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022

村の説明を受けながら歩を進めると、村の正門と詰所が見えてきた。


領都との船は週に一度往復していて、領都からは塩、小麦、野菜や生活雑貨などを運び込み、村からは魔獣の毛皮、角、牙、骨、魔石、動物の毛皮、角、牙、干し肉、干し魚、塩漬け肉、塩漬け魚、チーズ、木の実、ドライフルーツなどが送られるそうだ。


塩漬け魚があるなら魚醤を作れるか?俺は醤油にはそれ程拘りはないが、出来るなら作った方がいいだろう。ただ、生臭いんだよね。俺はナンプラーも(ひしお)も苦手だから、無理に手を出す必要もないか。


干し肉は塩漬けした肉をただ天日で干しただけで燻煙はかけられていない。そのため、湿気に弱くカビやすいらしい。


ふむ、燻煙の技術を伝えてみるか?そうすれば干し肉だけでなく、ハムやソーセージを作れるようになる。


ハムやソーセージは日保ちっつったってたかが知れてるが、旅の最初の一週間に、ある程度味が良く旨味も強い食品を口に出来るなら、長旅も苦にならなくなるはずだし、干し肉がカビ辛くなれば命を落とす心配が大幅に減るだろう。


あ、その前に、毎日ワインで拭いてから干す、ってのを教えるか。


ワインに塩を溶かして、それで表面を拭いてから天日で干す。それを一週間も続ければ、カビに強い、しかもワインの香りがついて旨味が増した干し肉ができるだろう。


大きく切り分けた時は、切り口をワインで拭いてから火で炙り乾燥させる、と言うのも忘れずに教えよう。


俺には街を作ったり内政に口出しできるほどの知識チートはない。ただの元公務員にそんな知識があるはずないでしょ。


元公務員だから普通のサラリーマンと違って営業能力も無いし、様々な資格とも無縁だった。ラノベの主人公のように文化革命を起こせるほどの知識は無いのよ。


いや、iPadAirを使って検索すれば出来るのかもしれんけど、そこまでやってもしょうがない。


地球みたいに貧富の差が激しく、常に他人を蹴落とさなければ生きていけないような世界にはしたくない。


なので、この程度の知識でお茶を濁すのだ。


少しだけ快適になれるように。少しだけ幸せになれるように。それで良い。それが良い。そう思う事にする。


正門に着いた。詰所の見張りは3人。2人は門の脇に、1人は詰所の中の窓口のような所で椅子に腰掛けている。こちら側には壁もドアもなく、詰所の中が丸見えだ。何かあったらすぐに飛び出せるようになっているのだろう。


少し離れた場所に小さな待機小屋みたいなのがある。六畳くらいの広さだろうか。何か問題があった時に詳しく調べるための取調室みたいなものか?出来れば入りたくはないな。


見張り3人の格好は革製ジャケットとパンツに金属製の胸当てと籠手、脛当てを身につけ、腰には短剣を佩き、頭には鉢金を巻いている。


門の両脇にある木製の武器台にはハルバートと呼ばれる槍に斧を合体させた武器が立てかけられている。


ウォルターを見て若い2人が慌ててハルバートに手を伸ばし、年嵩の1人は腰の剣に手をかける。


緊張状態の見張りたちにルースさんが声をかける。


「皆んな心配しなくて良い。こちらはタカさんとウォルターさん。雷神様の森からいらしたそうだ。


先ほど雷鳴が轟いたのは、彼の魔道具によるものだ。雷神様の森から来た証に魔道具を発動させてもらった。今は私がお預かりしている。


とりあえず村長と会って話をしていただくためにこちらまでお越しいただいた。村に入る手続きを取ってくれ。」


俺はウォルターに念話を飛ばして伏せてもらい、降りて挨拶をする。


「はじめまして。私はタカ、私が乗っていた魔獣はウォルターと言います。ウォルターは私の家族ですので、私の言うことには従います。皆さんに危害を加えることはありませんので安心してください。


ルースさんにお話しいただいた通り、村長にご挨拶させていただきたいので、入村手続きをお願いできますか?」


ハルバートを持った2人は恐る恐るハルバートを武器台に戻し、剣に手をかけていた見張りも剣から手を離す。


「それではこちらにお願いします。まずは名前、ご職業、犯罪歴を確認させていただきますので、こちらの水晶玉に手を触れて下さい。」


年嵩の男に声をかけられて慌ててステータスを確認する。



氏名:タカ(本名:富丘貴教・本名は神の加護にて隠蔽中)


種族:人間


性別:男


年齢:14(ただし肉体は23歳当時の状態を再現)


職業

・山屋 (アルパインマスター)

・採取者 (ハーベスター)

・猟師 (ハンター)

・川漁師 (フィッシャーマン)

・ブッシュクラフター

・魔獣使役者 (モンスターテイマー)

※従魔:ウォルター(三ツ角狼)

・薬師 (ポーションメイカー)←New!


称号

・転移者(神の加護にて隠蔽中)

・神の愛し子

・森に愛されし者

・川に愛されし者

・魔獣を愛す者


異能力(チート・神の加護にて隠蔽中)

・自動翻訳

・神眼

・収納

・転移

・異世界ショッピング

・ポーション作成

・全状態異常完全無効

・身体強化

・魔獣使役


技能 (スキル)

・魔獣使役

・気配察知

・索敵

・隠形

・治療

・徒手格闘

・ナイフ格闘

・射撃

・狙撃

・狩猟

・釣漁

・解体

・料理

・採取



あら、職業に読み方が付いたよ。英語の方がイメージが湧きやすいからか?確かに日本語だと「猟師」と「漁師」は字を見なきゃ分からんもんな。これはアイがやってくれたのかな?ありがとうアイ。


「どういたしまして。今後もマスターの利便性を最重要項目とし、随時私の権限で変更しカスタマイズしていきます。ご了承ください。」


頼りになるね。ありがとう、これからもよろしく頼むよアイ。あ、やべ、薬師 (ポーションメイカー)だけは隠さないと見られたらマズい。


「アイ、早速だけど職業の薬師を隠蔽して欲しい」


「かしこまりました。」


すぐにステータスが書き変わる。



職業

・山屋 (アルパインマスター)

・採取者 (ハーベスター)

・猟師 (ハンター)

・川漁師 (フィッシャーマン)

・ブッシュクラフター

・魔獣使役者 (モンスターテイマー)

※従魔:ウォルター(三ツ角狼)

《・薬師 (ポーションメイカー)》(隠蔽中)



良し、これで要らぬトラブルは避けられる。俺は何食わぬ顔で水晶玉に触れる。水晶玉から青い光が溢れ出し、年嵩の男が空中に目を走らせる。恐らくステータスパネルが空中に現れているのだろう。


「モンスターテイマーなんて初めて見ました。


しかも、ハンターとフィッシャーマン、ハーベスターはともかく、この年齢でアルパインマスターとブッシュクラフターとは・・・・。


どちらも長らく野山で生活し技術を得ないと身に付けられない職業です。雷神様の森からいらしたと言う話、本当のようですね。犯罪歴もありません。問題ありませんね。


ようこそポルカ村へ。貴方を歓迎します。」


とりあえず客人として認められたようだ。良かった良かった。


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