案内されて王宮内。
大変遅くなりました。
更新です。
リュークさんに案内されて、大きな扉の前まで来ました。何ともスケールの大きな扉ですかね…。
巨人の方でも出入りされるのでしょうかね、このお城は。それにしても、ヒールの音が良く響きますね。
「さて、この先だ。」
「あ、はい。」
無駄に大きい扉に反応が遅れてしまいました。不覚です。
まるで巨人族の人が通る扉かと思いましたよ。
うん、大きすぎますね。
重い音を立ててゆっくりと扉が開いていき、赤い絨毯の先に厳かに座るおじ様が居ました。
見るからに王様ですね、その隣の綺麗な方は王妃様でしょうかね。うん、凄く綺麗な方です!。
「父上、巷で噂の錬金術師をお連れ致しました。」
「うむ。」
庶民にはちょっとハードルが高いかもですね…。
あんなザ・王様な人日本じゃいないですよ…。
「お初にお目にかかります、錬金術師をしておりますリーン・ファンテと申します。」
き、緊張しますね、これは。
「楽にしてくれて構わん。喋り方も普段通りで良い。」
「は、はい。ありがとうございます。」
「まぁ、礼儀正しい娘ですね。リューク、この娘を娶りなさいな!。」
なんかとんでもない事言ってますねこの人は!。
隣のイヴが物凄く不機嫌な感じになりましたよ!。
「母上、その前に自己紹介が必要でしょう。それに父上も。」
「お、おお!そうだったな!。ワシはレグナント・ザルフォルト・ソルファーダ。この国の王をしている。」
「私はルリアよ。この人の妻でリュークの母親です♪。是非、お義母さんって呼んでね!」
あはは、となんとも言えないリアクションを取っていると、横にいたリュークさんが頭を抱えていた。
御愁傷様です、リュークさん。
「お待ち下さい!父上!母上!。そこの女はこの俺様が先に目をつけています。」
「ゼルト、お前をここに呼んだ覚えはないが?」
すかさずリュークさんが牽制しています。
リュークさんとは違い、だらし無く出た大きなお腹にとても似ても似つかぬ醜悪な…。
いやいや、あのお二人からコレは生まれないんじゃ…。数分前にも見ましたが、流石に…。
「ゼルト、お客人に失礼だぞ。口を慎みなさい。」
「いいや、言わせてもらうぜ父上!。父上も母上も兄貴に甘すぎんだよ!。あの蛇女にしてもそうだ!。どいつもこいつも兄貴、兄貴、兄貴!。反吐がでるぜ。」
周りから極寒の様な視線が、ゼルトと呼ばれた俺様高圧系の人に向けられています。
「貴様の様な豚に大事なこの娘を渡すと思っているの?。」
「あん!?んだとこのクソガキが!てめぇから躾けてやろうか!。」
イヴの言葉に反応する。うん、名前とか口に出したくもないな、この人は…。
「やってみなさいよ、豚が…。」
「こんの、ガキがああぁぁぁ!」
叫びながらイヴへと掴みかかろうとするも、イヴの
威圧感でピタリと動きが止まる。
「其処までだ、ゼルト。これ以上ワシに恥をかかせるなよ。」
「マスターの弟君は相変わらず我が儘ですねえ。」
「ぐっ、蛇女がぁ!」
悠然と歩いて?来るのはアレフナーガさん。
お化粧してドレスを着ているので、さっきよりも物凄く綺麗になっています。
綺麗な人がさらに綺麗になると理不尽な気がしますね…。羨ましい。
「それと、リーンちゃんはマスターであっても落とせないんじゃないかしら?」
「ふむ、そもそもそんな気は無いのだが…。」
なんか女の子として見られてない発言されたんですけど…。ちょっと傷付くな…。
「なに、君に魅力がない訳じゃない。むしろ逆だな。ついつい視界に入れたくなる。あのエルフが気にかける訳だ。」
ボクの知っているエルフって言ったらあの人しかいませんよ…。一体なにしてるんですか、ユウリさん。
あはは、と笑うあの人の顔が目に浮かびます。
何とも恨めしいですね、いろんな意味で!。
「それにしても、ダメですよマスター。リーンちゃんにはもっと誠実な方が似合います。」
「まるで俺が誠実では無いと言いたげだな、アレフナーガ?」
「マスター、自分の胸に手を当てて見て下さいな?」
そんなコントの様な会話を繰り広げている中、ゼルトがボクの腕を無理矢理掴み部屋から連れ出そうとしました。
そこへ問答無用でイヴがドロップキックをかましました。
「ぐべらっ!」
物凄い勢いで吹き飛んでいき、壁に激突してピクピクと痙攣していました。
「はぁ、すまない、アレフナーガが馬鹿な事を言いだすから対応が遅れてしまった。」
「マスター、流石にそれは酷いのではなくて?」
「…、ひとまずゼルトを牢へ連れて行け。」
「は、はっ!」
兵士が数人がかりで連れて行きます。あれは、重そうですね。
「本当にすまない、腕は痛く無いか?」
「あ、はい。ボクは大丈夫ですよ。」
そう言うと、貴族の方でしょうか顔を顰めていました。耳を澄まして聞いてみると、どうやら一人称の『ボク』と言うのがいけなかったようです。
「ふむ、何か言いたげだな?」
リュークさんがそう言うと、臣下の方の一人が異議を唱えました。
「淑女らしからぬ言葉を使うのは如何なものかと思いますがな!」
「…ジャミンゴ卿か。」
異議を唱えた貴族を確認するや否や、リュークさんの眼つきが変わった気がします。
「たかだか一人称位で心の狭い事ですね。」
「全くだ、どうやら意識改革が必要な様だな。」
リュークさんたちと何やら因縁のある貴族の方みたいです。正直ボクは早く宿に行きたい気持ちでいっぱいでした。
ユ「みんな、久しぶりね!」
リ「ユウリさん、誰に向かって挨拶してるんです?」
ユ「決まっているじゃない!全国にいる私のファンよ!」
イ「貴女なんかにファンがいるの?」
ユ「い、いるわよ!…たぶん。」
イ「たぶんって…。」
リ「ダメだよイヴ、例え可能性が少なくても『ゼロ』じゃ無いんだから。」
ユ「リーンちゃんが一番心を抉るわ…。」
イ「ちょ、真っ白になってるわよ?」
リ「えっ!?ボクのせい?」
その後一週間程ユウリはいじけていたらしい。




