紅蓮の怒りは災禍の様に。
奇跡の2話投稿。
先に謝っておきますが、物凄い酷いことが書かれていますので注意して下さい。
因みに私は書いててそのキャラ (モブ)に怒りが…。
何であんなん出したんかな〜。
四次元巾着から 『どこでも行けるドア』 を取り出し、順々に潜り帰宅する。家に着くと聞こえて来たのはけたたましいまでの戸を叩く音でした。
あまりの酷さに、シャンティ姉さんやおじいちゃんまでムッとした顔をしていましたがひとまず抑えてもらい急いで扉を開けます。
「あぁ!やっと開いた!。お願いだ!助けてくれ!」
「えっと、どうしたんですか?」
いきなり助けてくれって言われても、困りますけど…。
男性は少し正気を取り戻したのか、事情を少しずつ話し始めました。
「強力な魔物が現れたんだ。ギルドは冒険者や神官、兵と協力して退治する方向に方針を決めたんだが相手が強すぎて…。」
「それで?この子には戦う力は無いわよ?」
「その子、紅い髪になると凄く強いから呼んで来いって言われたんだ…。」
それはボクじゃなくてイヴの方です、おしいです。
「それに、その子の錬金術で作っている傷薬が良く効くって…。」
男性が喋るたびに、シャンティ姉さんやおじいちゃん、イヴが怒っていくのが分かりました。ボクはイヴを宥めていましたが、やはり別の場所で爆発しました。それも静かに。
「のう、お主らは自分がなにを言っているか解ってあるのか?」
「え?。えと、その…。」
「答えられない?。教えてあげましょうか?。この子が街に来てからどんな事されていたかを。」
「シャンティ姉さん、言わないで!。あと、今この場にある傷薬はこの棚の物で全部です。これ以上は、ありません…。」
男性は目に見えて落ち込んでいました。傷薬が八つしか無かったからでしょうが、四次元巾着の中にも無いのでしょうがないです。
「く、なあ!傷薬はもっと作れないのか!?。傷薬が無いとみんなやられちまう!」
「……、ごめんなさい。」
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。いつも作っているのですが、今日は一日中休みにする筈だったので作ってなかったのが悔やまれます。その事にボクは唇を噛み締めました。
「……、たずが。」
「えっ?」
「この役立たずがっ!?。所詮は錬金術師か!?。肝心な時にクソの役にも立たんヤツが!バッカスの野郎はやっぱり騙されてやがんだよ!アレか?その無駄にでかい乳で誘惑騙しやがったのか?それなら娼婦の方が向いてんじゃねぇのか?。」
男性がそう言った瞬間、ボクの意識は無くなりました。
男はひとしきり暴言吐いたのち、後悔する事になった。リーンの髪が揺らめき紅く、紅く、ルビーを溶かし込んだ様な鮮やかな紅へと変色していたのだから。
それだけではない、瞳の色も淡いブルーへと変わっていた。一部の冒険者からは、紅蓮の闘神や真紅の戦女神などと囁かれていた。
ーーーイヴ。
それがその者の名だった。
「ふふ、くっふふ、あっはははは!。お前たちは魔物に殺されるより私に殺されたい様ね!」
「ひっ!?」
寒かった。その場を支配しているのは怒りを宿す紅蓮の髪の女性。視線は全てを射殺さんとする程鋭く、殺気は隠す事なく垂れ流しに。触れる者全てを消し炭にせんと炎の様に揺らめく魔力がその異常さを表していた。
おもむろに男の胸倉を掴み、目を合わせながら聞く。
「魔物に殺されるのが早いか、私に殺されるのが早いか競走よ?。ほら、逃げなさいな。」
やってしまった。男は後悔した。あの魔物以上の化け物の怒りを買ってしまった。失敗した、失敗した、失敗した!。
男は逃げる、何処へ?。分からない。けれども、走る。体が動く限り、走って走って走り続ける。止まっては終わりだと本能が告げる。
「はっはっ、はっ。」
喉が熱い、身体が走る事を辞めたがっている。
