番外編 錬金術師との出会いと再会。
更新が遅れて申し訳ないです。
読んで下さる方、ブックマークされている方、ありがとうございます。
私こと、アリスが旅立ちそれなりの日数が経ちました。その間に、ユウリさんと言う方と出会い振り回され、振り回されっぱなしになりようやく、ようやくサンテグリルに着きました。
「ギルドカードか各国が発行している身分証はありますか?」
「こちらでよろしいかしら?」
私はギルド所属ではないので、国発行の物を提示します。ユウリさんはどうやらギルドカードの様です。
「あぁ、貴女が噂に聞く勇者でしたか。」
「え、えぇ、まぁ…。」
正直、勇者の仕事をそっちのけでのんびり暮らしたいんですけど…。帝国にでも行ったらのんびり出来るかな…。
「アリスちゃん、中入ろうよー!。」
ユウリさんが大声で私を呼びます。やめて下さい、恥ずかしいじゃないですか!?。顔が熱くなってしまいます。
「あ、あの、ユウリさん、恥ずかしいからやめて頂けると…。」
『どうして?』的な顔で首を傾げながら見つめて来ます。たまにこういう天然な所があるんですよね、卑怯ですよそれは!。
「そんな事より、早く入ろうよ!。」
うっ、あの顔をされると弱いです…。あのキラキラした瞳と嬉しそうな顔、あんな顔を世の男が見たらと思うと不安でしょうがないですよ。
「はいはい、今行きますわ。」
少しため息を吐きながら、私は歩き出しました。
「町は久しぶりだなぁー!。あっははは!。」
はしゃぐ気持ちも分かりますが、落ち着いて欲しいです。気持ちは分かりますが!。だって最近は此処まで大きな町はありませんでしたし、久しぶりですからね!。
「ユウリさん!まずは宿をとりませんと!」
「うん、そうだね。」
あぁ、あぁ、スキップが止まってませんしぃ!。あぁ、振り回される事さえ無ければ、なんて可愛い人なんでしょうか!。
そう、振り回される事さえ無ければ!この一点につきます。この間も盗賊を一網打尽にしてドヤ顔してましたし…。いや、凄いんですよ?その手際とかも慣れたもので…。
「それにしても、この町って錬金術師が殆どいないんだよね?。」
「そうみたいですよ。今は少しいるみたいですけど、この間まではリーンって方のみだったとか…。」
「リーンちゃんだけだったんだ。それはびっくりだね。」
「ユウリさんはリーンさんという方とお知り合いで?」
口ぶりからすると、知っている様でしたので素直に聞いてみましょう。
「まぁね〜、前に一回会って会話したくらいかな。」
それって殆ど知らないって事じゃ…。
「ライゼルカも一緒だよね。久々に戦うかなー。」
なにか物騒なこと言ってますけれど、ここは敢えて無視しましょう。巻き込まれては堪りませんからね!。
「そ・れ・よ・り・も!まずは宿探しです!。」
「は、はい。」
少し強く言ったら、ユウリさんは肩をビクリと震わせて返事をしました。普段からこうして言うこと聞いてくれると楽なんですけれどね。
大きな町なので、宿自体は複数あり選り取り見取りな状態でした。その中でも、評判が良く値段の安い宿にしました。
酒場も兼ねてあるので、その点は気を付けてくれと言われました。まぁ、酔っ払っている方を相手にしたく無いですからね。
「いらっしゃい。」
見た目30代のおじ様が、入って来た私たちへ入店の挨拶をしてくれます。声も中々渋めですので、好きな人は好きでしょうね。
「ほぉ、女性二人か。珍しいな。宿の方でいいのかい?」
「はい、お願いします。」
「あいよ。リネット、二階の3号室だ。案内してやってくれ。」
そう言って出て来たのは少女でした。恐らく娘さんでしょうか、可愛いです。子供、いつかは欲しいですね。まぁ、私の場合は相手を探さないといけないですけれど…。
「はーい。こっちだよ、お姉ちゃんたち!。」
真っ先にユウリさんが手を引かれ連れていかれました。二人とも元気ですね、私はクタクタですよ?。
「疲れてる様だな、今日はゆっくり休みな。」
「はい、お気遣いありがとうございます。」
