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再会

 家に帰り着いたのは、もう日が暮れて夜になる頃だった。家には残してきたライゼルカが1人でお留守番しているだろうから早く帰ってあげたかった。


 ボクは家の玄関を開け、中に入る。ライゼルカがヒョコッと顔を出して「おかえり〜」と言う。

 鼻腔をくすぐる良い匂いが漂ってくる。ボクは靴を脱ぎ、リファナの足を拭いて家の中へと入る。台所にいたのは、シャンティ姉さんだった。


「おかえり、リーン。ご飯、すぐ出来るから手を洗っていらっしゃい。」


 あまりの出来事にポカーンとするボク。1年ぶりだけれど、連絡もなしに来るのはどうかと思います。


「リーンよ、何を突っ立っておるのだ?」


 背後からまたしても聞き覚えのある声が…。まさかと思い、振り返るボク。

 予想通り、白い髭を蓄えたおじいちゃんがいました。二人してなんでいるんでしょうか…。ひとまず、手洗いをすませて問いただします。


「なんで二人がいるの?」

「ふむ、それは、むぐ!?」

「よ、様子見よ!。様子見!」

「ふーん。」


 怪しいです。シャンティ姉さんとおじいちゃんが二人してくるなんて…。それに、シャンティ姉さんったらおじいちゃんの口塞いでますし…。


「まあ、いいです。ライゼルカの相手もしてくれていたみたいですし。」

「うむ、楽しかったぞ!」

「いろいろと気になりますが、話は後にしましょう。先ずはシャンティ姉さんが作ったご飯が先です。」

(リーン、あたしのご飯。)

「うん、分かってるわ。ちょっと待ってね?」


 そう言って、ボクは四次元巾着からお肉を取り出し塩胡椒をまぶし香草を使い肉の臭みを取ると同時に味を付けます。そのお肉をフライパンでこんがりと焼いて粗熱をとり、お肉の一部をミンチにして此方は肉団子にし揚げていきます。

 簡単に用意できるもので今日は我慢してもらいましょう。少々個人的に納得はいきませんが…。


「ふむふむ、相変わらず手際がいいのう!」

「本当に、私よりいいわ」


 そんな恥ずかしい会話が繰り広げられているのを余所に、リファナは尻尾を左右にブンブンと振りながら目を輝かせている。


(……、おいしそ。)

「はい、お待ちどうさま。」


 そう言ってボクはリファナのご飯が入った器を床に置くと、もの凄い勢いで食べ始めたのでした。おそらくですが、今話しかけても聞いていない気がします。


「ふむ、では我々も頂くとしよう。」

「「「「いただきます。」」」」


 そろって口にし各々食べ始めます。シチュー、おいしいです。クリームシチューなのですが、具材がジャガイモ、鶏肉、ニンジンにブロッコリーと魚の切り身を一口大にして入れてあります。


「どお、おいしい?」

「うん、おいしい」

「うむ、美味いのだ!」

「それはそうとリーンよ、いつの間に子供を産んだのだ?」


 おじいちゃんの一言に、シャンティ姉さんがカランカランとスプーンを落とす。その表情は固まり、視線は虚空を見つめる。青ざめた顔からは呪詛の様に小声で何か言っています。正直怖いです。


「ライゼルカのこと?」

「他に誰がおる?」

「ライゼルカはボクの子じゃないよ?」

「うむ、そうだな!。どちらかといえば、甘やかしてくれる姉だ!」


 薄い胸を張り自信満々に答えるライゼルカ。その微笑ましさに、シャンティ姉さんもおじいちゃんもほっこりしているのは言うまでもないことでした。恐るべし、ライゼルカ!。


「それにしても、本当にどうしたんです?。二人して。」

「はぁ、リーン。貴女が私たちのところから出てもう一年よ?。連絡は寄越さないし、みんな心配しているわ。」

「そうは言っても、連絡手段が有りませんよ?」

「餞別の中に連絡用端末を入れておいた筈よ?」


 おかしいですね、話が食い違っています。という事は、見逃していたのでしょうか?。後で確認してみましょう。


 そんな話をしながら食事を済ませて、食後のお茶になりました。ボクが此方に来てから体験したことを、話していたらシャンティ姉さんがボクを優しく抱きしめてきました。


「此方に来てから、凄くいろいろなことを体験したのね…。」


 ゆったりとしたペースで頭を撫でてくれ、安心したのか涙が溢れてしまいました。

 恥ずかしいです。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



 いつの間にかリーンは寝ていました。それも仕方のないことだと思います。あの子は一人でこの世界に降りてきたのですから、これまで必死だったのだと思います。


「寝てしまったのう。」

「仕方がないわ、この子はライゼルカちゃんにも頼れる姉としていたのですよ?」

「それもそうだのう」


 本当にこの子は波乱万丈な人生を生きていると思う。あの変態がそもそも悪いのだけれど…。


「さて、それではワシがベッドに連れて行くとするかのう」


 私は見逃しませんでした。長老が一瞬鼻の下を伸ばしてリーンに良からぬことを考えていたのを。油断ならないわ、このスケベ爺!。それに私の可愛い義妹に触れさせると思っているのかしら。


「いいえ、リーンは私が(・・)連れて行きますのでご心配なく。」

「いやいや、遠慮するでないぞ?」

「遠慮なんてしていませんわ。長老こそ、そろそろお休みになったら如何です?。もちろん、お一人で。さ、行きましょうライゼルカちゃん。」

「うむ〜、そろそろ眠いのだ〜」


 そうして、リーンを抱き上げてライゼルカちゃんを連れ寝室へと向かったのでした。

最近、タブレットが欲しいなぁって思ってます。

あると便利そうだし、いいなぁって。


おすすめとかあったら教えて欲しいです。



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