義姉?と義父?の激突。炎蛇姫・アレフナーガ
更新です。
バッカスさん一家とそんな出会いを経て、現在に至るのですが…。
どうしてこうなったのでしょうか。今目の前にはバッカスさんと、火花を散らすシャンティ姉さんがいます。
「へぇ~、姉、ねぇ…。」
「なによ、義父的立ち位置のくせして?。」
正直に言いましょう、どっちもどっちなのでボクやリネットちゃんとかは少し距離をおいてお茶してます。おじいちゃんはリネットちゃんを甘やかしまくっていますが…。
「のぅリーン、何故にあ奴らは喧嘩しておるのだ?」
「さぁねぇ…。」
「ううむ、リーンの一番嫌いなことが喧嘩だと知らぬのかの?」
その一言にピクリと反応する二人。本当に困った人たちです。お茶菓子を摘みながら内心でそっと思います。聖人君子ではないので、これ位は許される筈…。
「ばっ!? そんな事しねぇし!?。」
「そうね、そもそも喧嘩なんて対等の相手同士がするものだしね…。」
あまりに不毛なやり取りだったので、流石に一言。
「ボクに言わせればどっちもどっちだから、二人とも頭冷やしてね?。」
「「ご、ごめんなさい!!」」
今日一日は二人と口を利かないようにしよう…。そう心に誓うボクでした。
シャンティ姉さんにはお店番を、バッカスさんには自分のお店に戻る様に言いつけてボクはリファナと共に採取に出かけるのでした。
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「ハァハァ、ハァ、ハァ。」
喉は灼ける様に熱く、息をするのも辛い程だ。如何してこうなった?。俺の思考はグルグルとそんな事を考えるが、答えは決まっている。あの転移魔法陣だ。
本来なら本陣付近の安全地帯に出る筈の物が、よりによってタイラントオーガの率いる群れのど真ん中とは…。
「クソッ!? レーファ、無事か!?」
「はい! リューク様は!?」
「ふむ、タイラントオーガが数体か。何を苦戦しているんだ、ビッグス、レーファ。」
全く化け物かよ!あの人は!。この状況下で悠長に分析なんぞ!。
しかし、リューク様がいると安定感が違うのは分かるが流石にコレは不味い。統制のとれたモンスターなんて初めてだ、これは何としてでも切り抜けて陛下に報告だな!?。
「火力が足りんか…。アレフナーガ、いけるか?」
『勿論ですわ、マスター。あの程度ならばすぐ様灰にしてみせますわ。』
「頼もしい限りだが、程々にな。」
ちょ、リューク様がアレフナーガ様と喋ってるってことは、これヤバくねえか?。一旦下がらねぇとオーガ共と一緒に燃やされちまうぜ!。
「レーファ! リューク様がアレフナーガ様を抜くぞ!?」
「ちょっ!? さっさと引かないと!」
「ビッグス、レーファ、アレフナーガを使う。他の者も私の後ろに下がれ!」
凛とした声が響き渡る。大きく通る声は隊の者たちの耳に確かに聞こえる。慌しく兵が行動し、声を張る。
「リューク様がアレフナーガ様を抜かれる!。総員退避ぃぃぃぃぃぃ!!!!」
隊の者を含め全員がリューク様の後ろへと回る。紅く揺らめく燐光が陽炎を出し、チリチリと辺りを焦がす。
「アレフナーガ、我に敵意を向ける者に終焉の業火を与えろ!」
そう言霊を口にし、剣を抜き横一文字に凪ぐ。熱の暴力と煌めく炎の粒が辺りを灰燼へと変えていく。
アレフナーガの猛る炎がリュークの敵を滅していく。
「また貴様か。リューク・ソルファーダ…。」
「ふむ、お前も物好きだな。何故アレフナーガを使う度に出てくる?」
「貴様が環境も考えずに全力で蛇女を使うからだろうが…。」
「天使よ、そうは言うがアレフナーガも鬱憤が溜まる事もある。大目に見てくれ。」
「流石に今回はそうもいかないかな〜。」
「「!?」」
その場にいた、全員が我が目を疑った。いつの間にか金色の髪をしたエルフがそこにいた。
「エルフ風情が」
天使がそう口にした瞬間に身体がくの字に曲がった。
「天使風情が気安く話しかけるな…。消滅させられたいの?」
「ゴフッ!?」
その場にいた者、リュークでさえ目で追えなかった程の速さで天使を落とす。
「全く、今はそんなことしてる場合じゃないでしょうに…。天界が大変な時に何を遊んでんだか。」
「ふむ、天界は大変なのか?」
「まぁねぇ、神の何柱が消えたんじゃ大変でしょ?」
「それは、楽観できる状況ではないな。」
「でしょ?。それなのに天使達は何もしないし…。」
女性は呆れた感じで言い放つ。それだけでもこの女性が苦労している事が伺えた。
「ここら辺は私が元に戻しておくから、君たちは帰りな。」
「手間を掛ける、すまんな。」
「いいよ。あ、でも、お願いを二つほど聞いてくれる?」
「環境を戻してくれるんだ、私に出来る事があれば、だがな。」
「うんうん、素直な子は好きだよ。それでお願いをなんだけど、一つは勇者くんに協力する事。そしてもう一つは錬金術師のリーンちゃんにも協力する事。」
「勇者は分かるが、錬金術師の方は何故だ?」
「あの子の腕前はこの世界一だからね。」
成る程、と納得するリューク。国益を考えるならば、世界最高峰の錬金術師とパイプを作っておくのはアリかと思考するがその思惑は打ち砕かれる。
「あくまで、協力だからね?。利用しようとしたら、分かるよね?」
「ふむ、成る程。お気に入りという訳か。」
「そういう事。」
指をパチンと鳴らした瞬間に、辺りが元通りに戻っていった。元通りになったのを確認して、女性は去っていった。
「ふむ、魔王なんぞに興味はないが…。色々と楽しみだ。なぁ、アレフナーガ?」
『そうですわね。是非とも期待しましょう、勇者クンと錬金術師には…。』
そう言葉を残し、彼らも自国の領地へと戻り始めたのだった、
まさかの青狸の秘密道具みたいになってますね、アイテムが…
四次元巾着、便利そう




