表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
形だけ大人になった僕たち  作者: 木痣間 片男(きあざま かたお)
77/132

独身女性から:男から一番愛される女は、“男たちから捨てられる女”

 勝手なことを言うようだけれど、僕にとってものすごく共感できる人たちがいる。ほとんど同士だし、さもなくば運命共同体と言ってもいい。

 かなり限定的な集団ということになるのだが、それは、“恋の悩みを抱える30代半ばを過ぎた独身女性”だ。


 ぶっちゃけ言ってしまうと、結婚を諦めたわけではない。かといって、できる保証もない。その微妙な年齢ラインのなかで揺れ動き、自分を保つことに汲々としている人たちである。


 36歳未婚、現在彼氏はいない。

 本職は理学療法士だが、その他ケアマネの資格も有している。性格はちょっと天然だけれど、基本的にはがんばり屋さんで真面目。どちらかというと華奢な体つきだが、それは、フットサルやヨガやバドミントンなどのスポーツが好きだから適度に鍛えられている。顔つきとしてはクチが大きい・・・、が、それは顔が小さいので相対的にクチが大きく見えるだけ。少し上戸彩に似ている。ボランティアでイチゴ農家さんを手伝っているくらいの社交性もある。読書好きで、原田ハマの『楽園のカンヴァス』を薦めてくれた。


 どこをどう見ても、まったく問題のない女性だ。実際、交友関係は広く、友人や後輩からも慕われている・・・・・・。が、それが仇となって一度ストーカー被害に遭っている。

 僕のようなものからみても、かなりトライクゾーンだ・・・・・・。が、僕なんかではもったいない。

 選り好みが激しいとか、理想が高いとか、仕事を優先しているというものでもない・・・・・・。が、「自分に合う人が好み」と言われても、当たり前過ぎてよくわからない。


 飲んだ席で、「友だちやスポーツ仲間はけっこういて、一緒に遊んだりすることはあるんですけど・・・・・・、素敵だなぁって思う男性には他に言い寄る女がいるから、結局捨てられちゃうんです。去年、大失恋して、それから疲れちゃって・・・・・・」なんてことを打ち明けてくれた。

 結局のところ「いい人がいない、出会いがない、やっと付き合っても長続きしない」という、ありがちな理由だった。


「可もなく不可もない男でもいいから駆け込み結婚をした方がいいのか・・・、後悔するとわかっているような結婚ならしない方がいいのか・・・、考えますよねぇ」


 僕のような“バツイチ・シングル・子なし”の3拍子そろった現代の『負け組男』が、恋愛や結婚や家庭の質問にアドバイスできる知恵など微塵もなく、“片思い・道ならぬ恋・捨てられた男”の3部作そろった『恋愛偏差値20男』が、ロマンスを語っても説得力のかけらもない。

 それでも、経験からの学びを言って聞かせてあげる程度の知見が集積されているならまだしも、そのような反省もいっさいない人間の言える答えはただひとつ。


「人生を棒に振ってもいいからやりたいようにやった方がいいよ」


 男に合わせるなんてナンセンス、運命の男と出会えないなら逆説的だが自分の信念を貫くこと、己の夢を追い続けること。これが一番大事である。そうやった結果、フラれる確率が上がったとしても、生き方としての後悔は少ない。もしかしたら、その行動力に感銘を受ける男が現れないとも限らない。


 ただひとつ、慰めにもならないことを言うとしたら、僕の持論になるかもしれないけれど、男から一番愛される女は、“男たちから捨てられる女”である。


 理由はいろいろなのだろうけれど、男から捨てられやすいというのは、いい意味において人懐っこくて甘え上手で、隙だらけだけどなぜか放っておけない。適度に尽くしてくれそうな気もするし、負担なく付き合えそうだ。そういう女は、なんだかんだ言っても男を惹きつける魅力がある。

 女性からしてみれば、「そんなのは都合のいい女とみられているだけで、一人の男性から大事にされればそれでいい」と願うかもしれないけれど、そういう考えの女ほど敬遠されがちなのだ。


 結婚願望を有する女性の気持ちはわかる。うまく男と付き合えないもどかしさにも胸を打たれる。

 僕自身、「一緒になれないけれど、片男のことは好きだわ」ということを、若いときからこれまで何回か言われてきた(第7話『看護師さんから』・第67話『霊安室の帰りから』参照)。

 結婚に関しては不器用どころか、むしろ不適格者に近かったが、その取っ掛かりであるところの“女性とのお付き合い”という段においては、けっして落第点というわけではなかった。


 昔の恋人にトラウマがあるとか、異性に臆病だとか、恋愛に消極的とかいうわけでなければ、いや仮にそうだったとしても、失恋や別れを恐れてはならない。捨てられることなど気にしてはいけない(と思う)。むしろ、そうすることで磨かれる(と信ずることだ)。


 男と女では立場が違うかもしれないけれど、そういう向こう見ずな覚悟で、僕は女性と接してきた。

 何を言っても納得させられないけれど・・・、器用に立ち振る舞えない僕だけれど・・・、好きだった娘から漏れ聞こえた「それでもしばらく見ないと気になって、また逢いたくなるのよね。噛めば噛むほど味が出るっていうか・・・」の言葉にすがって生きるるくらいの力は得てきている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