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第15話:新たな挑戦

 例の部屋――女性用の衣類が無数に掛けられた部屋――にルミナを連れてゆくと、彼女は迷わず1つの衣装を手に取った。


「……本当にそれでいいのかい?」


「もちろんです。私はマスターに使える忠実な下僕。である以上、これ以外の服はありえません」


 彼女が手にし、コピーした服……それは、いわゆるメイド服だった。

 最初は、ううむ、と思ったけれど、錬金術師アルケミストを主人とし、そのしもべとして仕えるならば合理的ではあるかもしれない。


  ……ただ、どう考えても下半身の露出が多い。

 フリルの付いたミニスカートからは、むっちりとした彼女の太ももが見え、そこにニーハイソックスを足すことによって見事な絶対領域が生まれていた。


 これは学園で一時期流行していた、いわゆる「コスプレファッション」みたいだ。


 ただ戦闘のことを考えるなら、本物の侍女が着るような厚手の長いスカートは明らかに移動の支障となるため、これでいいのかもしれないとも思う。


「お望みであれば、夜には別の衣装も着ますが?」


 そう言いルミナが手に取ったのはバニーガールの衣装であった。

 もちろん僕は却下した……いい趣味してるよアレイスター。


 かくしてルミナの正装はミニスカメイドになったのだった。


 それから1週間ぐらい僕らは工房アトリエに引きこもった。

 セラの休息という意味もあるが、まずはルミナの能力を把握する必要があると思ったからだ。


「ぶっちゃけたことを聞くけれどさ、君はひとりで戦える?」


 そう聞くと、彼女は手の先をドロリと溶かしてダガーナイフを生成してみせた。


「これは猛毒のナイフです。切りつければ大抵の魔物は一撃死させることが可能です」


「でも魔物にも種類があるよね? 獣系とか、虫系とか」


「そうですね。魔物によって効く毒は変わってきますが、私の毒は敵の種類に合わせて自在に調合が可能なのです」


 それはなんとも心強い。

 アンデッド系の魔物など一部の例外はあるにせよ、毒はほとんどの魔物に対してかなり有効な対抗手段である。


「セラアーマーと組み合わせれば無敵のタッグが組めそうだね」


 なので素直にそう言うと、なぜかルミナは黙ってしまった。

 ……何か地雷でも踏んだのだろうか?

 なんだか視線がじっとりしている。


「お言葉ですがマスター、セラはレベルが上がったことで基礎能力が上昇しています。なのでメイスでも持たせればそれなり戦力になるはずです」


「え、でも僕が着た方が、より強力に戦えない?」


「それは私も同じです。私もマスターに着てもらうことでパワーアップができるのです」


 ルミナはふんすと鼻をならす。

 ……ああ、なるほど。そういうことか。


「ルミナアーマーも開拓すべき?」


「当然です。手札は多ければ多いほど、あらゆる状況に対処することができるので」


 そういうわけで、僕はルミナを【鎧化アムド】する練習に着手することにした。


 猛毒を持つポイズンスライムを着て大丈夫なのかと心配する人もいるかもしれないが、実際はむしろ逆である。

 このスライムは自らの毒で自己中毒を起こさないように独自の免疫を持っている。つまりルミナを【鎧化アムド】すれば、彼女の毒に犯されるどころか、毒への完全耐性を持てるのだ。


 例によって、僕はまず全身タイツのように顔だけを出した状態でルミナを全身に這わせた。機動性などをテストした後にデザインを詰める予定である。


 ――ああ、マスター……マスターが私の中にいる。


 最初のルミナの反応は、なんというか、ちょっと……アレだった。

 無邪気なセラに比べると、彼女の僕への感情は全体的に重めに思える。


 聞こえなかったことにして、僕はルミナを【鎧化アムド】した状態で部屋の中をぐるりと一周してみた。


 ――おっ、これは……


 そうしてわかったことがある。

 足を踏み出すと決めてからの魔力信号の伝達速度がセラよりも明らかに早い。


 試しに部屋の中を走ってみると、疾風のようなスピードで移動できることが判明した。


 間違いない。

 ルミナアーマーは機動性に優れている。 

 

 パワーはそんなにないようだけれど、彼女の武器は毒である。

 刃物を使って敵に素早く傷を付け、そこから毒を流し込む、ヒット&アウェイの戦法にこのアーマーは向いている。  


 そうなるとアーマーのデザインはすぐに決まった。

 防御性よりも機動力。

 全身をタイトなデザインにしたまま頭をフードの鎧で覆う。


 イメージとしては暗殺者アサシンを、そのまま形にしたようなものだ。


 ――お見事ですマスター。私の長所を即座に把握し、それを最大限生かすフォルムを作るとは。


「そう言われるとくすぐったいな」


 ――謙遜することはありません。これまでマスターはその実力を十分に発揮できない場所で疎外されていただけなのです。今の私にはわかります。例のカラスの言うように、マスターは1000年に一度現れる錬金術の天才なのです。


 ルミナは過剰とも言えるほどに僕を褒めたたえた。

 いや、そんなことはないと思うけど……

 とまれスライムを扱う才能だけは誇ってもいいことなのかもしれない。


 そんなわけで僕は1週間、新たな力、ルミナアーマーの操作練習に勤しんだ。

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