無意味と一瞬
ふと空を仰ぐ。
そこに意味はなくとも、確かに私は何かを求めていた。
流れるような日常は、もがく私を縫うようにして素通りしていく。
しかし、それを振り返ったりはしない。
今に至るまでに歩んできた時間は、いくら積みあげたとしても、一瞬にも満たないような気がして。
--おもむろに私は手にある空き缶を路傍に放ってみる。
今まで忌み嫌ってきたその行為も急に清々しく思えた。
一度一線を越えると、私はタガが外れたように道徳を見失っていった。
•••なんてことを想起してみても、私は微笑のまま恐れることしかできなかった。
こんなことをしても世界は私に影響されないことを、世界は私に影響を及ぼさないことを。
自分自信を変化させることのできない私を。
それでも私はこの歩みは止めない。
一度自分を捉えてしまったら、すぐそこにいる一瞬に取り込まれてしまうようで。
私は、何かが変化してくれるのを待ちながら、ただ意味もなく流れる日々にどこか安心を覚えていた。