第10話 薬草を探しに
レアバース山 フレア山道
エコー万能薬の材料となる薬草を探しに、険しい山道へ。
私達が登っている山はレアバース。
たまにがけ崩れなどがあると、希少な鉱物が見つかる山です。
掘ったら、似た鉱物が採掘できるかもしれませんが、険しすぎるので手付かず。
それに、山の神様が祟るという迷信があるので、必要なとき以外は人が近づかないんです。
迷信を軽んじた人が山に入って変死したという話を聞きました。
でも、今回は必要な時なので、たぶん大丈夫でしょう。
たぶん。
崖の近くをウロウロしながら、薬草の材料を探しますがなかなか見つかりません。
だけど、アリオと、アリオのパートナーのレオも一緒に来てくれたので、野生の動物に襲われなくて、とてもありがたかったです。
「もうちょっとだけ、上にいってみましょう」
数時間ウロウロしましたが、見つかりませんでした。
あまりにも薬草の影も形もなかったので、ちょっとだけ上に登ってみる事にしました。
ほぼ垂直みたいな壁を昇らなくてはいけなくて、大変です。
崖にしがみついている最中は、生きた心地がしません。
けれど、竜の為だと言い聞かせながら、できるだけ下を見ないようにして上に登っていく事にします。
「あっ、見てよお嬢! ふわふわ鳥がとんでるよ!」
そんな中、アリオの声につられて上空をみると、綿毛のようなふわっとした鳥が飛翔していました。
ふわふわ鳥です。
この鳥は、朝の時間になったら飛びまわる習性のある生き物です。
可愛い見た目に反して、険しい崖に巣をつくって生活しているんですが、それゆえ風を捕まえて飛びやすい体に進化したらしいです。
ふわふわ飛んでいる、ふわふわ鳥があまりにも可愛らしくてつい気を抜いてしまいました。
近くにやってきたふわふわ鳥に手を伸ばして、不和としたその触り心地にうっとりしていたら、ちょっとずるり。
「きゃっ!」
「おっと、あぶないよ。気を付けないと」
「がるるっ!」
足を滑らせそうになってしまいましたが、アリオが支えてくれました。
アリオのパートナーであるレオも背中から、抑えてくれます。二人がいなかったら、大変な事になっていたかもしれません。
元はと言えば、アリオの言葉で気を散らしたのが原因ですが、私が手を伸ばしたせいでもあるので、どちらもどちらでしょう。
「アリオ、ありがとう」
「どういたしまして。気を付けて登ってね」
「もちろん、分かっています」
「これからはふわふわしたもの見つけても声をかけないようにするよ」
それはちょっと。
残念です。
でも、気を付けなければならないのは本当です。
けが人を治すためにけが人が増えてしまっては本末転倒なのですから。
同じ間違いをしないようにしましょう。
あ、あっちにタンポポ鳥が。
なでたい。
「お嬢? いま、何考えてた?」
すみません。