2番目の女
結婚って何なんだろう?
ふと、疑問に思う。
一緒にご飯を食べて、一緒に寝て起きる。一緒にいるけど、私たちは夫婦ではない。
結婚はしていない恋人同士、これを何年もの間続けている。
結婚とは紙切れ一枚あるかないかなんじゃないのか?
紙切れ一枚、簡単なこと。だって、ずっと一緒に過ごしてきたんだもん。その時の若い私は気が付かなかった。
その紙切れ一枚の手続きができないのは、結婚という覚悟とお互い思いやりが足りなかったってことに。
お別れは突然やってきた。
過ごした時間が多ければ多いほど、忘れるのに時間がかかる。
次に進むのに時間がかかる。
時間の中で少しずつ、薄まる記憶。
さらに時間が経つと、記憶はぼやけた曖昧なものになり、良いところだけ選択され、さらに美化されて残っていく。
記憶とは自分で作り上げた都合のいい物語なのではないだろうか。
時間が記憶を変化させる。
私の脳みそは辛い思い出だけじゃ、前を向いて歩けなくなると判断し、楽しい思い出を自分の中でひたすら増やす作業を繰り返す。全く忙しい作業だ。
そして、割とすぐ前を向いて歩く私。
次も躓くことも知らずに歩きだす。
躓きながら歩き続ける私。
三十路。
この年齢になってからは、結婚しなくてはと焦りだす。
何が私を焦らせるのだろう。
年齢なのか、環境なのか、心が何かを求めているからなのか。焦る三十路。
好きな人といる時間を大切にする。
お互い楽しい時間を共有できればいい。
関係は関係ないのか?
恋人とは何なんだろう?
次なる疑問をみつけてしまった。
不倫、二股、恋はいつも複雑複数絡み合う。
私は考えすぎる。単純なはずなのに。
そして、結果2番目の女に選ばれてしまう。きっと、想いの強さとか、女としてのレベルとか、いろんなものがお相手の方と比べたら劣っているのだろう。
2番目になってしまうともう100番と同じだ。あなたの中で最も大切な人になりたいのだから。
ひとりでも大丈夫だねって言われる。
ひとりで大丈夫だけど、あなたと一緒がいい。って何故伝わらないんだろう。
想いはなかなか伝わらない。
ひとりで大丈夫じゃないってことになれば一緒にいてくれるの?
私はそんなに弱くない。それがダメなの?私は私でいてはダメなの?
もう、よくわからない。
不倫男はダメだ。私に向いていない。
結婚して幸せな家庭がある人とは恋はできそうもない。わけのわからない罪悪感でいっぱいになり、身動きとれないのだ。
二股男もダメだ。私に向いてない。
他に好きな人ができた彼氏とも恋はできそうもない。私は独占欲の塊なのだ。
ああ、2番目の女ではやっていけそうもない。
今度こそ1番目に選ばれる女でありたい。
足りないものは何だったのか?
何を補えばあなたにとっての1番になれる?
私は考えすぎた。感情は不安定。
アンバランスな心はいつかは壊れる。
壊れる前にここから逃げれるのは、友達のおかげかもしれない。
小さい頃、鬼ごっこの鬼から逃げるのが好きだった。足が速いから逃げるのが楽しかった。そう鬼のような嫌なヤツからは逃げてしまえばいい。タッチされたら、私が鬼になってしまう。私はきっと今でも足が速い、もう嫌な人たちからはタッチなんかされない。
逃げるで思い出したことわざ。
逃げるが勝ち。今の私にピッタリのことわざだ。
今日から、座右の銘にしよう。私の右手が手帳に記す『逃げるが勝ち』と。