挨拶
「山吹大和です。よろしくお願いします」
今日は転校初日。
私が転校した北島中学は全校生徒五十人の田舎の学校です。私の教室も生徒は十六人。
ざっと見まわしてみても……目につく人は何人かいた。机に脚を置いて豪快に寝ている長身で青髪の男子。こっちを睨んでくる美人の女の子。一番前の席で私をガン見してくるちょっと怖い男子。
「それでは山吹さんは柿原君の隣に座ってもらいましょうか」
先生に言われた席は机に脚を置いて寝ている柿原と呼ばれた人の隣だった。
HRが終わり休み時間になった。
アニメや漫画だと転校初日は質問攻めになるものだが現実は違うみたいだ。とっくにグループは決まっており、転校生である私に話しかける人なんていない。
(あとは私が読書してるのも原因だよね。読書している人には話しかけるなオーラが出てるってVチューバ―のエスちゃんも言ってたし)
「うぅ~ん……」
などと考えていたら隣の席の柿原君が起きた。
「ん~…………あんた誰?」
少し気だるそうな感じで聞いてくる柿原君。
(あっそうか、この人寝てて私のこと知らないんだ)
「あっえっと、きょ、今日転校してきた山吹大和と言いま……す」
「ん、あー転校生か。そういえば来るって言ってたような……。まあとりあえず自己紹介しなきゃな。俺は柿原晴。席隣だし、まぁ仲良くやろうなぁ」
「は、はい!」
「ん~そんなに緊張しなくていいんだけどなぁ。俺ら同級生よ? もっと気楽にいこうや。…………ところでさっきから気になってんだけど、その本ってもしかして『怪盗ブルー』?」
「えっあっ、知ってるの⁉」
「知ってる知ってる。いやぁまさか知ってるやつに会えるなんてなぁ。小学生から中学生向けの文庫なんだけど読んでるやつ意外といねぇんだよなぁ」
「そうそう、意外といないんだよね」
「おっ、話せるねぇ。そうだ! 放課後学校案内してやるよ! 大和もこの学校のことあんま知らねぇだろ」
「えっいいの! それじゃあお願いしようかな」
「よし、じゃあ決まりだね」
キーンコーンカーンコーン。ここで休み時間終了のチャイムが響いた。転校初日で趣味の合う人と仲良くなり上機嫌で黒板の方を向いた私だったがふと気づいてしまった。
(え……………………………………これってデートなのでは?)




