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雷天龍の渓谷01

遅くなりました!

楽しんでくれたら幸いです!。

 青々と生い茂る木々の隙間から、陽の光が辺りを照らす。側では透明度の高い川が流れ、自然の偉大さを知らしめていた。



『すごい所だね〜。』

「えぇ、マナも満ち溢れているわ。」


 今いる所は、町から遠く離れた渓谷にいます。目的は雷天龍の黄玉の欠片です。この場所に雷天龍さんがいるらしいのです。

 それにしても、ホントに凄いですね!。良い素材が多くありそうです。


 ひょいひょいとイヴは飛び回り、奥へと進んで行きます。全く疲れた様子が無いのは、どうしてですかね?。おかしいですね、ここまで物凄い距離なんですよ?。

 日帰りで行くような場所じゃないんですよ…。


ー遡ること数時間ー



『でも、どうやって雷天龍を探すの?』

「魔力感知で探すわ。まぁ、見てなさい!」


 そう言ってイヴは体内の魔力を使い、魔力感知を始めた。本来ならば、この魔法の使用距離は精々が数百メートル程なのだがイヴが使うと桁が違う。半径数百キロメートルで展開される。


「成る程、そこね…。」

『み、見つかった〜?。うぷっ…。』

「…魔力酔い?。」

『ぞうみだい…。ちょっと気分悪いぃ〜』

「なら寝ていた方が良いかもね、これからもっと酷くなるだろうから」

『それって、どういう…』


 言い終わる前にイヴはさらに魔法を行使していました。今度は恐らく身体強化、みたいですが…うぷっ。


「準備運動はキチンとしないといけないわよねぇ。」


 そう言いながら、イヴがアキレス腱伸ばしや屈伸などの走る前にする準備運動をしていた。


『ま、まさか…』

「そ・の・ま・さ・か♪」


 そう言った直後にイヴは走り出した。ものの数秒でかなりのスピードが出ている。地形などは物ともしない。ジャンプで数メートルの壁などは楽々越えてしまうし、崖なんかもなんのその。

 景色がどんどん過ぎていきます…。あぁ、コレ、無理、だね…。

 そう思った瞬間に、ボクの意識が途切れました。そして、気付いたら大自然溢れる渓谷でした…。


『ねぇ、ここってどの辺なの?』

「町からおよそ400キロメートル程離れた渓谷よ。」

『どの位で着いたの?』

「大体20分弱ってところかしら?」


 規格外ですよ、この人…。


「それを言うなら、あなたもでしょう?」

『ボクはイヴ程じゃないよ!?』

「ふふ、それでも少しは自分が可笑しいとは感じているのね?」

『それは。まぁ…。』


 ボクの場合はこの知識だけど…。ある程度は、勉強したけどね…。

 そう思いながらも、イヴは迷いなく進んで行く。その途中に、青い毛並みのクマが出た。サイズはかなり大きく、二本足で立つと6メートルより少し大きいくらいだった。


「邪魔よ、そこを退きなさい。」

「グルルルルァァァァ!?」

「そう、あくまで邪魔をすると言うの…。なら、堕ちなさい!」


 そう言って瞬時に間合いを詰め、クマの顎に掌底を下から上へと叩き込み浮いたクマにすかさず回し蹴りを腹へと入れる。十数メートル程吹き飛び、クマはその身を回転しながら川に打ち付けていく。


「悪いわね、先を急いでいるの…。」


 そう言って何事もなかったかの様に進んで行くイヴ。暫くすると、滝が見えてきた。それなりに大きな滝で、見ているだけで何かこう、マイナスイオンを感じることができそうな感じ…。


 その滝に迷わず進むイヴ、ホントに迷いがありませんよ。

 滝の奥は開けた感じで、奥には黄色い龍が寝ていました。所々バリバリっと稲妻が音を立てて、頭の近くにある二本の長めの角は淡く発光している。


「ほぅ、こんな所に人が来るとは珍しい。こんな僻地に何用だ?」

「あなたの持っている黄玉の欠片が必要なの。分けてくれないかしら?」


 イヴがそう言うと、雷天龍の纏う空気がガラリと変わった。それに伴い、稲妻の頻度も激しくなった。


「よもや、黄玉の欠片を寄越せと?。クフフ、グアッハッハッハッ!この黄玉が欲しければ力を示せよ!。我が認めるほどの力があれば欠片なぞ存分にくれてやるわ。」

「分かったわ。なら全力で行かせてもらうわ!」

「来い!人の子よ!」


 そう言ってイヴは魔力を循環させていった。身体から紅い闘気を纏い、同色の粒子が舞う。一瞬しか見せた事のない全力。


「そうだ、人の子よ。我が名はライゼルカ。試合前に名を聞かせよ。」

「イヴよ。光栄に思いなさい、この私の名前をその魂に刻む事が出来るのだから。」

「クフフ、尊大よのぅ。そのプライド、砕いてくれるわ!」


 先に仕掛けたのはライゼルカ。右腕を叩きつけて来るも、イヴは既にそこには居ない。死角の筈の後頭部にイヴは居たのだが、ライゼルカは左腕で既にイヴを掴んでいた。思いっきり地面に叩きつける様に放り投げる。

