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27 負けもせず勝てもせず

 激しい金属音がずっと鳴り続けている。

一昼夜を超えていると思うが。あれからずっと闘い続けているのだ。

トスッと人型の左腕がまた落ちる。

そう、また。

奴も慣れたもので落ちる左腕を足で跳ね上げ元の位置へと戻すとそのまま棒を振り下ろしてくる。

すっかり忘れていたが、こいつには物理攻撃無効があったのだ。

傷をつけることができるのは左腕だけ、落としてはくっつけて復活。

おちょくられているとしか思えない。


体力はとっくに尽きた。

魔力で体を動かしているだけ。


 打ち合いはまだ続いている。

しかしこうやって手合わせてみると棒を相手とするのはなかなか厄介だ。

持ち手の場所によって間合いが変幻自在でつかめない。大きく後ろに下がっても端をつかんで大きく薙ぎ払ってくる。

一撃を躱しても反対の端が旋回してすぐ追撃してくる。

棒のどの部位でもこちらの斧を受け流される。

おまけに足癖が悪くって油断すると蹴りが飛んでくる。

さすが俺のコピー、たちが悪い。


 敵はいつになっても衰えず俺の限界は迫る。

少しは余裕で躱せた棒も皮膚すれすれを通っていく。


 ミュ~ァ。


 広場になった洞窟の隅っこで俺の戦いを見ていたポンタが場違いに気の抜けたあくびをした。

別に顔を向けなくてもポンタの様子は確認できているのだが、生まれてからの習性で思わずそちらに顔を向けてしまう。

そのことによってできるわずかな隙。

敵の棒が小さく旋回して今までで最も速い速度で俺の頬を撃つ。



 打撃音がしない。

というか何も感じない。

メタリックに光った俺の頬が棒の持つ物理エネルギーを0にした。


 動かなくなった俺に向かってやつはジャンプしながら大きく振りかぶった棒をたたきつけてきた。

動画を一時停止したようにお互いの動きが止まる。

バカバカしい。

俺も物理攻撃は効かないんだった。

ポンタがあくびするわけだ。

つまらん。

疲れた。

寝る!


 人型の魔獣にタコ殴りされる中、何も感じない俺はゆっくり休むことができた。





 




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