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『安物速記シャープと速記者』

作者: 成城速記部

 その日、速記者は、安物速記シャープを使っていました。ふだんはプレスマンを使っているのですが、たまたま目の前になかったのです。探せばあったのかもしれませんが、見つけてしまうと、ドラマが起きないのです。

 安物速記シャープは、思ったように動いてくれませんでした。プレスマンのような一流速記シャープと、安物速記シャープとを比べてはいけませんが、速記のような微妙な形の線を書かなければならないとき、速記シャープの性能の差は、結果に大きく影響します。値段ではなく、性能の問題です。

 安物速記シャープは、速記者が書こうとしている速記文字を書いているのではなく、安物速記シャープ自身が書こうとしている何かを書いているように見えました。安物速記シャープは、原文帳をはみ出し、机からもはみ出しそうになりました。速記者は、安物速記シャープが机から落ちないように、必死に安物速記シャープを握り締めましたが、速記シャープはあくまで自由に宙を舞おうとしました。その力が余りに強かったので、速記者は、安物速記シャープを落としそうになりました。速記者は言いました。

「安物速記シャープよ、お前には負けたよ。お前は自由にするがいい。しかし、お前は私に勝っても、ひどい目に遭うぞ」、と。



教訓:シャープの性能によって速記の結果が左右されるなんて、大した腕ではないということにほかならない。


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