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「タカ、お前に仲間ができたぞ。ミルドの冒険者ギルドで登録した冒険者がモンスターテイマーだった。


緊急招致でこちらに呼ぶことにした。一緒に研究に協力してくれ。これで研究が進む。大助かりだぜ。


お前と違ってまともな日数がかかる。ここに到着するまで5日かかるから、その間は好きにしてくれて良い。


なんなら依頼を受けてもらえると助かるな。採取でも狩猟でも、ここの狩り場や採取場を体験してみてくれ。ここも稼ぎ場はあるからな。小遣い稼ぎにゃ丁度良いだろ。


お前からの話は一通り聞いたし、後はのんびりしてても良い。今日のところはこれで解散だ。


昼飯は宿で取ってくれれば一緒に会計される。外で取る場合は悪いが自前で頼む。」


ギルドマスターが言った。仲間ができたのは心強いな。後は、俺の異常性を隠せるかどうかだ。


「了解しました。今日はとりあえず一通り依頼を確認してみますね。失礼します。」


2人に一礼して部屋を辞する。下に降りて依頼表の貼り出されたボードを確認する。


山菜やハーブの採取、肉になる獲物の討伐、内容はどこも変わらないが、畑を荒らす動物や魔獣の討伐もあるな。


一角鹿や一角猪などの中型魔獣はエースが推奨クラスだから受けられるか。一角狼はヴェテランからだからダメだな。


一角熊なんてのもいるのか。この辺になると最低でもマスタークラス、しかも2〜3パーティー合同での討伐対象になるみたいだな。


今日はもう昼だから、明日にでもクリスヴェクターとH.C.A.R.の試射も兼ねて森に入るか。獲れた獲物に合わせて依頼を受けても良いからな。


そうそう、せっかく本部まで来ているんだからやっておきたい事があった。冒険者登録の本登録だ。ポルカ村での登録は仮登録にしかならないって言われてたからね。せっかくだからやっちゃおう。


俺は新規登録・相談窓口へと向かう。丁度一つ窓口が空いていたのでそこに座る。


赤髪ロングをポニーテールにしたお姉さんが担当だった。某アニメでスナイパーをしていたキャラとそっくりだな。お胸の大きさまでそっくりだ(笑)。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


お姉さんが笑顔で訪ねてくる。


「はじめまして。私はポルカ村で冒険者登録をしたタカと言う者です。この度ご縁があってこの冒険者ギルド本部を訪れましたので、記念に本登録をさせていただこうと思い伺いました。お願いできますか?」


そう言うとお姉さんは笑顔で答える。


「もちろんですよ。切り替え登録料は棒銀貨1枚になります。登録機をご用意しますので、冒険者タグをお願いします。」


お姉さんはそう言うと水晶玉が付いた機械を用意する。


ポルカ村にあった物と同じだが、タグと羊皮紙を入れる場所の他に、もう一つ窪みと蓋が付いている場所がある。あそこがカードを入れる場所か。


お姉さんにタグと棒銀貨を渡すと、タグを確認しながら機械を操作している。おそらく等級の引き継ぎ入力なのだろう。最初に登録したギルドの名前も引き継がれるのかな?


