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道中
この話に出てくる人物、地名は架空のものです。
人口千人にも満たない秋田県北島村。
「秋田に異動ですか⁉」
「うーん、なんか頭下げられちゃってねー」
「でも私たち同じ会社で働いてますよね。さすがにそんな遠いとこ……」
「んー、それは向こうもわかってると思うんだけどできれば俺がいいって言ってるんだよね」
「それでも断るべきです。いろいろ効率も悪いですし…………(それに離れて暮らすなんて寂しいですし)」
「ん? なんか言った?」
「い、いえ何でもありません! とにかく! この話は断ってきてください!」
「わかったから。この話は断ってくるよ。燈子さんが寂しいからって」
「聞こえてたんですか! そんなのが広まるくらいなら秋田でもなんでも行ってください!」
「ってことがあってさー。ほら、俺ってついポロっと失言しちゃうじゃん」
「この引っ越しってお母さんのツンデレが原因なの?」
なんてあほらしい。
ただいま車で移動中。秋田まではあともう少しだ。