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-幕間-「大いなる灰色」


「なるほどねぇ。ルシヴァの坊や、あたしを放っておいて随分と楽しそうな事をしているじゃないのさ」


灰色の猫がそう言うと、大気が一瞬で凍りついた様に張り詰めた。


「また千里眼でルシヴァの事を見てるのかい?ニコ」


灰色の猫、ニコに話しかけたのは、ルシヴァによく似た30少し前といった年齢の男性。


「エヴァンスかい、放っておいとくれ、あたしゃコレくらいしか楽しみはないんだよ」


そう言ってぷいと向こうを向いてしまうニコ。

彼女は人語を解する魔猫である。


「ふっ、本当に君はルシヴァがお気に入りなんだね。まあ、おかげでわたしの領は、これ以上なく頼もしい味方に守っていただけているのだが」


「ああ、坊やのいる場所は、あたしにとっても大切なナワバリさ。そこに手を出すヤツは引き裂いてやるよ。ギッタギタにねぇ」


そう言って笑い、爪と牙を剥き出しにするニコ。

この言葉に偽りはない。彼女は最強である。


「それよりエヴァンス!昼飯はまだかい?あたしゃそろそろ出かけるんだ。支度しな!」


「出かける?どこへだい?」


「坊やの乗ってる魔動列車を迎えに行くのさ。ついでにさっき千里眼で見た気になる女の顔を見にね」

「ほう、わかった。すぐ準備しよう。しかし、珍しいね君がルシヴァ以外に興味を持つなんて」

そう言って笑うオルランド領主。


「あたしの可愛いぼうやに軽々しく近寄る輩だからねえ、務まるか否か試してやるのさ」


彼女はルシヴァの飼い猫である。だが、ただの猫ではなく魔猫である。


「魔猫レーゼンに試されるのかい?わたしだったら全てを投げ打ってでもお断りしたいが」


「あんたは知ってるだろ?エヴァンス。どうしてあたしが坊やに飼われてあげてるか」


「陛下に聞いたよ。正直いまもまだ信じ難いが……」


腕を組み考え込むエヴァンスに、不敵な笑みを浮かべるニコ。


「あたしゃ信じてるのさ、坊やしかいないってね」


灰色の魔猫レーゼン。

今や伝説級の魔獣として文献にしか名もない孤高の存在は、その時を渇望していた。


「あたしの"命を奪って"滅ぼせる存在は……」

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