 イヴも地面と頭の直撃を避けるため、体を捻り脚が接地する様にする。地面を削りながら後退を余儀無くされる。そしてイヴも瞬時に攻撃を仕掛ける。拳を突き出すも、その硬い鱗に阻まれる。


(いつ)ッ!?」

「ほぅ!鱗まで到達するか!」


 ライゼルカは歓喜している。それもそうだろう、ドラゴンの障壁はかなりの強度を誇るので貫通する事はまず難しい。


「我が障壁を破ったのはお前で2人目だ!」

「チッ!?。」

「なんだ、不満か?」

「えぇ、不満ね!。お前の話を聞くに、この私がソイツに劣っているということよね!?。」

「これが全力であるならば、否定はせん。」


 イヴは唇を噛む。じわりと口内に血の味が広がる。


「悲観するな、アレと比べるのはいかん。あの変形する武器もさる事ながら、あやつの力自体馬鹿げている。」


 そうしている間にも、イヴとライゼルカは数度打ち合う。口の中に広がる血の味は、そのままイヴの悔しさの表れだ。負け知らずの彼女には初の敗北だとリーンは思い、苦笑いしていた。


『まだあってもない人にそんなに悔しがらなくても、ね?』

「……。」

『大丈夫だよ、ボクはイヴの方が強いって信じてるから。』

「、けない。」

「ぬ?」

「アタシは、負けない!!」


 イヴの魔力が暴れる。暴風の如く荒れ狂い周囲を破壊する。


「ぬ!いかん!!。」


 ライゼルカは暴走気味のイヴを止める為に、最大級のブレスを放つ準備に入る。


(間に合うかどうかは、際どいところだが!)


 バチバチと爆ぜる燐光と溢れ出る魔力の奔流が周囲を焼き、全てを根こそぎ消し去っていく。


『ダメ!。ダメだよ、イヴ!』

(ん、クッ、コレは?)


 リーンと私は少し離れた所で私とライゼルカが戦っている場面を見ていた。無理しているのだろう、私の身体は至る所から血を流していた。

 そう、私たちの身体からかなりの血を流していたのだ。私の所為でリーンが死ぬ、嫌だ。嫌だ、イヤだ、イヤダいやだ嫌だイヤダいやだ嫌だイヤダいやだ!。


『落ち着きなさい!イヴ!』

(ッ!?)

『ボクは、大丈夫だよ。』


 そう言ってリーンは私を抱き締める。優しく、包み込むように…。

 私の身体がビクリと反応する。その大丈夫はどこから出るのだろう。でも、私はこれだけで安心出来る。なんて安い女なのだろうか…。


『落ち着いた?』

(う、うん)


 我ながら情けない声だった。


『まずは身体を取り戻すよ!』


 そう口にするリーンは歳上の姉みたいだった。そう思ったのがいけなかったのか、口に出ていた。


(分かっているわ、姉さん!)

『……えっ?』

(…あッ!?)

『ふふ、いいよ。お姉ちゃん、頑張るからね!』


 顔が熱くなるのがわかる。恥ずかしい…。


『いくよ!せーのっ!?』


 荒れ狂う魔力が収まっていく。だが、余剰魔力は無くならない。余剰魔力は大地や大気へと吸収、循環させる為に少しずつ放っていく。先ほどまで戦っていた所に草花が生い茂り、クレーターには水が湧き急速にその環境を変えていった。


 リーンの横を風が一瞬吹いた。


 軽鎧を着込んだ男が、ライゼルカに剣で斬りつけた。鱗の一部が傷つけられ、肉に迄到達している。ライゼルカは痛みのあまり天に向かって吠えた。流れる血は痛々しかった。


「ライゼルカッ!?」


 男は剣の構えを崩さず、顔だけをこちらに向けドヤ顔しながら言った。


「この俺様が来たからにはもう大丈夫だぜッ‼︎。」


 こんな馬鹿に構っている暇はないとボクは思い、すぐにライゼルカに駆け寄る。

 傷口を急ぎ確認する。剣で斬りつけられたのだが、切傷の周りが焼け爛れている。恐らく火属性の武器なのだろう、傷の度合いが酷い。


 鞄の中から、エリクシールと特殊な包帯を取り出す。この包帯、見た目は普通の包帯だがちょっとした効果がある。なんと、回復力を高める効果があるのだ。因みにボクが錬金術で作りました。


 エリクシールをひと瓶丸々使い切り、その上から包帯を巻く。


「なんで、こんな事したの?」


 自分でも分かるくらい、冷たい声が出ていました。

 そしてボクは、そんな俺様系の男を警戒し睨み続けていたのでした。

次の更新は出来るだけ早めにしますね!

ストックとか出来れば良いんですけどね〜


書くの遅いんで、無理です。


最近はめっちゃ暑いですね〜

身体が溶けそうです(笑)


暑さに負けず、頑張っていきましょ〜!

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