてきたのは運が良かっただけ。


 小さい頃は、旅団かなんかの人に世話をしてもらって、その後その旅団が盗賊か何かに壊滅させられた後は、あちこち放浪しながらや果物とか草とか食べて生きてきたようです。


 何とも野性味あふれるパワフルな子ですね。


 しかし、その辺をとぼとぼ彷徨っていたところ、運よく同じ獣人の物達に発見されて、保護してもらえる事に。


 この子の人生以来初の幸運イベント発生です。


 周辺に牛を離して様子を見ていた夫婦さんが、こちらに気が付いて近寄ってきました。


「おや、こんな所で一人で一体どうしたんだい」

「家族はどうしたの? お兄さんやお姉さんは? え、いない? あらあら、かわいそうに。ねぇ、私達の里につれていってあげましょうよ」


 30代の夫婦です。

 

 どことなく前世の父と母に似てますね。


 見ず知らずの子供に声をかけて、憐れんでくれるとは、良い人たちです。


 名前はシュミール・ニウさん(女性)と、デンデ・ニウさん(男性)。





 私はそこで、親切な彼等に連れられて近くにある、獣使いの里という場所まで案内してもらいました。


 三人向かったのは、里で一番大きな家です。


「娘をなくしたばかりで寂しかったんだ」

「あなたさえよければずっとここにいてかまわないのよ」


 どうやら彼らは、家族を亡くした直後で、心を痛めていたようです。


 胸が痛い。


 前世の父と母にもそんな思いをさせていると思うと、何とも言えない気持ちです。


 彼らはどうしているんでしょうか。


 私の事は綺麗さっぱり忘れて、無事に立ち直ってくれると良いんですが。


 女神っぽい人に伝言を伝えてもらえば良かったですね。


 ともあれ、今の私にはどうにもできないので、前向きに目の前の人たちを笑顔にすることを考えなければ。


「ふつつかものですが、よろしくお願いします」


 そういうわけで養子縁組決定。


 娘夫婦をなくしたばかりの村長さんとこの御嬢さんになる事が決まりました。


 名前はアリシャ・ニウという名前になりました。


 今まで孤児だった私には名前がなかったので、祝名づけですね。


 これからはいっぱい幸せになっていきましょう。


 そんなやりとりを経ていた中で予想外だったのは、彼らがちょっとした立場の人たちだったこと。


 まさか、獣使いが多く住む里ニーマル・カヴンのまとめ役だったなんて。


 デンデさんは里の長みたいです。


 思わぬ経緯で、里の長の後継者になる事が決まってしまいましたが、不満はありません。

 お勉強は多少しなければなりませんでしたが、里での日々は比較的おだやかでのんびりとしたものだったからです。



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