字変態
おれは、顔写真と「字」があれば、誰がどの字を書いたかを当てる事が出来る。
100%とは言わないが90%の確立で当てる。
探偵ナイトスクープに応募したっていいと思ってる。
おれは、字の綺麗な女が好きだ。
よくよく昔好きになった女を思い返せば、みんな綺麗な字を書く奴だった。
実は、顔や性格ではなく、その女の書く字で選んでいたのかもしれない。
女を抱く時は、顔を見ているようで実は女の書く字を想像して抱いている。
しなやかに伸びる「はらい」
チカラが入り過ぎていない「とめ」
絶妙な感覚が保たれている「さんずい」
スラスラとモデルのようなプロポーションの文。
おれの好みのタイプは
「ヘタウマ」という字が存在しているが
本当に字が下手な女の書く「ヘタウマ字」ではなく
本当は綺麗な字を書ける女の「ヘタウマ字」である。
おれは自分の書く字が嫌いだ。
他の奴に言わせれば、おれの字は綺麗な方らしいが
それでもおれは自分の書く字が嫌いだ。
そんな自分の下手くそな字を
女の書いた綺麗で上品な字の横に並べるだけで
その女を犯したような気持になる。
挟まれるだけでハーレムだ。
おれに「字」を見せるという事は
お前の「裸」を見せるという事と
なんら変わりのない行為なのだ。
そこでひとつお願いが。
どうかメールではなく、おれに手紙を送ってくれないか?