あなたの知らない私
「この女を知りませんか?」
そういって、刑事は一枚の写真を見せた。
若い女。笑っている。自分の美貌を誇るかのように。
私はその女のことを、よく知っている。しかし、そこには触れなかった。
「その人がどうかしたの?」
「殺されたんです。昨夜。全身を刃物で滅多刺しにされて」
「それと私になんの関係が?」
刑事は言った。
「自分もホトケを見ました。あんなむごいホトケを見たのは、初めてです。」
刑事は唾を飲み込み、さらに続けた。
「そのホトケの第一発見者であるあなたの旦那さんから通報がありました。犯人はあなた以外に居ないと、旦那さんはおっしゃってます。」
「あら」
私は口元からこぼれる笑みを押し殺しつつ、心の中で呟いた。
あの人、全く私のことを知らない訳でも、無かったのね。
経験豊富な刑事はその笑みを見逃さない。そして同時に、彼は目の前にいる女に対して、心から恐怖を感じていた。
おわり
あとがきを書くのも三回目になりました
三という数字はよく諺にも使われます
石の上にも三年
三つ子の魂百まで
三人寄れば文殊の知恵
また、毛利家の三本の矢の逸話も有名でございます
三という数字には、なにか特別な意味が込められているように思えてなりません
三ツ星レストラン
スリーポイントシュート
野球はスリーアウトまで
まあ、読者のみなさんからしたら
仏の顔も三度までと
言ったところでしょうか




