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義父母と鬼嫁のドリフな毎日~ベビーカステラ編~

作者: まおちゃり

 地元最大のお祭りが始まった。

 600ほどの露店が並ぶ中、毎年人気の屋台のひとつが「倉田商店」、ベビーカステラのお店だ。香りといい、甘さといい、もっちり加減といい、数あるベビーカステラ屋さんの中でもピカイチなのだ。

 以前は毎年繰り出していた義父母も、自営業をたたんでからは贅沢を慎むようになった上、義父が脳梗塞を起こして片麻痺になった今は、もはや人混みの中へ出かけることは叶わなくなってしまった。

 せめてお祭りに行った気分を味わってもらおうと、自宅でベビーカステラをこしらえた。

 もっちり感を出すため、ホットケーキミックス・牛乳・卵にはちみつと片栗粉を加え、たこ焼き器に流し入れる。かなりいびつでもっちり感もいまいちながら、きつね色のベビーカステラが完成。ちょうど3時に起きてきたところで、コーヒーとともに6個だけすすめた。食べ過ぎは持病の心臓・腎臓に負担をかける。

 「これうまいがのう。」と言いながら、あっという間に平らげる。「ありがとうございます。お粗末さまです。」ちょうどいいおやつになったと喜んだのもつかの間……

 再び和室へ引き揚げたとたん、何やらカシャカシャ包み紙を開ける音がする。どうやらお仏壇に供えていたまんじゅうか何かを義父にせがまれ、義母が下げて与えたようだ――「だめだこりゃ。」

 これではたちまちカロリーオーバー。ただでさえ退院以来6.4kg肥えたのに、まだ太る気かっ。歩行器での廊下の往復もさぼりっぱなし。この分だと70kg突破も時間の問題だ。転倒しても起こせなくなってしまう。義母だって自分の首を絞めることになるのに……。

 これにて手作りおやつは封印しようと決めた鬼嫁であった。

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