そう言って私も部屋へと向かいます。その日はベッドに着くなりあっという間に寝てしまいました。ユウリさんは、しっかり食事も取っていたみたいです。あと料金も先払いで数日分支払った様です。ありがとうございます、ユウリさん。いつもはトラブルしか起こさない方なのに…。
翌朝、私は顔を洗ったあと朝食を摂ろうと一階のカウンターに顔を出します。
「お?おはよう、 昨日はしっかり眠れたみたいだな。」
「あ、おはようございます。はい、よく眠れました。」
「だろうな、夕食なんかも食べずにずっと寝てたみたいだからな。」
「あ、お恥ずかしい限りです。」
寝すぎたことに顔を赤くしてしまいます。今まではこんな事なかったのですが、やはり旅の疲れなどが溜まっていたのでしょうね。穴があったら入りたいです。
「気にしなさんな、俺からすればお前さんは凄いよ。」
「そう、でしょうか?」
「あぁ。そこは自信を持ちな。それより、何で旅なんかしてるんだ?」
疑問に思ったのか、店主さんが旅の目的を聞いて来ます。隠す必要もありませんので良いですけれど。
「実は、人を探しているのです。」
「人?。」
「はい、リーン・ファンテ、という方なのですが。」
私が探し人の名前を出した瞬間、店主さんの目つきが変わりましたね。何か知っているのでしょうか?。
「…そいつを探してどうする気だい?。」
「どうする、と言われても困りますね。」
「何故だ?。」
私の旅の説明をします。正直、魔王と戦う事はしたく無い、そもそもいるか分からないのに人生を棒に振りたく無い等の愚痴を零していました。
「あー、なんか、大変なんだな…。」
「はい、それはもう。生まれてこのかた監視と洗脳じみた教育、あの国最悪ですよ!。ようやくあの地獄から出れたんですよ!。これはもう旅行気分で色んな所巡って何処かに定住する気ですからね!。」
「……。」
「あなた、この人は良いんじゃない?」
話を聴いていたのか、奥さんであろう美人な人が出て来ました。
「そう、だな。」
「??」
私は事態を飲み込めていませんでした。
「あの、いったい?」
「あ、あぁ。実はな。」
『バンッッッッ!?』
店主さんの言葉を遮る様に店のドアが開き、不機嫌さMAXのユウリさんが入って来ました。
「ねぇ、この町、どうなってるの?」
「どう、とは?」
「リーンちゃんの扱いだよ。」
「なるほど、な。」
「答えてよ。」
「この町はな、錬金術師を差別してるやつがいるんだよ。と言うか、この町の半数だな。全く胸糞悪い!。錬金術はすげぇ技術じゃねぇかよ!それを異端の法だとかイチャモンつけるんだぞ?。特にリーンの錬金術なんかすげぇんだぜ!。妻も娘も世話になってからは、家族同然に接してるからな!。」
暴走する店主さんは、トレイで思いっきり頭を叩かれていました。もの凄く、軽快な音でした。暫し頭を抑え蹲っています。ホント、痛かったでしょうに…。
「あ・な・た。少し落ち着いてくださいな。」
「は、はい。」
店主さんを奥さんが止めてくれました。あのままでは、どれだけ喋るか分かりませんからね。それから、二人であらかたの話を聞いてリーンさんに会いに行ったのでした。
案内してくれるのは、店主さんの娘さんのリネットちゃん。自慢気にリーンさんの事を話す姿はとても誇らし気でした。まるで自分の姉を自慢するかの様で、見ていて微笑ましかったです。
「ここだよー。」
そこは雑貨屋の様なお店でシンプルな看板がありました。『リーンのアトリエ』。
入口のドアを開けると、カランカランと入店を知らせる音が店内に響きます。
「いらっしゃいませー!。」
これが、勇者アリスと錬金術師リーンの邂逅でした。
後に語られる、アリス・エルフィールドの冒険では語られることの無い秘密の出会いだった。
リ「やっと出会いましたね。」
ア「長かったですね。」
ユ「私との再会は?」
ハ「省略されてますねww」
ユ「作者よ、どう言う事だ。」
作「え?いらなくね?。てかさ、会いに行こうと思ったらすぐ行けたよな?」
ユ『視線をそらす。』
ア「え?それってどういう…?」
ユ「ふっ、女は秘密が多いほど魅力的なのよ…。」




