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形だけ大人になった僕たち  作者: 木痣間 片男(きあざま かたお)
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“木痣間式”やる気キープ法

 根性論に至ってしまうのはいささか不本意なのだが、それでも僕にとっての週5日のジョギングと、1ヶ月間に5冊の読書は、はっきり言って途方もなくたいへんなノルマである。


 こういうキツい所業は無理せず楽しく続けられるシステムを構築することが大切なのだが、最終的にはどうしたって根性論になってしまう。これはもう避けられない。


 友人を誘うとかランニングアプリを利用するとかにしても、結局のところ自分で走る意志を継続させるしかないし、早朝や隙間時間、就寝前など、読書時間を捻出するには工夫が必要だ。

「体形をどうあってもキープしたい」ということと、「読むことで書くことの質を上げたい」ということを強く願い、いかに持続させるかにかかっている。


 ブラックなことを言わせていただくと、そういう気持ちを維持させるには、“反面教師”というか、“前車の(くつがえ)るは後車の戒め”という構えが必要である。“僕にとっては”という前提がつくかもしれないが、要は、「ああはなりたくない」というリアルな事例の存在である。


「脚がむくむ」ということと、「肩がこる」ということを訴えて来院した患者がいた。40代のぽっちゃり体形の女性だった。

 事務職に従事し、デスクワークであるために、毎日ほとんど動かないということだった。幸い身体に異常はなく、要は運動不足による血行不良が原因と考えられた。


「運動はまったくしてないです。やっぱり体を動かさないとダメですかね」という、彼女の問いかけに対して、「まあ、そうですね。利尿剤を使って“むくみ”を取るのは簡単ですが、薬に頼らずとも運動すれば良くなります。ちなみに私は、毎日8キロの距離を1時間くらいかけてジョギングしていますので、むくむなんてことはいっさいないです」と答えることで、僕はそのモチベーションをキープしている。


「えーっ、そんなに走らないと治りませんか!?」

「いや、いきなりそんな走り方をしては、かえって脚を痛めます。ですので、まずは週に3回30分程度でいいから歩くようにしてください」と伝え、最後に、「女性としての意地を保ちたいなら」というダメ出しを添えるのである。


 若いころのスタイリッシュでスマートな体形から、見るも無惨な姿に変貌してしまう人がたくさんいる。

「喘息にかかってしまって、ステロイドを使っていたから太っちゃった」とか、「仕事のストレスで食べちゃっていたから」とか、「産後どうしても痩せられなくて」とか、まあ理由はさまざまである。


 身も蓋もないことを言うようだが、ダイエットの原動力というか、心構えというか、モチベーションは、繰り返しになるが、「ああはなりたくない」ということを強く思うかにかかっている。


 毎月5冊の読書に関しても同様である。

 残念ながら習慣化して本を読んでいる人は、僕の周りにはほとんどいない。


 確かに、「何のために本を読むのか?」という問いに対する明確な解答はない。

「豊かな暮らしを得るための手段として読書がある」なんて言っても、そんなものに具体性はない。ましてや「豊かな暮らし」ともなると、それ以外の生活力や周囲の環境、社会的状況もあるから、一朝一夕で身に付くものではない。


 そうなると、豊かな暮らしを得るための方法は他にもあるではないか――セミナーの参加や、コーチングや、スポーツチームの加入や、合コンなどなど――ということに気づいてしまったときに、手段として設定した読書という手法にブレを生じてしまわないかということである。

 だったらはじめから「月5冊が目的」と掲げていた方が、長いモチベーション維持につながるのではないか。


 読書という終わりのない行為に対しては、それ自体を明確な目的にしていないと、僕なんかはすぐに怠けてしまうような気がする。


 本を読まない言い訳として、「何を読んでいいかがわからないから」と答える人が多いが、それは言わない方がいい。何にも興味のない無関心なヤツだと思ってしまう。同じ弁解をするにしても、あまりに幼稚だ。


「何を読んでいいかわからない」という返答では、趣味嗜好をもたない本当に退屈な人間であることを露呈させるだけである。少なくともビジネスの場(と、好きな人の前)ではやめておいた方が無難である。


 参考になるとはとても思えないような、やる気キープ法を説いてしまった。不快に思われた読者もいたと思うが、どうやっても根性論に行き着くしかないなら少しくらいの邪念があった方が長続きする。

 とどのつまり僕にとっての継続は、人のふり見て我がふり直せなのだ。それでも自分なりに継続できるなら、まあそれでもいいか。

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