濁る天色、友との談笑
空の色が暗く淡い色に染まり大粒の雫が天井に降り注ぐ音が聞こえてくる。
「やな天気だなぁ」
1人時間を潰す私はそう呟いた。
静かだ…
現在家にいるものの中で唯一2階にいるため春菜のいるその空間は酷く深い静寂に包まれていた。
「いつもなら笑い声とかが家中に響いてるんだけど。今日は勉強だもんなぁ〜」
今日も兄の友人たちが春菜の家に赴いていた。遊びにでは無く勉強をしにだ。
「暇だ…1階行くか〜」
そうして春菜はその空間から下に降りる。
ガタッ
春菜が下に降りたタイミングで不意に物音が響いた。どうやらちょうどよく休憩に入りつまめるものを探していたようだ。
「あのさぁ~みんなって幽霊とかそういうの信じる?」
突拍子もなく兄の友人の1人、天堂大和がそう切り出す。
「んぁ?何?急に」
私と同じことを思った人もいたようだ。同じく兄の友人であり幼馴染でもある平山健二がそう返した。
「いやさぁ、昨日テレビで幽霊特番やっててさ」
「え?昨日そんなのやってた?確かに夏だしよくやってるイメージはあるけど…昨日はなかったような」
「あれ?そうだっけ?じゃあなんかのサブスクで見たのかも」
兄のもう1人の幼馴染天膳日菜が放つ言葉に大和はケロッとそう返す「適当だなぁ〜」と日菜は呆れたように大和に言った。
「天堂が適当なのだなんていつもの事じゃない。今更よ、今更」
「まぁ〜…たしかに?」
「そうだね」
「そうだな」
大路黄泉が言った言葉に大和を除く全員が同意を示した。どうやらいつも通りらしい。
「えぇ…みんな酷くね?っていうかどうなん?信じる?」
「んー、私は別にって感じ、見たことも無いしいないんじゃない?」
「俺も信じてねぇな、日菜と同じく見たことがないってのもそうだが、いても見ることもできなければ触れることもできないんだろ?それっていないのと変わんなくね?秋人も信じてなかったよな?」
「そうだね、俺も信じてないよ。もし居たとしたらあの子に呪い殺されてるだろうからね」
「お前はまたすぐそういうこと言う。そんなことないって、そんな子じゃなかったじゃん」
「まぁしょうがないよ健二、もう秋人はそういう考えで固まっちゃってるし、1度考えを固めたら改めて変えられるような柔軟な人間じゃないでしょ?秋人は」
「なんか、2人して酷くない?いくら幼馴染で付き合い長いと言ってもさー」
「だって事実じゃない?」
「事実だろ?」
兄の言葉に2人揃って事実だと切り捨てる2人に私は思わず笑ってしまった。
「2人とも、いつも通りだなぁw」
そうケラケラと笑いながら私は元の空間に戻っていく。その時少し足早になってしまったのはきっと気のせいだろう。
休憩も終わり、また静寂が訪れる。
だいぶ期間が開いてしまいました。生きてます。