そう思って見ていると、羊皮紙とカードをセットする。


あ、タグは作り直しではなくそのままで、カードのみ新規に作成、そして本登録として個人情報を再度記録する、って感じか。


「お待たせしました。それではこちらの水晶玉に手を載せてください。」


お姉さんに促されるまま水晶玉に手をのせる。水晶玉が光り輝き、ブーンと言う低い音が響く。10秒ほどで光と音は止み、登録は完了だ。


「はい、登録は完了です。もう手を離していただいて大丈夫ですよ。」


お姉さんはそう言うと、機械にセットされていたカードと羊皮紙を取り出す。


タグとカード、羊皮紙を並べて登録内容に間違いがないかどうかを確認している。あ、笑顔で頷いた。大丈夫そうだね。


「お待たせしました。冒険者証が出来上がりましたのでお渡しします。


こちらの冒険者証で報酬の預け入れや引き出し、各種の支払いなどが出来ます。


ご本人以外は使えないように本人登録をしますので、埋め込まれた魔石に血を垂らしていただけますか?それによって魔力を登録し、本人が持った時しか使えなくなります。」


お姉さんが渡してくれた冒険者証には、説明してくれた通り左下の角に小さな紫色の魔石が埋め込まれていた。


冒険者証自体は材質は分からないが金属製で、俺の名前と等級、職業、登録したギルド名が表示されている。印刷でもなければ刻印でもない、不思議な感じだ。


右上の角に穴が開いているのは紐や鎖を通すためだろう。


裏を見ると預かり金と言う文字と0と言う数字が表示されている。チャージした金額が表示されるようになっているのだろう。面白い。


とりあえずお姉さんが針を貸してくれたので、手首の横を刺して、プツッと盛り上がった血の珠に冒険者証の魔石を当てて血を付ける。


指先を刺しちゃうと武器を扱う時に支障が出るからね。まあ、自分で魔法をかけて治癒すれば良いんだけど、このくらいの傷で使うのもったいないじゃん。


「そんな所を突くなんて珍しいですね。初めて見ました。皆さん指先を突くんですよ?」


お姉さんはそう言ってきた。ま、普通はそうだよね。


「指先はたとえ小さな傷であっても、武器を扱う時に支障が出ることがあります。たとえ手の甲を怪我しても指は庇え、と猟師の父から教え込まれまして。」


そう言うと感心したように頷いた。


「なるほど、そのような一家言をお持ちとは、お父様は立派な猟師なのですね。」


うん、実際には俺の言葉だけどね(笑)。


「せっかく冒険者証が出来たので、早速貯金をしたいのですがお願いできますか?」


お姉さんにそう頼む。街での買い物は一通り終わったし、武器弾薬も今の所充分に足りている。しばらく現金は使わなくても良さそうだし、とりあえず面白そうなのでチャージしてもらうのだ。


「かしこまりました。それではお預かりするお金をこちらにお願いします。」


そう言って木皿をカウンターに置く。俺は収納から金貨を20枚出して木皿に乗せた。


「こ、こんなにですか?か、かしこまりました。冒険者証をご一緒にお願いします。」


冒険者証を渡す。


「少々お待ちください。」


お姉さんはそう言うと金貨の枚数を確認し、冒険者証と共に報酬支払窓口の方へ持って行った。


ありゃ、お金の関係は支払窓口が正しかったのか。これは申し訳ないことをしてしまった。次からは気をつけよう。


やがてお姉さんが冒険者証を手に戻ってきた。


「お待たせいたしました。冒険者証の裏面にお預かり金額が表示されていますのでご確認ください。」


そう言われたので冒険者証の裏を見ると、金20と表示されていた。金銀銅で枚数表示されるのかな?いずれ買い物に使って確認しよう。


「ありがとうございました。それと、本来はお金の関係は支払窓口が担当だったのですね。お手間をかけてしまい申し訳ありませんでした。次回からは気をつけます。」


そう言って頭を下げる。


「どうぞお気になさらずに。他には何かご用件はありませんか?」


お姉さんは笑顔で答える。良い人だ。


「市内のお店や食堂などが分かる地図のようなものがあったら欲しいのですが、ありますか?」


そう聞くと申し訳なさそうな顔をする。


「主だった施設の場所が分かる案内図はあるのですが、細かいお店などは載っていないんですよ。それでもよろしければご用意できますが、いかがいたしますか?」


もちろんそれで構わない。


「はい、お願いします。出来れば食堂などが集まっている場所と、商店が集まっている場所を書き込んでいただけると助かります。」


そう言うとお姉さんは笑顔で答えてくれた。


「かしこまりました。少々お待ちください。」


席を立って後ろの棚からから案内図をもって来たお姉さんは、地図に丸を書いて商店、食堂、宿、と書き込んでくれた。食堂は宿へ向かう道に集中しているようだ。


「お世話になりました。ありがとうございました。」


礼を言って席を立つ。さて、昼飯にするか。





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