第一話 夢
「入ってくれ」
・・・そういって、入って来たのは女性だった。
「・・・なっ・・・」
そして、オレはその女性を見た事があった。
それは間違いなくーーーー
「自己紹介してくれ」
「初めましてアリス・リーンベルです」
ーーー今日の夢に出てきた女の子だった。
「そうか。それじゃ、みんな仲良くな!・・・・っと、席はそこの不知火の横の席に着いてくれ」
オレはその言葉で自分が不知火であると手を上げる事で自己申告する。
・・・別に、他人の空似だよな。
そう思って今日の夢を忘れる事にしようと思った。
だがーーーーーー
「見つけた・・・」
そのアリス・リーンベルは、まるで夢のそのままかのように、オレを見て微笑んだ。
その微笑は儚(はかな)く、それでいて綺麗だった・・・。
「見つけた?」
それで、オレは思わず聞き返してしまった。
それが間違いかどうかは分からないが、その先を聞きたかったと言うのもあるのだろう。
「・・・・そう、見つけた」
・・・・反復じゃなくて、意味を聞きたいのだが。
そう思ったオレだったが、この後の先生の話にそれは遮られてしまった・・・。
・・・・そして、最初の休み時間。
色々転校生の定番とも言える質問攻めにあっていたアリス・リーンベルだったが、しばらくすると手が空いたようでオレに話しかけてきた。
「・・・来て」
それは着いてこいと言う意味なのだろうか?
・・・・主語が抜けやすいのかね?
そんな事を思いながらオレは彼女の後ろを着いていく。
・・・そして、一目のつかないところに移動すると、ふと彼女が向きかえった。
「・・・死霊魔術師って知ってる?」
・・・そして、それは少々意図が理解できない質問だった。
死霊魔術師(ネクロマンサー)か・・・。
確か、ゾンビを生み出す黒魔術師だっけ?
「ああ、ゾンビを生み出す奴だろ?」
「・・・違う」
・・・・あれ?
違ったっけ?
確かそんな魔術師だったような気がしたんだが・・・。
「・・・それは死霊崇拝のヴードゥーの方。ネクロマンサーは死体を使って、占いをしたりや未来や過去を知る魔術師の事」
・・・・へぇ。
そうだったのか、しらなかったな。
「そうなのか。・・・んで、それがどうしたんだリーンベル?」
「・・・アリスでいい。あなたは、ネクロマンサーの事・・・どう思う?」
・・・・むずかしい質問だな。
どう思う?・・・うーん。
「見たこと無いから分からないが、全般的にどう思うかの判断は言いかねるな」
「・・・なんで?」
答えを濁して言い返したら疑問で返されってしまった。
「何でってそれは、ネクロマンサーだから悪いとか、そんなんは無いだろ?良い奴は良い奴で悪い奴は悪い奴。・・・ただそれだけだ」
「・・・・そう。じゃあ、また後で」
アリスはそんな意味の分からない質問をして去って行った・・・。