表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ニよりも上に。

作者: 萩原 サユリ

少し進展しました。


ゆる〜いBLです。


だけども、BLではございません。


最後の方にちょちょっといれてますが、本物のBL好きの方は、物足りないと思います。すみません。


苦手な方はすぐに逃げてください。

それでも、「しょうがねーな!」という寛大な方は読んで下さい。

_突然だが、質問をする。


あなたがもし、夜間に誰かから後をつけられたら、どう思う?


女性の方は怖いと、男性の方は…気持ち悪いと思うだろうか。


私の場合はどうなのか、それは私にしか分からない。当然のこと。


しかし、私はそういう気持ちすら分からない。まだ得ていないのだ。










仁見(ひとみ)(けい)、人生最大のピンチ。







誰かに後をつけられている。










初めは何とも思わなかった。ただ、帰る方向が同じだけだと思っていた。



しかし、だんだん人通りが少なくなっていく中、私の考えは変わった。


こんなところまで同じだろうか。


確かに、マンションが同じであれば、あり得るかもしれない。


だが、あんな格好の人、私の住んでいるマンションの住人の中にいたっけ?




黒ずくめにサングラス、マスク。更には、ゴム底の靴。手には四角い何かが握られている。


私が振り向くと、その男は、どこかに隠れたか知らんが見えなくなる。そして、歩き出すと、現れる。


1度、待ち伏せをした方がいいだろうか。




私は足を速めた。



男は、私のスピードに合わせてついてくる。一体何なんだ?!私の後をつけて得よう良い事なんて、1つもないぞ!



畜生、こういう時に限って車が故障する。だから、バスで通勤しているのだ。


その結果がこれ。同じ状況が、もうこれで1週間も続いている。



ツイてないな…私は。



焦りのような、よく分からない衝動に駆られ、私は彼の待つ部屋へと疾走した。






「__ただいま!」

「おう、おかえりー。どうした?走って来たのか?」






稜平(りょうへい)がそう訊くのも無理はない。私は久しぶりに走った事で、完全に肩で息をしていたから。エレベーターが降りてくるのを待ちきらず、階段を5階分全力疾走してきたのだ。





「稜平…さっき…そこで…」

「はい、一旦落ち着こう。深呼吸して」






私は稜平に言われた通り、2回ほど深呼吸をした。






「さっき、誰かから後をつけられたんだ」

「うわ。何それ、ストーカー?お前を尾行する奴なんているのか?」

「そんな事知らん!あの黒ずくめの男に訊いてくれ!」

「しかも男なの?」

「ああ。顔は見てないが、体格からして男性だろう」

「うわあ、余計気持ち悪っ。最悪だな」






彼は困ったような顔をした。


困ったのはこっちだ!





「兎に角、お前も気を付けろよ」

「ああ。慧も、帰る時は連絡ちょうだい。俺がなるべく外にいるから」

「いや、そこまでして貰わなくても…」

「心配なんだ、お前のこと」






稜平は真っ直ぐに私を見てくる。


…まさか、ストーカーはこいつではあるまいな?






「…分かった」

「つけられる心当たりは?」

「全くと言っていい程無い」

「そっか…何なんだろうな」






彼は私にコーヒーの入ったカップを渡してきた。私はそれを受け取り、一口飲む。







「怖かった?慧」

「何がだ?」

「後つけられて、怖かった?」

「怖いというもの自体がよく分からんから…でも、少し焦った」

「もし、明日もつけられるんだったら、俺がそいつの姿を写真に収めて、警察にチクることも可能だぜ」

「そんな事しなくていい」

「でも、怖いだろ?この近辺の人たちも」

「確かに…そうだが。しかし、公になった方が怖いだろう」

「これが原因で事件でも起きたら、取り返しがつかないぜ」

「うん…そうだな」





私の所為でまた事件を起こせば、次こそは本当に刑務所行きだ。過去の事が全て洗われ、私は捕まってしまう。そうなれば、稜平の身が…。






「まあ、危ないことはするなよ?」

「分かった」






明日もつけられなきゃならんとは。だいぶ嫌だが、仕方がない。犯人逮捕の為だと思えば…楽な仕事だ。




稜平が上手くやってくれることを願い、次の日に出社した。

















社を出て、稜平に電話をかけた。






『もしもーし』

「もしもし、私だ」

『今から帰るの?』

「ああ。えっと…8時39分のバスに乗る」

『あーい。残業お疲れ様ー』

「他人事だと思って」






私は苦笑した。


なぜか、彼の声を聞くと、少し安心する。





マンションの近くのバス停で降り、私は600メートルの道を歩き出した。


こういう時、バス停が遠いと苦労する。














______また、現れた。


少しだけ後ろを見ると、昨日と同じ格好の男が、四角いものを持って歩いている。


さあ、ついてくるがいい。どこまでも!警察にそのまま突き出してやる!


そう思うと、少しは楽になった。


まあ、これは昨日、気持ちを落ち着かせる方法として、彼が教えてくれたんだけれども。



マンションが見えた。きっと今頃、稜平が激写しているに違いない。


不意に、スーツの上着のポケットに入っている携帯がバイブを鳴らした。






「__はい」

『慧、逃げろ』

「は?」

『いいから、早く入ってこい!!』

「…?」






私は何が何だか分からなかった。


しかし、背後を振り返って、やっと状況が飲み込めた。






「__!!」






街灯の明かりに反射し、鋭利な刃物が見えたのだ。


男は、私めがけて走って来た。






「__マズい…」





あの男の速さだと、私がマンションの彼の部屋に着くまでにやられてしまう。どうするべきか!


