第14話 私のパートナー
数か月後、竜はしっかりと元気を取り戻しました。
怪我の状態が酷かったので、山から動かせませんでしたが、何日か起きに里の者達が看病に訪れた結果、持ち直したのです。
祟りの影響はもちろんありませんでした。
これはやましい事など何もない、救助活動ですからね。
それ以降竜は、里の付近を飛び回る事が多くなりました。
手当をしてくれた人達が大勢いる獣使いの里を気に入ったようです。
竜がいてくれると、魔物やならず者が里の内部に侵入してこなくなるので、私達は大助かりです。
有難く思っている里の人たちは定期的に竜に、食べ物を備えています。
レアバースの山を根城にしている影響か、たまに鉱物をくれたりするのでこちらの懐も潤っています。
良い事たくさんですね。
私自身にも良い事がありました。
実は、パートナーを見つける事が出来たのです。
予想したようなもふもふじゃないけれど、それは例の竜が生んだ小さな竜でした。
あの竜、見た目では分かりませんでしたが、女性だったみたいです。
「くきゅるるる」
生まれたのは小さなオスの竜。
親竜の許可を得て、卵から温める事に協力していたので、無事に生まれた時の安堵感と幸福感はひとしおでした。
つぶらな瞳でみつめる赤ちゃん竜は、パートナーというよりも世話が焼ける子供に近いかもしれません。
もふもふできるパートナーが理想だったけど、可愛いからアリです。
それからの毎日は、竜のお世話で大変でした。
里の皆と相談したり、親竜さんのお手本をみせてもらったり、長の勉強と同じくらいしんどいです。
けれど、トールやアリオ達が色々協力してくれるので、何とかやれてます。
「お嬢様、竜の体調はどんな感じでしょう」
「大丈夫。とってもすくすく育っているもの」
獣達のお世話と並行しながらトールになず家の相談をしたり、
「お嬢! 名前はもう決まった?」
「まだこれから。でも素敵な名前にするつもりです」
アリオと名前の候補を決めていったりです。
そんな風に日々を過ごす私は、前以上に忙しくなってしまった毎日に大変ですが、 大好きな世界に転生できて幸せです。
「きゅるる」
「ああ、ごはんね。ちょっと待っててね」
不思議と相性があうような気がするこの子を私のパートナーにして、頑張っていこうと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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