依頼達成です。
更新が遅れてすいません。
今後更新日を決めてしまうのも手かなと思いました。
リルカルネちゃんに案内されて、サイネリアさんの部屋を訪れたボクたち。ベッドから起き上がろうとする彼女を静止し、歩み寄ります。
「大丈夫でした?」
「はい!。一晩だけですからそんなに変わりませんわ。」
「あはは、そうだよね。それと、これが依頼の品だよ。」
そう言って、四次元巾着から出した指輪ケース。流石に指輪をそのままいれませんよ?。しっかり、指輪ケースに入れてますから。
パカリと開けると、黄色の宝石がささやかながらに主張している指輪が顔を出す。黄色の宝石など、貴族でもなかなか見ない珍しい物であることは間違いない。
「これなんだけれど、嵌めてみてくれる?」
「よろしいのですか?」
「勿論ですよ、その為に作ったんですよ?。嵌めてくれないと拗ねちゃいますよ?」
「まぁまぁ、それは大変ですわ。なら、失礼いたします。」
そう言ってサイネリアさんは、指輪を何故か左手薬指に嵌めた。何故そちらに?。
そうは思いましたが、あえてスルーします。そこに嵌める意味を知った時の顔が見たいからですよ。美少女の顔を真っ赤に染める様はいつも思いますけど良いものです。
因みにボクは染める側でした…。
いけませんね、脱線してしまいました。
「さぁ、サイネリアさん指輪に意識を少し向けて下さい。」
「は、はい。」
ふわりと淡い光が灯り、ゆっくりと収まっていく。発光色は仄かな蒼。まるで大空を思わせるかのような蒼穹を溶かし優しくした色でした。
「成功、だね。」
『まぁ、当然ね。』
「素敵、ですわ。」
「綺麗、です」
二人して似たような反応で、ちょっと微笑ましくなりました。やっぱり姉妹なんだなぁとポツリと心の中で零したら、不機嫌そうにイヴが答えました。
『ふ〜ん、私じゃあ不満かしら?』
そっぽを向いた様に感じ、苦笑いしながらボクも答えます。
「そんなこと無いよ、ボクはイヴに会えてよかったと思ってるし今を幸せだと感じているから。」
『…それなら良いのだけれど。』
さてさて、まだ身体が慣れないはずだから一時は経過を見ないといけないことを伝える。しきりに御礼を言われたけれど、今回は宣伝料の様なものだと伝えておきます。本当のことですしね。
「そういえば、サイネリアさん。左手の薬指に指輪を嵌める風習ってこの地方でもあるの?」
「?さて、どうでしょうか?。母様はいつも左手の薬指に指輪をしていますが…。」
なにか?って顔していますね。これは、まず間違いなく地球と同じ風習ですよね…。さて、これは微妙に伝えるのが可哀想ではありますが皆さんに勘違いさせるのもいけませんし…。
思いきって伝えてしまいましょう!。
「えっと、ですね、恐らくなんですが、左手の薬指に指輪を嵌めるのは、自分は既婚者ですと宣言する様な物だと思います…。」
「えっ?えぇっ!?そんな、私はそんな!?あわ、あわわわ、どうしましょう!?」
確かに、普段はボクが今のサイネリアさんの位置なので逆の立場は味わえないのですけれど、これは思ったより心が痛いです…。
「サイネリアさん、落ち着いて下さい。今からでも別の指に嵌めれば良いだけですよ!。」
「そ、そうですわね!」
そう言ってそそくさと嵌め直すサイネリアさんは、可愛かったです。
それはさておいて、指輪の詳しい説明をしましょう。
「さて、サイネリアさん。指輪の詳しい説明をさせて頂きますね。」
「は、はい!」
「まずは使用法ですが、指輪に意識を持っていくだけで自動で魔力を吸収して稼働を開始します。この時に吸収した魔力がカギになりますのでサイネリアさん以外が嵌めても起動しません。サイネリアさんが二回目に嵌めた場合、もしくは指輪を近づけた時などは自動で起動してくれますよ。効果は、サイネリアさんの魔力を吸収し身体の補助や防衛、所謂運動がかなり出来るとか風邪になりにくくなるとかかな。余剰分は精霊印を通して精霊界に還元されるから溜まりすぎるってことがないから安心してね。」
「な、なんか、もの凄いものを頂いてしまいました・・・。」
「その変わりが、宣伝なんだからしっかりお願いしますね?」
「はい!全力で宣伝させていただきます!。」
ふんす、と意気込んでくれるサイネリアさんですが逆に心配になってきました・・・。
「っと、ひとまずは依頼達成ですね。今後ともボクのアトリエをよろしくお願い致しますね!。」
そう言ってボクたちはサイネリアさんの家を後にするのでした。




