邂逅
投稿が遅くなりました、ごめんなさい!
地味にボチボチ投下しますので生温かい目で見守ってやって下さい。
今度、最強を求めた学生は異世界で覇を唱えました、を再投稿します。
端末3台で投稿してたんでサルベージがキツイですがこっちも生温かい目で見守ってやって下さい!
「いい加減に諦めぇや!!」
耳を塞ぎたくなるほどの声量。近所迷惑にも程がありますね。
それにしてもこの方向はギルドの・・・まさかね?。
小走りでギルドの方にリーンが行くとそこには案の定、お決まりかとでも言わんばかりに柄の悪い連中がクレメリアさんを囲むようにして騒ぎを起こしていた。
「そんな事を言われても、ここは錬金術師ギルドだ。君たち冒険者は無縁の場所だろう」
「ここは今日から冒険者ギルドの一部になるんだよ。分ったら荷物を纏めてどっかに行きな!」
どうやら揉めているのは、冒険者とギルドマスターのクレメリアさんみたい。錬金術師ギルドの建物に関しての事らいいけれど・・・。
「どうしたんですか、クレメリアさん?」
「あ、リーンちゃん!。来ちゃだめよ!」
クレメリアさんに問いかけると大きな声で来るなと言っている。もう遅いけれど・・・。
「どうかしたんですか?、クレメリアさん。」
「なんだぁ?てめぇは・・・」
虫です、じゃない、無視です。こんな野蛮な人は基本関わり合いたくはないですからね。
「ダメですよ、クレメリアさん。こんな脳筋と会話したら・・・」
「いや、私とて好きでしているわけでは・・・。」
完全に男達を無視して話を進めていく。
その光景に次第に苛立ち始めていたのは言うまでもない。
「さっきから何なんですか?」
「おい、嬢ちゃん、おめぇ、俺らをバカにしてんのか?」
「はぁ、さっきからそう言っているじゃないですか・・・。やっぱり見た目通り、脳筋なんですね・・・。」
呆れるように口にしたら、男たちは顔を赤くし喚き散らし始めた。
「このアマぁぁ!!」
目にも留まらぬ速さで拳を繰り出してくる。
辛うじて避けて捌く。護身術程度では反撃もできない程のキレだった。
流石の戦闘職というか、ボクじゃどうしようもできないですね!。
避けるのが精一杯です。
「へっ!やるじゃねぇか!だが何時まで捌けるかな?」
図星なので言い返せない。元々戦うことが余り好きではないリーンなので、身体は鍛えていない。無論、能力も錬金術に全振りなので超が付く程のインドアなのだ。
唇を噛む。悔しい、反撃出来ないし。周りの人は見て見ぬ振り。最低、何もできないボクも。
『なら、私に代わって?』
(えっと、キミ、は?)
『ホラホラ、時間ないよ!』
(えっ!?ちょっ、まっ!!)
『ハイ、ターッチ!!』
ほんの一瞬、ボクの意識が遠のく。次の瞬間には少し離れたところでボクと男が対峙しているのを観ていた。
バックステップで距離を取る。相手も様子をみているのだろう、直ぐ此方に来る気配はないので身体を伸ばす。
「んぅぅ〜!!久しぶりの表だわ!!」
男は目を見開き、驚きを隠せない。艶やかな黒髪が一瞬で燃えるような紅髪になっていたのである。
「魔力は、充分!!」
「てめぇ、唯の錬金術師じゃねぇな!」
「錬金術師はリーン(あの子)。私の専門は戦闘。少しは楽しめそうね、遊んであげるからいらっしゃい?」
完全に相手を馬鹿にする態度。先程の少女とはとてもでは無いが、同一人物とは思えない。
男は直感で思った。コイツは全力で殺しにかからないと、こちらが殺られる!と。
その直感が間違いでないことが次の一言で確信に変わる。
「身体強化はできるのでしょう?全力で来ないと、殺すわよ・・・。」
「ッ!!」
人とは思えない程の冷たい視線と、感情の篭っていない言葉に男は背筋が凍る。堪らず全力で身体強化を施した。
「ハッ!!」
短く息を吐き、距離を縮め同時に拳を繰り出す。Bランク冒険者の全力の拳を片目を閉じたまま葦らう。
「あ、ありえねぇ・・・」
周囲の冒険者達は絶句している。なんと、男がいつの間にか傷を負っているのだから。
「ねぇ、それ、全力?」
「く、クソがぁぁ!もう容赦しねぇ!」
男は叫ぶと、懐から丸薬を出した。その黒い丸薬を一飲みすると、変化は直ぐに訪れた。
元からかなりの筋肉質だった身体がさらに隆起し、皮膚が硬質化しているのか赤黒く変色していた。目も血走り、髪も僅かながら逆立っている。
「なるほど、それが切り札ね。なら此方もそれなりに力を使わせて貰うわ。」
少女がそう言うと、少女にも僅かながら変化があった。両目近くに模様が現れたのだ。
魔力などが感じられる者たちは、一様に顔を青ざめ歯をカチカチと鳴らし始めた。中には発狂し始める者まで現れた。
「捻り潰してやるぅぅ!!」
「クスクス、面白い冗談ね?」
「なにッ!?」
「貴方、両腕が無いのにどうやって私を捻り潰すというの?」
「な、に?」
指摘された男は自分の腕が在る筈の場所へと顔を向ける。
だが其処には何もなく、在るはずのものは地面に落ちて血だまりを作っていた。
「アガァァァァ、オレの腕がぁぁぁ!!!!」
「その丸薬、メリットよりデメリットの方が多いみたいね。」
嬉々として続きをしようとした矢先、警備隊が駆けつけその場を収めたのだった。
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇
「君は、一体?」
クレメリアがリーンによく似た、でも違う少女に問いかける。
「イヴ」
「えっ?」
「私の名前、イヴ。も一人のリーンと思って。」
あっけらかんと言い放つ少女は、その紅い髪を風に靡かせながら片目を閉じつつもクレメリアを見つめているのであった。