「随分頑張るのね。でも、そろそろ飽きて来たのだけれど?。それに、お前以外の死体も結構増えて来たし…。」
男は振り返る。近くに転がっている死体は、昨日一緒にダンジョンに潜った友人だった。
「あら?。自分で踏み殺しておいてどうしたの?」
自分で友人を殺した事に、そして鏡に映った自分の姿に。
ーーー男は発狂した。
「さあ、飽きたしそろそろ終わりにしましょう。」
紅い髪の女性がそう言うと、魔物は一瞬で殺された。
「ギルドマスター、魔物は討伐された様です。」
ギルドマスターと呼ばれた男、ダブリン・ナマカンと言う。冒険者ギルドのギルドマスターであり、錬金術師ギルドを潰さんとする男だ。
「そうか。例の錬金術師はどうなった?」
報告にあった人柄であれば、傷薬を無償提供か或いは自身が治療に向かうと踏んでいた。
「は、それが傷薬無償提供、及び治療を行ったとの報告がありません。」
「しかし、真紅の戦女神が現れたとの事です。」
傷薬云々を報告した男とは別に、女性が追加で報告する。女性は表情こそ表に出していないが、内心ではこの計画に賛同していない者の一人で実際、リーンと接触する者の数人は彼女の手にかかって殺されている。
「く、何故それを早く言わん!」
「何処へ行こうと言うの?」
ダブリンが行動を起こす直前だった。壁が一部吹き飛ばされ、外が丸見えだ。
「ぐ、紅蓮の、闘神!」
「街ごと破壊しても良かったのだけれど、バッカス達もいるしやめておいてあげるわ。でもお前たちは許さない、あの娘が、深く、深く傷ついた。それはあの娘が錬金術師と言うだけ。たったのそれだけであの娘は侮蔑の視線を受け、家には腐臭のする死体をぶちまけられ、貴様ら冒険者にも格安で傷薬を売っていたにも関わらず!。それに、私が今何もしなくてもどの道お前は終わりね。」
「そ、それはどう言う…。」
イヴの視線の先には先ほどの女性がいた。
「はぁ、あまりネタバレはしないで欲しいですね、真紅の戦女神。」
「ふふん、獲物はあげるんだからそれでいいじゃない。」
「ふぅ、相変わらずあなたは、リーンさんの事になると我を忘れるのですから…。」
「仕方がないわ、私にとってあの娘が一番大切だもの。ライゼルカもそうよね?」
「無論。聞くまでもない。それに、あの方も許す気は無い様じゃ。」
そこにいたのは黒の服を身に纏い、仮面をした者だった。
「干渉するなと言わなかったか?。」
「ヒッ!?」
「ルリサリナ・マルティガーン、こいつを早く連れて行け。思わず消滅させてしまいそうだ…。」
「ハッ!。」
「イヴ、時期が来たらこれをリーンに渡しておいてくれ。」
仮面の者が出したのは光る物だった。
「はいはい。それにしても、貴方も物好きね。」
「こっちにも色々事情があるのさ。シャンティエーラは大丈夫なのか?」
「それのぅ、結構ヤバいんじゃよ。」
「おじいさままでヤバいみたいなのよ。」
「おいおい、私情入りすぎだろう…。まぁいい、これで愚物は処分できた。今後は今よりは過ごしやすくなるだろうさ。」
冒険者ギルドのギルドマスターは連行され、新しく指名されたのはクレメリアの幼馴染の一人、ツィーネ・アルカートが後任になった。これにより、錬金術師ギルドとの仲が良好になり良き関係を築く事になるのだった。
リ「今回で結構キャラ出ましたね!」
イ「作者は管理しきれるのかしら?」
リ「だ、大丈夫だよ!」
バ「おい、あの男もうSHIMATSUしたのか?」
イ「クールビューチーがしたんじゃないかしら?」
ル「誰がクールビューチーよ!」
バ「あいつ、俺の娘になんてこと言いやがる!」
リ、イ「いやいや、娘じゃないから」
ア「次は私の話ですね!。張り切ります!」
イ「あなた、もう出るの?」
ア「サイレントなんて寂しいじゃないですか…。」
リ「ま、まぁ、次回は明るいお話の様なので!」
ユ「お姉ちゃんに、まっかせなさーい!」




