猛虎が牙剥くは、紅き女王 その2
お久しぶりです。
ホントに申し訳ないです。
今後どう書いたら良いか分からなくなります。
それくらい難産な話でした。
ほんの一握りだけが、戦える状態にある。
「まさかここ迄とはな…。」
「お、おい、何が、どうなって…。」
男は横目でクラスメイトを見遣る。平然と立ち、尚且つ腕を組んでいる。しかしその目は真剣そのもの。
「てめぇらじゃ、ヤツには勝てねぇよ」
「おいらでも無理っぽいなぁ〜。」
「あたしなら裸足で逃げ出すよ。」
「ミツ、トヨヒデ、チョウ、堂々と言うことじゃないだろ。」
リーダーの男、シンが言う。
「でもさぁー、アレって最早バケモノじゃないっすか?」
紅髮の女を見る。粒子を放ちながら溢れる魔力の奔流は、人の本能に警戒を放ち続ける。
明確な殺意。
手を出してはいけない物、触らぬ神になんとやらと思った。が、それも、時すでに遅し。
地力が違うと、理解しているのはシンとミツ達だけだった。
「下手するとこの場で跡形もなく消されるか…。」
そんな時、紅き女王は口を開く。
「さて、お前達は何故私を狙う?」
誰かがゴクリと唾を飲む音が聞こえる。
「まともに喋れるのはお前たちだけ?」
「あんたの殺気をどうにかすれば、他の連中も喋れると思うぜ?」
ギロリと睨む女王。この場の絶対的支配者がこちらへと視線を向ける。近くに居た女子生徒は腰を抜かし歯をカチカチと鳴らし、また粗相しながらも平伏する。
「そうさせているのはお前たちだと言うことは理解しているのかしら?」
女王の怒りがこの場にいる全員に当てられる。
男は女王の圧倒的な強さに歓喜する。己の全力を出せる相手が目の前にいる事に、そしてこの世界は捨てたものじゃないと。
「面白ぇ!」
その一言に女王がピクリと反応する。
「面白い?…。」
ポツリと発した言葉とともに、大地が震える。
「私はなぁ、邪魔されて、ちっとも面白くないのよっ!?」
バチバチと爆ぜる紅い稲妻。攻撃性のある魔力が爆ぜる音だ。女王の怒りは最早臨界を超えているのだろう。
恐らくこの女王はこの場にいる人間が幾ら死んだ所で何とも思わないだろうと、シンは考える。それと同時に冷静さを欠き易いのだとも思った。
「ある意味好機か。」
紅い燐光を撒き散らしながら、一瞬のうちに距離を詰める。だが、冷静に対処する。捌く、捌く、紅の線を読みながら。その光景は達人同士の闘い。
「チッ!?」
思考と身体のスピードの限界にシンが舌打ちをする。一方、紅き女王はその瞳から光彩を消し紅みを増していた。
「これで終わりよ。」
女王の背に焔で出来た紋章が浮かぶ。原初の紋章が誕生した瞬間である。
紋章が形を変え、女王の手に纏わりつく。手甲へと形を変えて。
「模倣紅の型、紅桜」
瞬撃と言える程の速さでシンの身体を撃ち抜く。その数、1059発。今のイヴの身体だからこそ可能になるその拳打数。
その頃、別の場所で一人の見た目エルフが空を仰ぎ見た。
「やってくれるわね…。」
ユウリはアリスに聞こえない様にぼそりと呟いた。模倣とは言え、紅桜を真似たのだ。余波の魔力がユウリの元まで届いたのは言うまでもない。
冒険者ギルド全体にも激震が走る。魔力計測器が異常値を示したからだ。
「な、なんだ、これは…。」
世界で紅の絶対女王が認知された瞬間でもあった。
紋章をやっと出せました。
なんか最近主人公がイヴな気がしてなりません。
リーン、教師の依頼頑張れ!