走りながら懸命に考えた末、ここは私お得意の空手で対処するしかないという結果に辿り着いた。


私は一旦足を止め、男と対峙(たいじ)する。姿勢を低くし、突き出された刃物を(かわ)しつつ、その男の後ろ首を狙う。



が。






「ぐっ…?!」





逆に私がやられてしまった。男は拳を私の腹に入れている。






この男、結構鍛えられているぞ。油断していた。






「このっ…!」






体勢を立て直し、私はマンションのロビーに急いだ。


確かあそこには、監視カメラが付いていた筈だ。そこに、この犯行現場を映せば、決定的な証拠となる。


そう考え、走った。







「逃げるな、潔く殺されろ!」






その男が叫び、私に飛びかかってきた。私たちは(もつ)れ合い、道路に転がる。





しかし、私にチャンスが訪れた。



私は男に馬乗りになることができた!


これを逃すわけにはいかない。手刀で喉元を殴打した。


相手が(ひる)んだ隙に、急いで明るい玄関に向かって

走った。






しかし。






私の力が足りなかったのか、完全に気絶していなかったらしく、男が私の右足を掴んだ。私はつんのめり、倒れてしまう。


男は私に(またが)り、刃物を顔めがけて振り下ろしてきた。ギリギリのところで、顔を背けた為、怪我はなかった。





そこで、私は気が付いてしまった。この刃物は、私たち機械人間(ロボット)を殺める為に作られた、特殊なナイフだということを。






男はすぐさま刃物を振り上げ、次は私の右肩口を狙ってくる。だが、これは()けようがない。皮膚はあっさりと切り裂かれ、血が(ほとばし)る。




それを見た男が、信じられないという風に、





「血だ…」






と呟いた。


今だ、いける!


私は渾身の力を左腕に込め、男を押した。男は蹌踉(よろけ)て、尻もちをついた。






「貴様…何者だ」



私は立ち上がり、スーツの埃を払いながらその男を睨んだ。



「ふん。もう忘れたのか、機械人間(ロボット)の出来損ないめ。仁見博士に仕えた、研究員の浅沼ヒラギだ!」

「浅沼ヒラギ…?ああ、私の充電を任されていた、エロ本ばかり読んでいたあの浅沼か?」

「お前…見ていたのか!」






人間とは、だいぶんチョロいものなのか?あんなに堂々と本を開いて、見られていないとでも思っていたのか。






「あれで…隠していたつもりだったのか。そちらの方が驚きだぞ」

「AFT777;ON.1SHP!いつ人間になった!」

「7年程前だ。貴様が姿を消している間にな」

「クソッ…!仁見博士は…あの偉大なお方は、何者かによって殺害されたんだ。その犯人は、お前だと聞いた!本当か?!」

「____もち」

「は?」

「勿論の略だよ」






私の背後から稜平の声がした。






「だって、あんな奴、殺さないと次に何を仕出かすか分からないじゃん。慧は正しい事をしたんだ」

「正しい事だと?!あれがか?!お前らの頭はどうなっているんだ?!」

「悪いが…っ、私たちは2人とも変人でな」

「誰が変人だ!」




稜平が私をキッと睨む。




「そこつっこむところか?!」

「当たり前だろ?!変人はお前だけだ!」

「容姿で判断するな!人間は中身だろう?!」

「お前は中身まで腐り切ってるからな!仕方ないよなー!」

「貴様…誰に向かって口をきいている!腐っているのはお前の方の脳みそだろう?!」

「言ったな、この!」

「何だ、やるのか?!」







浅沼という男は、いきなり始まった私と稜平の口喧嘩に戸惑い、






「あの…2人とも…?あ…ちょっと…」

「あ"?何だよ!部外者は引っ込んでろ!」

「ああ、貴様、邪魔をするな!稜平、ちょっとこっち来い」

「望むところだ!お前はケガしてんだ、俺の方が有利なんだぞ!__お前、ケガしてんだ!ダメだ、こんな状況で喧嘩なんて…あ、おい!そこのストーカー男!慧をつけて何が面白いんだ!言ってみろ!」







稜平は目が覚めたように叫び、その男の胸倉を掴んだ。


私としたことが、ついカッとなってしまった。反省しないと。



稜平が警察を呼んでくれたのか、浅沼ヒラギは逮捕された。私は病院に連れて行かれ、治療を受けた。






「ま、これでストーカー事件は解決したということで。大丈夫?肩。結構スッパリいってたけど」

「ああ。あまり痛みはないが…痛いって、どんなのかが分からない」

「あ〜…知らぬが仏ってことで。教えてやらない」

「医者からあまり右手は使うなと言われたんだが」

「ドクターストップかけられたか」

「どうしたらいいかな?」

「どうもこうも、言われた通りにしないと」

「飯とかは?」

「あ」






稜平は手を打った。







「そっか。お前、右利きだよな」

「どうすればいい?」

「う〜ん___じゃあさ、俺が食わしてやるよ」

「…は?」

「何がいい?あーんってしてやろうか?」

「なっ…!そんな事__」

「口移しでもいいけど」







彼の甘い囁きが、私の鼓膜を振動させる。


体全体が震えた。



















この後、どうやって2ヶ月半を過ごしたかは、あなたのご想像にお任せするとしよう。


それでは、また今度…………。

ありがとうございました。


また頑張って書きます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